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《絵本レビュー》いぬの せんせい

唐突ですが、わたくし動物の偏愛においてはプレーリードッグが好きです。

どうぶつのところを見てね(コボシの偏愛マップ)



ご存知でしょうか?動物園にもいますよね、そう、あの茶色い毛並みの。

草原(プレーリー)に穴ほって群れで生活し、危険を察知すると犬(ドッグ)のようにキャンキャン言いながら仲間たちに伝える、あの動物です。

もう何年も前のこと。
出逢った瞬間、恋に落ちました。

だって彼らは応援団長のように体を反らせながら健気に鳴いてた。たまに必死すぎて反り返り、そのまま転倒するんです。

うぅ、癒される!尊い!推せる!!

でね、たまにペットショップで見かけるんです。プレーリードッグにそっくりなリチャードソンジリスを。わたしはいつも、指くわえて見とったわけです。

そこから、さらに時は流れて現在、娘たちが生まれリチャードソンジリスの話に花が咲き乱れてたタイミングで、SNSで情報を知ることになります。

ほぅほぅリチャードソンジリスの赤ちゃん生まれるよって。…しかも予約できるですって!?

もう、居ても立っても居られず、我が家は飼ってもいないその子の名前を、あーだこーだ言うてるわけですが…さぁ、どうなることでしょう。(進展があればまた書きますね)

前置きが長ーくなりましたが、今日は動物が活躍する絵本【いぬのせんせい】のレビューをしようと思います。パチパチパチ。

〔作〕ジェーン・グドール  
(チンパンジー研究の第一人者・動物行動学者・自然保護活動家)
〔絵〕ジュリー・リッティ
〔訳〕ふしみみさを
〔発行所〕グランまま社
〔初版〕2021年1月
〔価格〕1,500(税別)
〔ページ数〕36P


《ストーリーについて》


ある雨が降る寒い朝、病院に遅刻しながら走ってくる1匹の犬がいます。

その犬は、病気で入院している子供たちのベッドにかけよりピタッとくっついて寄り添うことが、お仕事。とっても、重要な役割をもって日々働いていました。

そんなある日、病院に保健所の指導員が怒りながら入って来て、その後その犬は子供たちに会いに行けなくなって…

イギリスのロンドンにある、こども病院であった実話をもとにした物語です。

また、セラピー・アニマルやファシリティドッグ(職員として勤務する犬)など、病院で働く動物たちの必要性やその実態を親子で学ぶことができる一冊です。

《10コの視点》


【主なキャラクター】
・小さな白い犬(ファシリティドッグ)
・こども(入院患者)
・看護師
・保健所の指導員

【舞台】
・こども病院

【構成】
いぬの先生が遅刻しながら病院に到着し、入院している子どもの元へと今日も寄り添いお仕事をする。

そんなある日、病院に保健所の指導員が来て、いぬの先生は子供たちに会えなくなる。

子供たちも、いぬの先生も元気をなくし数ヶ月が過ぎた頃、再びあの指導員が病院へ来て、自分の娘が病気になり助けて欲しいと看護師に泣きながら話す。

その夜、看護師は指導員の娘の事を、いぬの先生に頼みベッドの上で入院している、その女の子に寄り添いながら過ごす。

翌朝、女の子は回復し元気になる。

【文】
実話ということもあるのか、描写が細かく臨場感のある文体。
例えば、いぬの先生の病院の入り口がキッチンの裏口からとか、調理師さんとやけに仲良しなところ、それから濡れた鼻を入院している子ども達の体に押し当てる様子を表す言葉たち。

【絵】
いぬの先生の感情が水彩画で表現されている。
しっぽをふらずにキッチンの裏口に座って落ち込んでいる様子は、全体的に青みが強い白で描かれている。
子どもたちを助けようとして、階段をかけ上がっている絵は、毛並みが揺れているような躍動感たっぷりに描かれている。

【ハッピーエンド】
いぬの先生が数えきれないくらいの子どもを元気にしながらのハッピーエンド。

【カバー表表紙・裏表紙】
ベッドの上でピタッと病気の女の子に寄り添っているいぬの先生。

【見返し】
いろんな国の子どもの絵と、作者・訳者からのメッセージが添えられている。

【題字の文字】
清潔感がある青くて細い明朝体。中央揃えも素敵。
あと、作・絵の名前の中の〝・〟を肉球デザインにしているところも細かい。

《読み聞かせをしてみて》


『このいぬ、ママが好きだったペロににてるね(8)』

『こっちではさ、いないよね〜病院に犬なんて、いればいいのにねー(10)』

『そうね、いたらいいよねっ?そしたら治る患者さん、もっと多くなるのに(母)』

途中、シリアスな展開になっていき読み手も聞き手も真剣になりました。

《おしまいの言葉》


現在日本では4匹のファシリティドッグがいるみたいです。

・静岡県立こども病院
・神奈川県立こども医療センター
・東京都立小児総合医療センター
・国立成育医療研究センター

海外では、たくさんのファシリティドッグが活躍しているみたいなんですけど、調べてみると日本ではハードルが高いということがわかります。

・年間約1,000万の経費がかかる
・看護師もハンドラーとしての研修や5年以上の臨床経験が必要
・環境的にアメリカと同じような施設を作ることが難しい

実は今回の絵本、ジェーン・グドール好きな方からレビューしてほしいということで頂きました。

何も知らなかったわたしが、絵本レビューを通してファシリティドッグハンドラーという言葉を知ることになります。もちろん言葉だけではなく、現状も。

改めて、何事もまずは知ることだなって思ったんです。頂いたご縁に感謝ですし、ここまで読んでくださった方も、これをキッカケに学びに繋がれば嬉しいかぎりです。

そうやって循環できたら、もっとたくさんの命が救えるんじゃないかと希望がもてます。

日本でも、患者さんを支えるファシリティドッグが、病院に当たり前のようにいる日が来ることを願いながら。


☆彡ペロにも感謝なコボシより

よかったらコメントも📝✨

認定NPO法人シャイン・オン!キッズとは?


シャイン・オン!キッズは小児がんや重い病気と闘うこども達への支援を目的として、病院に常勤する特別なトレーニングを受けた「ファシリティドッグ」を派遣しています。活動は皆様からの寄付で成り立っています。ご支援よろしくお願い申し上げます。(HP引用)


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