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テラドック(TDOC) 銘柄分析

▪️はじめに

こんにちは。米国株投資歴1年6ヶ月のhariboo(ハリボー)と申します。
いつもは皆さまの米国株の銘柄分析の記事を見ているだけだったのですが、「自分でも何か一つまとめてみたい!」との思いで自分が好きな遠隔医療の「テラドック」についてまとめてみようと思います。
初投稿で読みづらい点があろうかと思いますが、米国株ファンとして、米国株に投資されている皆様のご参考になれば幸いです。
記事は有料としておりますが、無料で確認できます。もし、この記事を読んで少しでも参考になった方は、私の今後のモチベーションアップに投げ銭していただけると幸いです。

■企業概要

まずは企業の概要についてです。Yahooファイナンスより、概要を引っ張ってきました。
テラドックは、米国の遠隔医療プラットフォーム企業。インターネット、ビデオ、携帯電話を利用し、オンデマンドの医療を提供する。登録会員は、上気道感染症、尿路感染症や副鼻腔炎など急性疾患の診断や、皮膚の状態、不安感、禁煙などについて、1100以上の認定医や医療専門家に毎日24時間アクセスできる。本社はニューヨーク州。

設立年月日 2002年6月
代表者名 Mr. Jason N. Gorevic

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業種分類 医療関連 (Health Care)
市場名 NYSE(ニューヨーク証券取引所)
従業員数 2,400人
ウェブサイト www.teladoc.com

米国の遠隔医療におけるリーディングカンパニーとなります。
2015年7月1日にNYSEに上場。
その後、2019年には130か国で活動し、約2,700万人の会員にサービスを提供しています。

▪️サービスとビジネスモデル

Teladoc Healthは、サービスを6つのカテゴリに分類しています。

1.プラットフォームとプログラムのサービス
2.ガイダンスとサポート
3.専門家による医療サービス
4.メンタルヘルスサービス
5.遠隔医療
6.統合仮想ケア

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ソフトウェア会社として、Teladoc Healthは人工知能、分析、および「ライセンス可能なプラットフォームサービス」に関与しています。同社は主に電話およびビデオ会議ソフトウェアを使用して、オンデマンドの遠隔医療を提供しています。
患者はいつでもサービスにログオンでき、理事会認定の州認可を受けた医師と数分以内に接続できます。

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テラドックのサービスは「Fortune500」企業の40%以上で利用され、多くのクライアントを抱えます。
また、今後昨年買収した高血圧や糖尿病などの慢性疾患を日常的にデータ管理・分析する「リボンゴ・ヘルス」とのシナジーも生まれています。

リボンゴ・ヘルスとテラドックの相性はとてもいいと思います。
テラドックのサービスで診断した患者に、リボンゴ・ヘルスのスマートガジェットを通して毎日の記録や状態、経過を確認し、それをまたテラドックの診療に活かすことができるため、病院で直接診断してもらわずともより高度な診療が可能となります。

■業績

次に、テラドックの直近の業績について確認します。
テラドックのIR資料から確認してみましょう。

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売上のCAGR(年平均成長率)が70%以上、recurring revenue(企業が本来提供するサービス(営業活動)から、毎期継続・反復的に発生する収益)が80%以上と高い成長、業績の安定を見せています。

また、会員数が2020年予想で5000〜5100万人、訪問数も1060万人とコロナ禍もあり大きく数字を伸ばしています。
5000万人以上の有料会員がいると言うのは驚きです。

operating cash flow(営業活動によるキャッシュフロー)も2016年のマイナスから2019年にはプラ転、2020年予想ではさらにプラス幅拡大して6100万ドルの見込みです。

■強み

では、テラドックは一体何がすごいのか。
それについてIR資料に掲載があったので抜粋しています。
同社にの強みについてです。以下スライドを確認ください。

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(1)技術とデータの規模

これは言わずもがなですね。
遠隔医療のパイオニアとしてコロナになるずっとずっと前の2002年からこの事業をやってきたわけで、技術やデータ、ノウハウの蓄積は大きな資産となっています。

(2)業界をリードする利用率の推進

有料会員数が2020年予想で5000〜5100万人と年平均40%以上の成長、訪問数も1060万人と80%以上に成長とその規模は益々拡大しています。

(3) 臨床の専門知識と経験

同社の医師は、インフルエンザ、ピンクアイ、感染症、副鼻腔の問題、精神的健康の問題、皮膚科の状態などの緊急を要しない事態を治療します。
同社には、450の医療サブスペシャリティに関与する55,000 の専門家ネットワークがあります。薬は遠隔で処方することができますが、医師は麻薬やバイアグラなどの「ライフスタイル」薬を処方せず、場合によっては診療所や救急治療室に紹介します。
2019年には、同社は最初の訪問後に医療問題の92%が解決されたと発表しました。
Teladoc Healthには、約3,100人の認可された医師と看護師がおり、約30の言語でサービスが提供されています。

■今後の成長性

テラドックの成長性についてです。
同社は以下のように今後の成長性を見ているようです。

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まず、左側の図は“アメリカの遠隔医療会員のホワイトスペース”です。

ホワイトスペースというのは、要は今後の伸び代ですね。

それで言うと、アメリカの人口が3.2億人に対し、20年第三四半期のテラドック会員が7300万人、テラドックの潜在的なユーザーが6500万人と現在の会員、潜在的ユーザーを合わしても1.38億人しかいません。
そのため、残る1.82億人はまだまだテラドックが囲い込むことができる見込み先となります。

右図は“米国の糖尿病と高血圧症のホワイトスペース”です。

アメリカは肥満による糖尿病や高血圧症が社会問題になっています。
買収したリボンゴ・ヘルスがこれらのデータを集計・管理するデバイスを扱っているため、これを解決するのにテラドックが一役買う訳です。

現在テラドックでの潜在的な患者は1800万人、リボンゴ・ヘルスの20年第三四半期の利用者が50万人ですから、ホワイトスペースが5200万人と取り込める余地は十二分にあります。

■歴史

テラドックが設立してから今日に至るまで、まとめました。
流れを確認していきます。

 (1)2002年〜2008年 テラドック設立

Teladocは、2002年にテキサス州ダラスでG.Byron Brooks EEMDとMichaelGortonによって設立された米国で最も古い遠隔医療会社です。
Teladocの初期のビジネスモデルでは、患者はいつでも国の認可を受けた医師と遠隔で相談することができました。企業は従業員がサービスにアクセスするための月額料金を支払いましたが、患者は診察ごとに定額料金を支払うだけで済んだようです。当初は約35ドルから40ドルでした。

これなら患者の費用負担が限定され、企業は福利厚生としてサービスを提供でき、テラドック側も企業向けの案件となるためディールがまとまり、"win-win-win"の関係となりますね。

ゴートンを会長兼CEOとして、テラドックは2005年にイリノイ州シカゴで開催された消費者向けヘルスケア会議で全国的に立ち上げられました。 Teladocには2007年末までに約100万人の会員がおり、AT&Tなどの大企業が健康上の利益として従業員にサービスを提供しています。

この時にすでに100万人の会員、それも大企業との契約もあるとは驚きです。
当時から遠隔医療の裾野は徐々に拡大していたんですね。

 (2)2009年〜2014年 事業拡大

ジェイソン・ゴレビッチが2009年にテラドックの最高経営責任者に任命されました。同社の最初の民間資金調達ラウンドは2009年12月に900万ドル、 2011年1月に400万ドル、そして2011年9月に1860万ドルを調達しました。その年、Aetnaは、フロリダとテキサスで完全に保険をかけられたメンバーにTeladocを提供し始め、後に50州すべてでTeladocを提供しました。 Teladocは2013年8月にConsultA Doctorを1660万ドルの現金で買収し、中小企業がTeladocのサービスにアクセスできるようにしました。当時、Teladocは年間12万件の相談を完了しました。Teladocは2013年9月に1500万ドルを調達し、その時点での総資金は4660万ドルに相当します。

2011年頃には全50州でビジネスを展開。
各所に診療所を設ける必要がない、テラドックだからこその急拡大ですね。

Teladocは2014年5月にAmeriDocを1,720万ドルで買収しました。
Teladocの主要な競合企業であるConsultA DoctorとAmeriDocの買収により、Teladocは米国最大の遠隔医療プロバイダーになりました。800万人の患者を抱え、Teladocの医師はその年に299,000件の診察を行った。Teladocの売り上げは2013年と2014年の両方で2倍になり、Teladocは2014年9月に個人投資家から5,000万ドルを調達し、総資金は1億ドルになりました。

テラドックの特徴の一つに「買収」による拡大があります。
度重なる買収を経て、対応業務や遠隔医療ビジネスがほ飛躍的に拡大しています。

 (3)2015年〜2016年 テラドック ついに上場

テラドックの幹部がNYSEの鐘を鳴らす。
同社は2015年1月に350万ドルでBetterHelpを買収し、続いて2015年6月にStat Health Services.Inc。(StatDoc)を3000万ドルで買収しました。
4月のプロセスを開始した後、Teladocは2015年7月1日にニューヨーク証券取引所で公開されました。NYSEで唯一の遠隔医療会社、Teladocの新規株式公開は19ドルで公開されました。
1株あたりの時価総額は7億5800万ドル、企業価値は6億2000万ドルです。
株式が初日に50%急上昇したため、IPOへの最初の反応は肯定的でした。IPOの3か月後、Teladocの2015年の収益の1.5%を占める健康保険会社Highmarkは、契約の更新を中止しました。その結果、Teladocの株価は大幅に下落した後、以前のレベルに上昇しました。

満を辞して、テラドックがニューヨーク市場に上場しました!
公開価格は19ドル。
この記事を書いている2021年1月22日時点の株価は263ドルのため、公開価格から実に13.84倍になっています(この時から知っていれば…株式投資にたらればはつきものですね)。

Teladocは2015年1月に行動医療サービスプロバイダーのCompileIncを買収し、続いて2015年6月に競合他社のStat Health ServicesIncを買収しました。
その年、同社は競合他社のAmericanWellに対して提起された特許侵害訴訟に勝ちました。
2016年7月、TeladocはHealthiestYouを4500万ドルで買収しました。Teladocは2016年11月までに1500万人のメンバーを擁し、米国での市場シェアは75%でした。また、アーカンソー州とテキサス州を除く48州でフルサービススイートを運営していました。2016年12月、米国病院協会はTeladocの遠隔医療技術プラットフォームを独占的に承認しました。 Teladocはその年に952,000人の患者の訪問を記録しました。

2016年時点の米国市場シェアが75%と圧倒的な地位を築いています。
パイオニアとしてのアドバンテージが十二分に活きてます。

 (4)2017年〜2020年 普及、そしてコロナ禍へ

当時最大の買収で、2017年にTeladocは4億4000万ドルを費やして、医療相談会社であり、医療セカンドオピニオンと有料医療賞のリストを提供するBestDoctorsを購入しました。
その年の売上高は2億3300万ドルで、前年より89%増加しました。
2018年7月の時点で、Teladoc Healthのブランドには、Teladoc、Advance Medical、Best Doctors、BetterHelp、HealthiestYouが含まれています。
時価総額が41億ドルで、2018年8月10日、Teladoc Inc.は、ニューヨーク証券取引所での取引を継続しながら、社名をTeladoc Health Inc.に変更しました。
Teladoc Healthは、MinuteClinicsでのリモートコンサルトに関して2018年8月にCVSとの提携を開始しました。

業容はさらに拡大。
まさに止まることを知りません。CVSとも提携を開始し、順風満帆です。

2018年12月、TeladocHealthの最高財務責任者および最高執行責任者のMarkHirschhornは、従業員との性的関係およびインサイダー取引に従事したという報告を受けて辞任しました。Yahoo Financeによると、翌日には株価が約20%下落した一方で、投資家集団訴訟では、TeladocHealthがHirschhornの行動を開示しなかったために証券法に違反したと主張しました。Teladoc Healthは、虚偽の陳述または法的違反を行うことを拒否しました。 American Expressから参加し、MalaMurthyは2019年6月にCFOに任命されました。

そんな折、CFOにトラブルが。
色々ありながらも、成長は続きます。

2018年後半、TeladocHealthは遠隔医療会社AdvanceMedicalを3億5,200万ドルで買収し、ラテンアメリカ、ヨーロッパ、アジアの医師を雇用しました。2019年、フランスの健康会社MédecinDirectが買収されました。
2019年4月、TeladocはTeladoc TelemedicineServiceとともにカナダで発売されました。
2019年5月、同社は、患者安全と仮想ケアの質のための研究所と呼ばれる仮想ケア患者安全組織(PSO)を設立しました。
現在ニューヨーク州パーチェスに本社を置いており、2019年現在、同社は130か国で活動しており、約2,700万人の会員がいます。
DavidSidesは2019年にCOOに任命されました。
2020年1月、Teladocは、InTouchHealthを買収するために6億ドルを支払うことに合意したと発表しました。
同年8月、同社はLivongoHealthを185億ドルで買収すると発表した。

2018年頃からは、米国以外の地域にも拡大展開。
ラテンアメリカやヨーロッパ、アジアなど世界に活躍の場を拡げていきます。
昨年リボンゴ・ヘルス買収は驚きましたね。今後がワクワクする買収劇でした。


紆余曲折ありながらも、2002年の設立以来19年余りで現在のテラドックに至ります。まさに進撃のテラドックですね。

■まとめ

長くなりましたが、まとめに入ります。
テラドックは遠隔医療のパイオニアであり、2002年来重ねてきた買収や顧客対応で積み重ねた技術やデータを武器に、遠隔医療で圧倒的なプレゼンスを持っています。

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2023年まで売上高は30〜40%;の成長、売上の80%以上はサブスクリプション、60%半ばの粗利率、強固なキャッシュフローと業績・財務ともに期待できます。

コロナ禍で、今まで当たり前だった考え方が大きく変わろうとしています。
医療の分野もその一つで、今までなら「体調が悪いから病院に行ってくる」だったところが、これからは「体調が悪いから、スマホで先生に相談する」と変わっていくんでしょう。
その中でテラドックの優位性が際立つ時代がもうそこにきているように感じています。

最後までお読みいただきありがとうございました。
一つでも参考になる情報があれば幸いです。

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