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スイス 氷河の世界遺産 ユングフラウヨッホ

ドイツ語圏オーストリアに続き、公用語を4つ持つ国、スイスより。

スイス国内でメインとして使用される言語の割合は、以下の通り。

ドイツ語  (62.3%)
フランス語 (22.8%)
イタリア語 (8%)
ロマンシュ語(0.5%)

Source: FSO – Structural survey (2020)

*****

 
ユングフラウヨッホ Jungfraujoch
 
ベルン州とヴァレー州の境界線『スイスアルプス ユングフラウーアレッチ』は、世界自然遺産に認定されている。
アレッチ氷河は、スイスで一番長い氷河であり、24kmにもなる。
 
ユングフラウ Jungfrau 4158メートル。
メンヒ Mönch 4107メートル。

ユングフラウヨッホとは、この山々の稜線一帯を指している。
標高は3454メートル。
 
日本からドイツに遊びに来た友達のリクエストで、スイスを訪れる事になった。
氷河を見たいという希望から、ユングフラウヨッホの麓の街、グリンデルワルトGrindelwaldを訪れた。

小さい頃に見ていたテレビアニメ、アルプスの少女ハイジの世界が、そのままそこにあった。牛はカウベルを鳴らしながら草を食み、番犬が羊を追う。
目の前に聳える山々が美しくて、いつまでもそこにいたいと思うほどの絶景だ。

友達のリクエストで、山小屋風のホテルを予約した。
これでハイジの世界が完全再現できた!と友達は嬉しそうにしていた。
写真を基に探してみたのだが、どうやらこのホテルはもう取り壊されたようだ。
是非もう一度泊まりたかったので、非常に残念だ。

友達は、氷河を見たいけれどハイキングのようなアクティブな事は苦手だと言う。
そんな訳で、麓で少しだけハイキングをして、登山鉄道を乗り継ぎ、ユングフラウヨッホまで進む事にした。

これから乗る登山電車を見ながら、麓をハイキング。

車窓から。
どんどん山が近くなり、雪と岩肌だけの世界になる。

ユングフラウヨッホ駅は、ヨーロッパで最も標高の高い鉄道駅だ。
到着駅には、こんな表示がされていた。

季節は8月。
麓は花が咲き、半袖で過ごせるほどなのに、頂上は吹雪だった。

スフィンクス展望台より。
看板の向こうは、アレッチ氷河だ。

展望台の外に出ていられるのも、たった数分。
吹雪の中、氷河の上を歩いていく人の姿を遠くに見つけたが、小さな豆粒くらいに見える。
その時、夢枕獏さんが書かれた『神々の山嶺』を思い出してしまった。
私はその本がとても好きで、何度も何度も読み返している。
 
少し晴れ間が出て、私はその氷河の姿を見ることができた。
雪原ではなく、氷河だ。

辺りは吹雪いており、良い写真はほぼ残っていない。
吹雪の中、少しだけ雪原を歩いたが、少し外にいるだけで体が冷えてしまう。
 
再び晴れ間が出て、下のほうまで見渡す事ができた。
切り取られたような、鋭角な山肌。

展望台は崖の上に建てられており、下が見えるので、ちょっとした勇気試しだ。

上の写真だけでは、全体像が分からないので、以下スイス観光サイトからの写真。
この展望台は、このような場所に建てられており、右側がアレッチ氷河。
晴れていたら、このように見えるそうだが、私が見ることができたのは、上の写真のようなものだけだった。

さて、氷河の氷は、青く見えるのだそうだ。
これは、グレシャーブルー(氷河の青)という名前が付いた独特の色だという。
通常の氷は気泡が多くあると白く見えるが、その空気が圧縮されて外に逃げていくと透明に見える。
それがもっと圧縮されるとどうなるか。
水は赤い色の光を吸収するが、青い色の光は吸収しにくい。
そのため、氷の中で反射を続け、私達には青い光が見えるのだそうだ。
 
私の想像を超える雪の圧力が、この氷を青くしてしまう。
自然の力の偉大さに、驚愕する。
 
登山列車の途中の駅で、氷河を間近で見られる地点があるのだが、吹雪で見ることができなかった。
是非、その氷河の青を、いつか間近で見てみたい。

wikipediaより

こちらは、頂上の氷の宮殿に展示されていた氷を使ったアート。
ペンギンなどの動物が彫られていた。

麓に戻ってからは、友達とチーズフォンデュやラクレットを注文し、チーズが溶けていく香りとその様子に興奮した。
とても美味しかった。

帰りの電車に揺られながら、ふと目に留まったのは、麓を流れる川の水。
それは、白く濁っていた。
氷河から流れる水が白い事を、私はグリンデルワルトで初めて知った。
これは、グレシャーミルクと呼ばれているそうだ。
 
氷河は、河だ。
全く動いていないように見えて、生きている。
ゆっくりと移動する間に、氷河は岩盤を削り、その削られた粉が水に混ざり、白く濁らせるのだそうだ。
 
頂上の氷河のグレシャーブルーが、麓に来るとグレシャーミルクになる。
頂上にある氷河が、麓に降りてくるまでには、一体どのくらいの年月がかかるのだろう。
調べてみたところ、最新のGPS計測により、ユングフラウ地域では、1年に10mほど移動することを確認したそうだ。
ざっと計算して、400年ほどの時間をかけ麓までやって来るのだと思うと、その年月の前に、自分の存在がちっぽけに思える。
 
グレシャーブルー。
そして、グレシャーミルク。
 
どちらも、自然の力が長い年月をかけて生み出した色。
 
何故か分からないけれど、その2つの色の名前が、いつまでも私の頭を離れなかった。
 
次は、是非この街にゆっくり滞在したい。
そして、氷河の上も歩いてみたい。
グレシャーブルーを、是非この目で見てみたいから。

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