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ライプツィヒ 歴史が動く街

ライプツィヒ Leipzig
 
ドレスデンを訪れると決めた時、同時にライプツィヒを訪れようと決めていた。
 
ライプツィヒは、民主革命を代表する都市。
一番最初に訪れたいと決めた場所、それがニコライ教会だ。

Nikolaikirche

ニコライ教会では、1982年9月より、毎週月曜にフューラー牧師により「平和の祈り」が捧げられるようになる。
そして86年からは、ヴォンネンベルガー牧師が担当。
1989年からは、祈りの後に参列者が市内を行進するようになり、これが月曜デモ、民主化運動への始まりとなった。
後に、この運動は、ドイツ統一への運動に変化していく。

また、この教会はバッハゆかりの教会としても知られており、教会内部にはバッハの胸像も見つけられる。

トーマス教会

バッハの教会と言えば、トーマス教会もバッハゆかりの教会として有名だ。
バッハが演奏していたと言われているオルガンは、今も教会に残っており、教会内にはバッハのお墓もある。

この教会の近くにはライプツィヒ大学があり、メルケル首相が卒業した大学としても知られている。
当時は、ライプツィヒ大学という名前ではなく、カールマルクス・ライプツィヒ大学という名前だったそうだ。
物理学を学んでいたメルケル首相は、現在使っている苗字、メルケル氏と出会い結婚。
後に離婚し、今は別のかたと再婚しているが、今もなお元夫の苗字を使っているのだそうで、初めて知った時には驚いた。

旧市庁舎

このどちらの教会とも近い場所には、旧市庁舎があり、この前の広場はマルクト広場と呼ばれている。
ちょうど市が開催されており、野菜や果物、軽食の露店など、人々で賑わっていた。

この広場の近くにはアーケード街があり、中には、ゲーテのファウストにも登場するレストラン『アウアーバッハス・ケラー』がある。

レストランの入り口には、記念像も。

私達は、残念ながらこのレストランでの食事はできなかった。
 
しかし、私達の目的地は、まだまだある。
それが、ライプツィヒ現代史博物館だ。 

ライプツィヒ現代史博物館

私はここが、ライプツィヒの中で一番印象に残る場所となった。
前述のニコライ教会での運動から始まった市民運動から、東西ドイツ統一までの流れが、様々な資料と展示物によって説明されている。

1989年9月30日
プラハの西ドイツ大使館での出来事。
ゲンシャー外相が大使館のバルコニーに立ち、
スピーチをする。
「皆さん、ドイツ連邦共和国への“出国”が
本日可能になりました」 

1989年11月9日、シャボウスキーの記者会見の時に使われていたデスク。

ベルリンの壁は、たった一夜で築かれたと言われているが、その崩壊もあっという間の出来事だった。
 
社会主義統一党のギュンター・シャボウスキーは、西ドイツへの出国緩和の発表を行った。
旅行許可の新政令の発効はいつからかと問われ、実は彼は内容を詳細まで把握できていなかったため、記者団に対して『即刻』と返答してしまう。
この彼の勘違いにより、ベルリンの壁を即刻越えることが可能になってしまった。
 
『歴史上最も素晴らしい勘違い』と呼ばれる所以だ。
 
彼の手元にあったメモ。
彼は、会議に出席していなかったため、記者会見の前に、重要事項だけを短い時間でメモをしていただけだった。
そのため、政府が意図していた事とは全く違った内容を発表してしまったのだという。

同日11月9日の20時、西ドイツ第一公共放送ARDが「東ドイツ、西への国境開放」と報道する。
人々が一気にベルリンの壁へ集まり、私達が度々目にしてきたあのベルリンの壁崩壊のシーンに繋がる。
 
当時の様子を録画していたレコーダーとそのカセット。
このカセットの画像が、世界各地で流れたのだ。
 
このように、報道が歴史を変える事があるということ。
報道の在り方について、深く考えさせられた。

諸国民戦争記念碑

私達がライプツィヒでもう一つ訪れたいと強く思っていたのが、諸国民戦争記念碑。
市内からは少し離れてしまうが、路面電車に乗ればすぐだ。
 
ここは、1813年のライプツィヒの戦いの舞台。
この地でナポレオンがついに敗れ、彼の夢が終わった場所である。

この記念碑は90メートルほどの高さがあり、上部まで登ることができる。
記念碑の上部からの見晴らしは大変素晴らしく、ここで大きな戦が行われていたとは思えない程、平和な風景が広がっている。

記念碑と同じ敷地内には、博物館が併設されている。
ナポレオンとの戦いの資料が、所狭しと展示されているので、ナポレオンファンにとっては是非訪れたい場所だろう。
 
ライプツィヒ。
昔も今も、その場所で静かに、時代の転換期を見守ってきた場所。
私には、そんな印象が残った街だった。

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