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ニュルンベルク 天使に会える街

ドイツには、クリスマスマーケットが有名な街がいつくかある。
これまでに記事に書いたケルンやドレスデン。
そして、ニュルンベルクも忘れてはいけない。
『世界一のクリスマスマーケット』と呼ばれているのは、ここニュルンベルクだからだ。
 
クリスマスシーズンには、毎年200万人もの観光客が訪れるそうだ。
2020年、2021年は立て続けに中止となったが、これは大戦後初めての事だったという。
 
私の知り合いがニュルンベルクに住んでおり、近々引っ越しをすると連絡があった。
そして、ぜひ引越前に遊びにおいでと誘って頂き、たまたまクリスマス時期にお邪魔した。
 
ニュルンベルクのクリスマスマーケットは、他の街と違い、クリストキントChristkindと呼ばれる天使がいる。
先日の聖ニコラウスのお話に書いた通り、ドイツでは聖ニコラウスもしくは、このクリストキントが子供達にプレゼントを配ると信じられている。

この天使は、2年に1度、街に住む女の子たちから選ばれ、それから2年間、天使を務める。
この様子はテレビ中継されるが、選ばれた女の子の嬉しそうな笑顔を見て、こちらまで嬉しくなってしまう。
 
彼女が、2021年、2022年のクリストキント。
このように黄金の羽のついた衣装を着ている。

クリストキントが、広場に集まった観衆に向かい開幕宣言をし、クリスマスマーケットが始まる。
 
去年は、新しいクリストキントが選ばれたものの、マーケットは開催されなかった。
悲しみを隠しながら、彼女はそれでも健気に、人々に向かって、夢や勇気を忘れないで欲しいと訴えかけていた姿を思い出す。
今年は無事に開催されて、本当に嬉しい事だ。
 
ニュルンベルクでは、クリスマスマーケットではなく、クリストキントマーケットと呼ばれる。

道路の上に飾られているのが、クリストキント。

ニュルンベルグのマーケットは、聖母教会前の大きな広場が会場。
Frauenkirche
そこに、屋台が連なるように建っている。

クリスマスマーケットの様子。
あまりにも寒くて、写真を撮る余裕もない程で、写真がほとんど残っていないのが残念だ。

こちらは、街の観光サイトからの写真。
その華やかさと共に、マーケット全体がどれほど大きいかが分かる。

こちらは、聖ローレンツ教会 
St.Lorenz Kirche

ニュルンベルグは、私が一番好きなニュルンベルガーソーセージの街。
いつもは屋台で焼きソーセージを食べるが、その日は私達はお腹を空かせ、ニュルンベルガーソーセージの元祖と言われているレストランBratwursthäusleに足を運んだ。
いつもは、予約がなかなか取れないほどだそうだ。
注文は、何をではなく、何本かという注文なのが面白かった。
みな当たり前のように、ソーセージを食べに来ているからだ。

写真はお店のサイトより

また、街の中には職人広場という場所があると知人が案内してくれた。
中世の街が蘇ったかのような広場。
ニュルンベルクでは、手工芸品の生産が盛んに行われていたそうだ。
例えば、ブリキ細工や、ステンドグラスなどが、それに当たるのだと教えてくれた。
 
余談になるが、ドイツの伝統工芸品、木材のおもちゃの製造が盛んなのは、ニュルンベルクとライプツィヒのちょうど中間あたりにある山岳地帯、エルツ地方。
ここで、冬の間の収入源として多くの木材加工品が作られ、それはいつしか伝統工芸品となった。
 
ニュルンベルクとライプツィヒは、どちらもクリスマスマーケットが有名だ。
この地方で作られたおもちゃは、こうしてニュルンベルクやライプツィヒという集客力のある街に集中して販売されている。

翌日私達は、雪の中をKaiserburg 皇帝の城へ向かった。
城は高台になっており、城の近くでは子供達がソリ遊びをしていた。

1050年、ハインリッヒ3世によって建築が始められた城は、皇帝という名が付く通り、神聖ローマ帝国の皇帝たちが住んだ場所。
華やかさはないものの、歴史を感じさせる建物だ。

当日は、かなりの雪が降っており、高台にある城からは、真っ白な街並みが見渡せた。
雪のニュルンベルクも綺麗だが、いつか緑のニュルンベルクも見てみたいと思う。

ニュルンベルクの街の様子は、先日ポッペちゃんさんが記事にされていました。
記事を読み、またニュルンベルクに行きたいという気持ちが強まりました。
ポッペちゃんさん、いつも素敵な記事を読ませて頂き、ありがとうございます!

さて、ニュルンベルクには、子供達がクリストキントに宛ててお手紙を出せる場所がある。
サンタさんへお手紙を出せるのと同じシステムだ。
 
2020年のテレビ取材で、お手紙担当の方へインタビューが、私の脳裏にまだ強く残っている。
担当のかたは、クリストキントの代理として、子供達一人一人へ、丁寧にお返事をするのだという。
2020年には、子供達からこんなお手紙が殺到したそうだ。

おもちゃは要らないから、友達とまた一緒に遊びたい。

おじいちゃんおばあちゃんに、早く会いたい。

コロナをやっつけて欲しい。

このように、心理的なお願いが非常に多かったという。
こんなお願いを受取ったのは初めてだと、担当のかたは、少し悲しそうな顔をして答えていた。
 
子供達にとって、おもちゃよりも、祖父母や友達に会いたいという願いが強いことを好ましくも思い、またその状況を非常に苦しくも感じた。

さぁ、今年こそは、子供達がクリストキントにたくさんのおもちゃをお願いできる年になった。
お手紙担当のかたは、きっと子供の願いを微笑みながら読み、せっせとお返事を書いた事だろう。
 
クリスマスマーケットについて、一つ気付いた事がある。
それは、クリスマスマーケットそのものが恋しい訳ではない、という事だ。
クリスマスマーケットの持つ華やかな世界、イルミネーションの煌めき、美味しい食べ物や飲み物、それらは大変魅力的なものだ。
しかし、何よりもそこには、人々の笑顔や温かさ、喜びがある。
それは、完璧なまでに、幸せの象徴のように見える。
だからこそ私は、クリスマスマーケットが、こんなにも好きなのだろう。
 
先日、第4アドベントを迎え、4本全ての蝋燭に火を灯し、クリスマスを迎える準備は整った。
 
そして、今日は冬至。
これからは、春に向けて少しずつ明るい時間が増える。
 
悲しそうな顔の天使を見るのは、もうこれでおしまい。
天使には、いつも笑顔でいて欲しい。

天使の笑顔に会える街、それがニュルンベルクだから。

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