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【小説】GATE~時空調査庁~

西暦2013年10月 某所

何者かの手により公安庁職員が殺害された。
近隣住民の話によると、当時、複数の男が口論している声と3発の銃声が聞こえたという。だが、メディアでは酔った上で車でハネられたという報道がなされて終幕した。

この事件の裏には何があるのか?
若手の公安庁職員 戸北はじめ(24歳) は、ひょんな出来事がきっかけで、数年前に発生した公安庁職員の死亡事件の真相を追う事になる。

あの雨の日の夜、池袋の酒場で出会った謎の男が、これから彼の運命を大きく左右することになろうとは、この時はまだ予想もしていなかった。


西暦2015年 現在
場面:池袋のとある酒場

はじめは仕事帰りにBarで一人で飲んでいた。
すると隣に座ってきた男が話しかけてきたので、一緒に酒を飲み始めた。

世間話から始まり、話がだんだん盛り上がってきたところで、男はふと妙な話をしだした。

謎の男:「君は将来、タイムマシンは開発されると思うかね?」

はじめ:「えっ、タイムマシンですか?(笑)まあ、今年はあの有名なSF映画で描かれた未来の世界と同じ2015年ではありますが、さすがにその技術が完成するにはまだ時間がかかるのではないでしょうか?そもそも、私自身はできるとは思っていませんがね。

そんなものが開発されてしまえば、この世界はいくらでもやり直しが効く事になっちまう。それに、大きく歴史が改変されてしまう可能性だってあるでしょうね。そうなると、警察では役に立たなくなる。

よく漫画とかに出てくるような、時空警察なるものでも設立されて、大きく歴史を変えてしまうような出来事や人物を監視するシステムが必要になるでしょう。」

謎の男:「ほう、君はなかなかセンスがあるようだね。では仮に本当にタイムマシンが存在するとしたら、そして、目の前にマシンがあたら、君はそれをどう活用するかね?」

はじめ:「そうですねーまずは宝くじでも買いますかね。あと競馬のニュースもチェックしなきゃ!(笑)

まあ、もしそんなものが本当にあるのだとしたら、9.11を未然に防ぎ、3.11の震災の被害を最小限に抑えようとするでしょうね。それから、原発は日本には建設させない、とか。」

謎の男:「だが、本来起こるはずの出来事を回避してしまうと、そこから世界は分岐をはじめてしまう。

あまり良い例えではないかもしれないが、たとえば、9.11で死んだ人間が、生き延びる世界が生まれることで、その世界では、生き延びた人物の中から史上最悪のテロリストが誕生し、本来の歴史の流れとは違う世界線が生まれてしまう可能性だってある。

あるいは、アメリカがイラクを攻めなかったことが引き金で、イラクが化学兵器を中東で使用し、それに対抗すべくイスラエルが戦術核で応戦し、世界核戦争が引き起こされたかもしれない。」

はじめ:「あなたはまるで、実際にそういう世界を見てきたかのような話し方をしますね(笑)まあ、酒のつまみとしては面白いお話だ。ご職業は小説家か何かですか?」

謎の男:「いや、どこにでも居る普通の人間だよ。」

はじめ:「ちまたではそんな都市伝説じみた話ならいくらでもありますよ。やれ人工知能が世界を支配するだの、宇宙人が攻めて来るだの。僕は実際に自分のこの目で見ない限りは、タイムマシンなんてものは信じませんよ。そもそも僕が生きている間に完成する事はないでしょうけどね。」

謎の男:「確かに、君の生きている間にはマシンは開発されない。だが、もっと先の未来で開発されたマシンを過去のエンジニアたちに技術供与する事は可能だ。」

はじめ:「???」

謎の男:「マシンは開発された時点を基軸に前後50年がジャンプの限度なのだ。だから、限界まで過去に遡り、その時代の人類へ技術を供与する。そうすれば本来の時間軸よりも50年も前に、その時代ではタイムマシンが開発される事になる。これを繰り返して行くことで、更に過去へと遡ることができる。

ただし、その弊害として、いくつもの世界の分岐点を生み出してしまうことにはなるのだが・・・

タイムマシンの開発元年を2015年までもっていくことで、あの、悲惨な未来を辿ることは少なくとも阻止できるはずなのだよ。」

はじめ:「あの、悲惨な未来とは?」

男は突然、周囲の客を気にしながら、今までよりも少し小声で話し始めた。

謎の男:「本来の時間軸では世界は核戦争で滅亡するのだよ。生き残った少数の人類は地下で生活するようになる。また、富裕層は火星のコロニーへ移住して生活を始める。

放射能で汚染された大気、酸化して赤くなった海、地球では水すらまともに入手できなくなる。

そんな中、ある人物が時空転送システムの基礎理論を発見する。その理論を応用してタイムマシンが完成するのが2140年代だ。彼の存在なしには我々は、現在のレベルまで地球を再生させる事などできなかった。

その人物こそが、君の子孫にあたる戸北 博士なのだ。
だから私は、今日こうして君に接触しているという訳だ。

我々よりさらに先の未来からは放射能除去技術を、そして我々の遠い過去からは、かつて地球に生息していた動植物の種を入手する事を可能にしてくれたのも、全てはタイムマシンのおかげなのだ。」

はじめ:「つまり、あなたは未来から来たという事ですね!」
謎の男:「ああ、そうだ。」

はじめ:「なるほど、あなたはかなり作家としての才能が高いようだ!次回作はかなり面白いものが出来ること間違いなしですね!本が発売されたら私も是非、読ませてもらいますよ。」

謎の男:「突然のことだ。君が私の話を信じられない事はわかっている。だが、これから先、君は必ず今日この日の話を思い出す日がくるだろう。その時が来たら、私はもう一度君の前に現れよう。」

そう言って、その男は席を立ち、会計を済ませて店を後にした。

「俺の子孫がタイムマシンの理論を発見??あの人は何を言っているんだ?」

そんな事を思いながら、はじめは追加のウィスキーを注文し、煙草に火をつけた。


これは、6年ぐらい前に書き留めた小説のあらすじです。
この続きは・・・

いつになるか未定です(笑)

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