マガジンのカバー画像

社会構成主義

35
あくまで1個人の解釈・実践・読書会などのまとめです。
運営しているクリエイター

#ガーゲン

ガーゲン 社会構成主義 読書会記録まとめ

 2021年頃から、ガーゲンの著書のオンライン読書会に参加して、少しずつ社会構成主義についての学びを深めてきました。  今回4冊目を読み始めるにあたって、過去の読書会での自分の学びを一覧にしておきたいと思います。 関係からはじまる 日本での出版は2020年。500ページの大作ですが、「関係」ということに焦点を当てて、1つ1つ詳しく解説されています。 第1章 誰もが「私」から世界を見ると起こること 第2章 生きている限り関係なしで成り立つものはない 第3章 「心の中のこと」

「対立」は価値観が広がるよいチャンス(関係の世界へ第6章)

 社会構成主義のガーゲンの新作「関係の世界へ」のオンライン読書会の記録です。※あくまで個人の受け取り方・感想です。  第6章は、さまざまな場面で起きる「対立」について、いろいろな視点が提案されています。  私自身は「対立」と聞くと、「対立はいけないもの」「解消しないといけない」と無意識に思っていたことに気づきました。  ところが本章の中では、対立がある状態というのは、多様な価値観がある状態、すなわち学びの機会であるということが示されています。  逆に、共通の価値観同士で

それってホントに「病気」で「患者」?(関係の世界へ第4章)

 社会構成主義のガーゲンの新作「関係の世界へ」のオンライン読書会の記録です。※あくまで個人の受け取り方・感想です。  第4章は、ヘルスケアの領域ということで、過去作の「現実はいつも対話から生まれる」で出ていた例を思い出しました(医者のコミュニケーションが変わっただけで症状が改善した話)。  前章の「教師(教える側)←→生徒(教わる側)」と同じように、ヘルスケア領域で言うと「医者やセラピスト(ケアする側)←→患者(ケアされる側)」という断絶がある状態では?というところからス

教育は「ポジティブな協応行為」の流れに参加できるようにすること(関係の世界へ第3章)

 社会構成主義のガーゲンの新作「関係の世界へ」のオンライン読書会の記録です。※あくまで個人の受け取り方・感想です。  第3章は、前作「何のためのテスト?」をぎゅっと濃縮したような章でした。  教育って一般的に、「教師←→児童生徒」の上下関係で「評価する側→評価される側」という印象が強いと思うのですが、評価軸自体も児童生徒と一緒に考えていき「ポジティブな協応行為の流れに参加できるようにすること」が提案されてます。  今回特に刺さるなあと思ったのは、「人は、1人で成功したり失

つくりたい関係性を、「シナリオ」で考える(関係の世界へ第2章)

 社会構成主義のガーゲンの新作「関係の世界へ」のオンライン読書会の記録です。※あくまで個人の受け取り方・感想です。  第2章は、前々作「関係からはじまる」の第5章をより深めるような回で、私が好きな「変幻自在的存在」や「シナリオ」などがわかりやすくまとめられています。  「変幻自在的存在」は、1つの前提のような概念だなと思ってます。例えば「私」という存在は、母であり、娘であり、妻であり、友人であり、同僚であり……と、いろんな側面を持っています。  また、「役割」に限らず、イ

日々の世界は、人と人との関係性と言葉でつくられる(関係の世界へ第1章)

 社会構成主義のガーゲンの新作「関係の世界へ」のオンライン読書会の記録です。※あくまで個人の受け取り方・感想です。  第1章は、「関係」がなぜ大切なのか?が書かれています。以前読書会でも読んだ「関係からはじまる」の第1章・第2章のあたりが非常にわかりやすくまとめられている印象です。  面白かったのは、既に「関係からはじまる」を読んで分かった気になっていたことが、360度ぐるっと回って改めて定義づけられた感覚だったことです。  例えばこの章のメインである「協応行為」は、個

万能薬ではないけれど、多様な視点のメガネをくれる社会構成主義(タオス・インスティテュート・ジャパン 設立総会 1日目)

 社会構成主義についての、タオス・インスティテュート・ジャパンの設立総会が、2023/9/9〜9/10関西大学で開催されました。  研究者でもなければ、何かの学会にも入ってない、本当にただの一般人として家族への実践しかしてない私でも参加していいんだろうか?とビビってましたが、めちゃめちゃあたたかい空間で、楽しすぎる2日間でした。  個人的な振り返りを、2日分に分けてアップしたいと思います。 社会構成主義とは(私見) 「主義」ってつくとあやしく見えるよねという話題も出てま

テストを対話のツールに使う ー子どものテスト、点数以外に着目するには?

 子どもが小学生になり、テストを持って帰ってくるようになりました。  最近、社会構成主義第一人者ガーゲンの「何のためのテスト?――評価で変わる学校と学び」という本を読んでることもあって、ただ点数をほめるのは良くないなあと強く思うように…。  そんな私がこの数ヶ月気をつけているのは、点数以外のことに着目して、テストを対話や振り返りのためのツールとして使うことです。  私が気をつけていることを簡単にまとめてみました。 点数以外の着目場所▶︎点数は良い時だけ言及  私自身は親か

半径5mの関係性をやわらかくする社会構成主義にハマってる話

 ガーゲンの「関係からはじまる」という本に出会って以来、すっかり社会構成主義にハマってます。  ざっくりいうと社会構成主義とは、「社会」は関係性で「構成」されているという「主義」と、とらえていて、家族や職場の人間関係をなめらかにする上でとても役に立つと感じてます。  初めて読んだのは、「現実はいつも対話から生まれる」。これは入門編のように短く分かりやすくまとめてはあるのですが、それでも2/3は理解できない感じで終わりました。まとめはこちら↓  その後、ご縁があり「関係か

「何のためのテスト?――評価で変わる学校と学び」訳者あとがき(読書会記録)

 社会構成主義第一人者ガーゲンの「何のためのテスト?――評価で変わる学校と学び」のオンライン読書会、3月から読み始め、ついに「訳者あとがき」まで読み終わりました!  今回はこれまでを振り返りつつ、各自が思い浮かんだことを話したりな回でした。 改めて…評価は文化や文脈によって変わる  訳者あとがきの中にも特徴的なエピソードが出ているのですが、改めて、評価ってその時々の置かれた環境で180度変わっちゃうよねという話からスタート。  評価の基準に子どもを無理に合わせるのではなく

「生成的な協調」の対話を増やすためのスキル『何のためのテスト?』第9章(読書会記録)

 社会構成主義第一人者ガーゲンの「何のためのテスト?――評価で変わる学校と学び」のオンライン読書会の記録です。※あくまで個人の受け取り方・感想です。  第10回は第9章。最終章として、最後は教育システム全体について述べられていました。  ひょっとして、最初に第9章を読んだら、全体のダイジェストとして分かりやすかったのか?!とも一瞬思いましたが、きっと1章ずつ読み上げてきたからこそ理解できる部分もあるんだろうなという感じです。 生成的な協調のスキル  特に第2章で書かれて

変化のスピードが早い今、知識習得より、楽しく学び続けられる力が大事『何のためのテスト?』第8章(読書会記録)

 社会構成主義第一人者ガーゲンの「何のためのテスト?――評価で変わる学校と学び」のオンライン読書会の記録です。※あくまで個人の受け取り方・感想です。  第9回は第8章。授業評価、学校評価ときて、教育改革全体の視点から、改めて関係に基づく評価について書かれています。面白いのは、読み手の反論を想定し、対話形式で回答をしているところ。  ここまで読んでて、でもきっと難しそう……と思ってたことへのアンサーが書かれてました。 カリキュラムはガイドやコンパス  教育とは均質性を確保

学校自体も、多軸で評価をしていく『何のためのテスト?』第7章(読書会記録)

 社会構成主義第一人者ガーゲンの「何のためのテスト?――評価で変わる学校と学び」のオンライン読書会の記録です。※あくまで個人の受け取り方・感想です。  第8回は第7章。前章は教師に着目していましたが、今回はさらに視点を上げて学校自体が注目されています。 テスト結果だけで「良い」学校とするナンセンスさ  PISAのような国際的なテストを始め、日本国内でも行われている統一のテストを行うことで、テスト結果が良い学校=「良い」学校、って本当にそうなんですか?という投げかけがされ

教師1人が学びの責任を持たない、包括的なアプローチとは『何のためのテスト?』第6章(読書会記録)

 社会構成主義第一人者ガーゲンの「何のためのテスト?――評価で変わる学校と学び」のオンライン読書会の記録です。※あくまで個人の受け取り方・感想です。  第7回は第6章。これまで子どもの視点で、いわゆる工場生産のような学校教育の弊害が書かれてきていましたが、今回注目されているのは教師です。 現状の教師への評価  私自身は教師ではないので、本に書いてあること&読書会に参加している教師の皆さんの話となります。  現状の多くは、生徒のテストの点数=教師の評価となってしまいがちだ