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ポインセチア

沈んでいけそうなほど
深いブルーのインクで
便箋から君の声がする
荒い手触りの紙の上でやけに
はっきりとした君の文字は
真剣な君の声みたいで
何故かいつも笑ってしまう

これまでの人生よりこれからの人生のほうが
きっとずっと長いはずで、今
感謝しなければいけない。この偶然とやらに
願わくばもう少しだけ早く、出来れば別のどこか遠いところで
これまでの人生の一部であれたなら
返事に込めた思いを一度
焼き捨てる必要すらなかったのだとしたら

ロマンチックは遠すぎて、ラブロマンスが憎たらしいよ
台本に書かれた誰かの言葉を下手な演技で良いから言わせて
ロマンチックが似合わなくて、プラトニックにすらなれやしないよ
赤いポインセチアみたいでいいから今夜だけ夢で咲かせて

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