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半重力の詩

いつもこうしてプカプカと浮かんでいるのは
沈むほどの重さがないだけ
なんてこと、誰にいえるだろう
いつもニコニコしているねなんて言われても
悲しむだけの勇気が持てないこと、
きっとバレているのだろう

幼い頃、私は風船になりたかった
色鮮やかに空に浮かんでいたかった
一度手を離せばもう戻らずに
風に吹かれるほどに、自由で
誰も知らない、誰も気づかない場所で
そっと縮んで朽ちることを代償としても

いつからこんなに頑なで、
影も残さないほど刹那に懸命で
縛り付けられたような表情を覚えたのだろう
そうか、薔薇色に魅せられた私の負けなのか、
自由の代償が空気に溶けられないことを
知った私の、負けなのだ
溶けられぬ怖さに怯えた
私の、負けなのだ

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