開閉を繰り返す自動扉の少し後ろで、
困った顔の君がいる。
君は扉が閉じた時ばかり前に進もうとして
額をぶつけている、その度に忌々しげな顔で
透明な硝子を見つめているけれど、
それはきっとお門違いなのだろうなあと思う。

扉に近づくほど遠くまで見通せてしまうけれど、近づくほどに、開いた扉の中に入らなければ
行けないような気がして足は竦むけれども、
君の脚はもう前に進もうとして
足踏みすらしているのだから、
今、君の心は裏切りだ。

怖がる君が半歩下がる、
開閉を始めた扉の前の君へ
周囲の目は冷ややかなので、
ここが冬なのだと君もいつか分かるだろう。

ところで僕の目の前の扉は
随分と固く閉ざされていて、
しばらく押し続けていたのだけれど、
引き戸だったことに気づいたのは、昨日だよ。

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