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小人

逃げるつもりはなかったんだ。
遠のく足は饒舌だ。
傷つかないための嘘と
傷つけるための本音の間を
放課後のチャイムが埋めていく

曝け出して、むき出しで、面と向かって
相対することがそんなに正義なら
嘘発見器に似たこの液晶画面に
僕は何をタイプしたらいい?

狭すぎるよ、世界は
小さな自分にはお似合いで
ただ認めたくないだけ
夕暮れの駅も知らないネオンも
眩ませるだけで照らせない

これから何十年分の道程
背負っているなんて勘違いを
本気で信じているから
足の踏み場もないくらいに
捨て去った夢や希望が朽ちていく

精一杯さ、一呼吸
足りない酸素を拒むように
この全力疾走にゴールはない
汗も吹き枯れる。涙は熱い。
空っぽな肺に未来は満ちる

***後記***
高校生の頃を急に思い出して、懐かしさとともに書きました。
今日、死ぬか生きるか、なんて究極の選択を迫られているわけでもないのに
青春が何もかも大げさにしていくような日々を藻掻いていました。

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