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オアシス

声までも凍りつきそうな部屋で
僕らは三七度のオアシスだった

窓の外を見る勇気もないのに、カーテンだけは
いつも開いていて
ガラス越しに迫る雲が
ありとあらゆる空間を押しつぶしていったあと
残ったコンセントの穴の中で喘ぐように、吐く息

霜のついた、まだ洗いたてのタオルさえ
何も言わずに春を待っているというのに
僕らは少しでも暖かい方へと
踊る陽だまりを追いかけたまま、抱き合って死ぬだろう

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