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人は二度死ぬ


花の名前を知らぬまま
男は死んだ
白い花瓶にそれを入れた人の名も
それを綺麗だと褒めた人の名も
彼はなに一つ知らずに死んだ

だからそれが誰であろうと
悲しむことも喜ぶこともできず
そもそも悲しみや喜びとは
一体なんであったかも思い出せず
つまりそれが彼にとっての
死そのものだったのだと気づきもしないまま
彼は死んだのだ

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