【超短小説】年雄とセンス
年雄は朝のワイドショーを観ながら、独り言を言っていた。
「このコメンテーター、言ってる事は合ってるんだけど、センスねーなー」
「このコメンテーター、めちゃくちゃ言ってるけど、センスいいなー」
センスが良ければ、めちゃくちゃでも好き。
センスが無ければ、正しくても嫌い。
年雄はセンスで決める。
・・・センスって何だ?
そもそもセンスの良し悪しは、年雄が決めていいのか?
無難な私服。
無難な生活用品。
無難な家。
センス?
俺のセンス?
年雄は朝からずっとセンスの事を考えていた。
夜になっても考えていたから、散歩に出かける。
センス・・・センス・・・センス・・・。
年雄はハッとした。
誰かに見られてる気がする。
年雄は振り向いた。
・・・誰もいない。
一瞬感じた第六感。
シックスセンス。
浜本年雄40歳。
なんだか今日一日、無駄な時間を過ごした気がする。
明日も働こ。
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