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下半期に読んだ本

こんにちは。今年ももう今日で終わりですね。ということで、今年読んだ本を振り返ってみたいと思います。特に良かった6冊について書きます。


52ヘルツのクジラたち/町田そのこ

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町田さんの作品は今年の上半期に『夜空に泳ぐチョコレートグラミー』も読んで、それも良かったんですけど、この『52ヘルツのクジラたち』も凄く良かった。本当に良かった。
親から人生を搾取されてきた主人公が、静かにひとりで暮らすためにやってきた引っ越し先で、母親から虐待を受けている少年と出会うことから物語は始まります。
"52ヘルツのクジラ"とは他のクジラよりも高い周波数で泣くため、誰にも声が届かない世界一孤独なクジラのこと。そんなクジラのように誰にも気づかれずに助けを求めている人がどこかにいる。主人公たちの壮絶な人生に何度も胸が苦しくなりました。二人はお互いを救う存在になるのか?どんな結末を迎えるのか?
こんなに涙を流しながら読んだのは久しぶりでした。


推し、燃ゆ/宇佐見ん

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主人公は勉強もバイトも上手く出来ない、そんな彼女ができるのは推しを解釈すること。お金もエネルギーも時間もすべて推しに注いでいるが、ある日その推しが炎上し、次第に彼女の日常は崩れていく…。
推し事や彼女のブログ、SNSがリアル。彼女の抱える"生きづらさ"も凄く分かる。とにかく生々しくて、感情の描写の解像度が高すぎてクラクラした。
21歳でこんなに書けるって凄いなぁ…と戦いた一冊。

アンと愛情/坂木司

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『和菓子のアン』シリーズの第3弾。
今年は読んでて苦しい、しんどい…という本が多かったですが、これはほっこりと温かい気持ちにさせてくれます。そして今回も美味しそうな和菓子がたくさん出て来て和菓子が食べたくなります。わたしはこれを読んでからわらび餅がめちゃめちゃ食べたくなりました。
早くも続編が待ち遠しいです。


夜明けのすべて/瀬尾まいこ

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PMSの美紗とパニック障害の山添君。それぞれ周りに理解にされにくい病気を抱えている。二人が抱えているものは深刻なのに、おせっかい者同士のやりとりが可笑しくて暗くなりすぎずに読めました。お互いを少しずつ理解して、助けたいと思う気持ちって大切。
瀬尾さんの作品はいつも優しい気持ちにさせてくれます。


愛されなくても別に/武田綾乃

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浪費家の母をもち学費と家に月8万入れるためにバイトに明け暮れる大学生の陽彩は、母親に奨学金まで使われていたことを知り、家を出てひとり暮らしをしている同級生の江永のところへ転がり込む。江永もまた複雑な過去があり親から逃げていたのだった…。
あらすじだけでもしんどい。"毒親"や"貧困"のことが描かれていて凄く苦しくなった。
それぞれが不幸を抱えていて、全てが綺麗に解決するわけではないけど、それでも生きていくしかない。激重な内容でラストはハッピーエンド?ではないかもしれないけど、清々しい終わり方。どうか二人とも力強く生きてくれ…。


掃除婦のための手引き書/ルシア・ベルリン 著・岸田佐和子 訳

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凄かった。なんて表したらいいのか分からないくらい凄かった。著者であるルシア・ベルリンさんの実体験に基づいた作品集。ひとつひとつが濃くて、1日1編~2編ぐらいのペースでじっくり読んだ。全てが衝撃的で鮮烈。
何て言ったらいいか分かんないから、とにかく読んで!!!って言いたくなる作品。



今年は推しの作家さんの新作が出なかったぶん、普段は読まない本を読んだり、新しい作家さんを開拓できた1年でした。

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