雨のち晴れ晴れ - ハーバード留学記 -

ハーバードケネディスクール留学記+日常で自分が考えたことを書き並べていきます

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最近の記事

アメリカの生活や文化に驚いたこと9選

こんにちは。ボストンはようやくだんだんと暖かくなってきました。 今週は岸田首相の米議会での演説が大きく話題になっていました。米議会での演説は極めて影響力が大きいイベントですが、日米ともに反応は概ねポジティブだったように思います(詳しくはXにポストしました)。 さて、今日は私がボストンに来てから感じた、アメリカの生活や文化に驚いたことを紹介したいと思います。特にアメリカに留学される方に参考になればと思いますし、既に留学/生活されている方には共感いただければ嬉しいです。 (

    • 問題解決の「切り口」は学校の個性である

      春学期が始まって1か月ほどたち、授業にも慣れてきました。秋学期に比べてかなり穏やかな日々を送っている気がします。 さて、いつも長い投稿ばかりだと疲れてしまうので、今日は(比較的)短めに。 1月にハーバードの法科大学院で授業を受けていた時に得た大きな気づきは、問題解決の「切り口」は学校によって大きく異なるということでした。 私はケネディスクールという公共政策大学院に通っていますが、同じハーバード大学傘下であるハーバードロースクール(法科大学院)の授業も取ることができます。

      • NPOが直面する「ミッションドリフト」とは何か~事例と予防策を考える~

        今日はNPO経営についての投稿です。 私がコンサルタントしてNPOを支援する中で観てきた事例や現在大学院で学んでいる内容をもとに、組織の存在意義である「ミッション」が知らぬ間にずれていく現象である「ミッションドリフト」を解説してみたいと思います。 (本記事はXの下記のポストの内容を拡張・追記したものです。) ミッションドリフトとは何か?あらゆる組織には、明文化されているかは別にして、何らかの「ミッション」があるのが一般的です。詳細な定義までは踏み込みませんが、ざっくりと

        • 授業で自分の「守備範囲」を意識するということ

          年始から通っていたハーバードロースクール(法科大学院)の授業が今週で終わりました!移民政策や外国人労働者に関する短期集中型のセミナーでした。現在絶賛最終レポートを仕上げています💦 正直初めての他学部履修(cross-registration)だったので、授業に付いていけるか不安だったのですが、結果的にはこれまでの授業の中でもトップクラスに学びの多い充実した授業になりました。(最近Xで移民政策や外国人労働者の問題について投稿しているのはそのせいなのですが、授業の中身については

        アメリカの生活や文化に驚いたこと9選

        マガジン

        • 留学記:ハーバードケネディスクール
          15本
        • 社会課題を考える
          7本

        記事

          リトルマーメイド実写版論争に見る日本の人種観(英語)

          こんにちは。 今回は初の試みとして、私が授業で書いたエッセイの中で、公開しても面白いかもしれないと思ったものを公開してみます。 本編の前にいくつか注意点があります。 この文章は秋学期の「人種と人種差別」という授業で、私が昨年10月に課題として書いたものです。 (一部加筆修正の上)英語で書いたものを翻訳せず記載しています。ただし想定している読者は日本人です。 このエッセイはOpEdといって、いわゆる社説のようなスタイルの文章です。そのため強めにスタンスを取りやや感情的

          リトルマーメイド実写版論争に見る日本の人種観(英語)

          成績評価との折り合いの付け方 ~最初の成績発表を終えて~

          こんにちは。ボストンは昨日から今シーズン初の大雪が降っており、かなり道にも積もっています。学校に行くのが少し億劫になりますね。 さて、今回はケネディスクールで最初の学期だった秋学期の成績が発表されたので、それについて思ったことを書きたいと思います。 ハーバードケネディスクールの成績システムアメリカの大学院の成績評価は、日本と同じように大学によってシステムが大きく異なります。ここで書くのは私が通うケネディスクールに当てはまる内容ですのでその点ご注意ください。 成績は10段

          成績評価との折り合いの付け方 ~最初の成績発表を終えて~

          2024年の5つの目標

          あけましておめでとうございます。今年は日本人の留学仲間たちと年越しそばやお餅を食べながらボストンでにぎやかに年を越しました。ちょうどそのタイミングで起きた日本の能登半島地震については、未だ心配しながらニュースを追っています。 さて、2023年は多くの環境変化にせわしなく動き回りとても忙しい一年でしたが、とても充実した日々でした - 大学院への出願、合格発表、仕事での転勤・出張・昇進、国内・海外旅行、移住、留学生活。 昨年のハイライトは下記の3つです。 ①自分が熱意を持つ仕

          「トップ大学に入れたのは環境のおかげか、努力のおかげか」の議論に必要な心がけ

          こんにちは。今日はボストンでは強風と大雨で一部の住宅が停電に見舞われています。私はおとなしく部屋にこもっています。 さて、今日Xでこんなツイートが流れてきました。 今日はこの「トップ大学に入れたのは環境のおかげか、努力のおかげか」の議論に対して、私が心がけていることについて書きたいと思います。 この類の議論はよく巻き起こりますし、私もいわゆるトップ大学に通っていたので、友人たちがこの手の批判を聴いて気分を害している様子も見てきました。 そんな経験も踏まえて、私が大切に

          「トップ大学に入れたのは環境のおかげか、努力のおかげか」の議論に必要な心がけ

          留学生活を支えてくれる割と新しめのAIツール(検索、要約、校正、創作)

          こんにちは。今日は少し軽めに、勉強におけるAI活用についてです。私は新しいAIツールを試しに使ってみるのが割と好きで、ここ2~3ヶ月は様々なツールが新しく使えるようになったためとても刺激的でした。 AIツールは使いこなせれば留学生活においてとても強力な勉強の味方になります。 今日は私がよく使っている便利なものを5つご紹介します。 なお、ChatGPTやDeepL translatorなどの大御所は既に皆さんご存知だと思いますので今回は取り上げません。 検索ツール①Mi

          留学生活を支えてくれる割と新しめのAIツール(検索、要約、校正、創作)

          アファーマティブアクションについてハーバードの学生と議論したこと

          こんにちは。私の通うケネディスクールはすでに冬休みに入りましたが、ハーバードの学部生(undergrad)は絶賛試験期間で、図書館ではいまだに夜遅くまで多くの学生が勉強しています。ここの学生は学部時代から本当によく勉強するなと感心します。(ただしアメリカの中でもよく勉強するのはアイビーリーグなどトップ校に限られるという話をよく聞きます) さて、今日は今学期の授業を振り返る中で、自分にとって印象深かった学生同士の議論を紹介したいと思います。それは、Race & Racism

          アファーマティブアクションについてハーバードの学生と議論したこと

          初めて迎えた秋学期に6つの授業から学んだこと

          昨日、今学期最後の課題を提出し、晴れて冬休みに突入しました(!!)。 8月末に始まった3か月半のケネディスクール最初の学期はあっという間でしたが、それでもとても充実していました。 今日は簡単な振り返りということで、私が秋学期に履修した6つの授業の中身とその感想を簡単に書きたいと思います。ケネディスクールをはじめとした海外の公共政策大学院を考えている方には参考になるかもしれません。また授業や課題の様子も簡単にまとめてみたので、眺めてみると大学院留学のイメージが湧くかもしれま

          初めて迎えた秋学期に6つの授業から学んだこと

          国際協力を志す若者を増やすために

          アメリカの一大ホリデーであるサンクスギビングが始まり、ボストンの街もゆったりとしてきたように思います。 さて、先日私の尊敬するNPO経営者である小沼大地さんがVoicyにこんな投稿をされていました。 今日はここで小沼さんがお話しされていたことについて、私が共感したことに加えて、私なりの考えを述べたいと思います。私自身も「国際協力を志す若者」であり、仲間が増えてほしいと切実に思っています。 若者が現場に行く機会が減っている小沼さんがVoicyの中で国際協力を志す若者が減少

          国際協力を志す若者を増やすために

          「教える側の成長を待つ」という履修戦略

          ボストンは本格的に寒くなってきました。今日は最低気温が氷点下だそうです🥶 さて、学生にとって重要な意思決定の一つが履修科目の決定でしょう。 自分の興味・関心に加えて、色々な基準を考慮に入れる人が多いと思います。例えば、 教え方が好きな特定の教授の授業を取りたい 朝が苦手なので2限以降の授業しか取りたくない 授業が連続すると集中が持たないので間を空けたい などです。 私はもちろん上記の自分視点の都合もすべて考慮しますが、もう一つ教官視点で意識している原則があるので

          「教える側の成長を待つ」という履修戦略

          大学院と授業について感じたこと8選【秋学期折り返し】

          ハロウィンの時期になり、ボストンもずいぶん冷え込んできました。 さて、先日Xに下記のポストをしたところ、一定の反響がありました。 同様の内容を、少し説明を補足しながらnoteにも再掲しておきます。 (Xの場合古いポストは追うのが難しくなりますし、字数制限上いくつか言葉足らずになった部分があるので) ① アウトプットを中心に据えた学びが基本私の通っていた日本の大学では、授業時間を講義に使い、その後試験でその定着度を測る、という教育法が一般的でした。 しかし、アメリカの大

          大学院と授業について感じたこと8選【秋学期折り返し】

          課題のリーディングを読まない論理と、読む論理

          どこの海外大学院で学ぶにせよ、授業の課題で定番かつ最も大変なのがリーディングだと思います。当然私の通うケネディスクールでもほぼ毎回授業の予習としてリーディングが課されます。 リーディングの形態は論文、記事、ケーススタディなど様々ですが、概ね毎回5ページ~50ページ程度のリーディングが課されることが一般的です。 そして、(これもあるあるかと思いますが、)学期が始まり間もない時期は皆全てのリーディングを読破して授業に臨みますが、少し時間が経ってくると全てのリーディングを読むこ

          課題のリーディングを読まない論理と、読む論理

          危機対応の足を引っ張る人々の特徴

          Netflixで配信中のTHE DAYSを観た。全8回で完結する、事実に基づいたドラマである。 ドラマとして面白い上に、観る者への様々な教訓にもあふれる、素晴らしい作品だった。そして、(もちろん脚色が加えられていることは理解した上で、)2011年の3月11日に、日本の福島で繰り広げられていたこの壮絶な物語を次世代につなぐという意味で、重要なドキュメンタリーでもある。 私がこの作品を通じて考えたのは、どんな人が危機対応において成果を上げ、どんな人が足を引っ張ってしまうのかと

          危機対応の足を引っ張る人々の特徴