人は盲点が9割

私たち人間は自分の体験・経験そのものを正しいものだと疑いません。
「確かにこの目で見ました!」ということが決定的な証拠になると考える人が多いことでも理解できます。
また、『百聞は一見に如かず』という言葉も同じような立場をとっていると考えられます。

目の前にあると見えるものはそこに間違いなく存在している…
色々な新しいことに挑戦すれば色々な新しい経験ができる…

しかし、本当にそうでしょうか?

実は人間には多くの盲点があり、それが思考や行動に大きな影響を与えているのです。
この記事を最後まで読めば、私たちが普段気付かずに見過ごしているものが無数にあることが分かると思います。


1. 人間が持つ盲点

人間には大きく分けて、『知覚の盲点』、『認知の盲点』、『思考の盲点』の3つがあります。

1-1. 知覚の盲点

まず、知覚レベルでの盲点について見てみましょう。私たちの目には、構造上、見えない部分があります。これを視覚的盲点と呼びます。
また、無意識のうちに特定の情報だけに注意が向き、他を見落としてしまう「選択的注意」も盲点の一つです。

目の前にあると見えるものはそこに間違いなく存在していると考えがちですが、実は見えている部分は全体のごく一部です。
選択的注意により無意識のうちに特定の情報だけに注意が向けられ、他は見落とされがちです。その結果、目の前の世界の一部しか認識できていないにもかかわらず全体を理解したつもりになってしまうのです。

有名な選択的注意の例(それだけでもないか…?)

さらに、錯視や錯聴のように実際とは異なる知覚が生じることもあります。私たちの知覚は時に私たちを欺くのです。

1-2. 認知・思考の盲点

認知とは、情報を獲得→処理→解釈する一連の心的過程のことです。
この記事では知覚-認知-思考という分け方をしていますが、認知は知覚にも思考にも分類することができます。

認知・思考の盲点にはどのようなものがあるでしょうか。

例えば、外国を旅行する際に現地の言語や文化に関する知識が乏しいとその国の真の姿を見落としてしまうかもしれません。
表面的な観光名所だけを訪れて現地の人々の日常生活や価値観、歴史的背景などに目を向けることができないのです。

他にも、新しい学問分野を学び始めた時に基礎知識がないためにその分野の奥深さや他の分野との関連性を見落とすことがよくあります。
『分からないことが分からない』というのもこれに当てはまるでしょう。

個人的に良く見るのは『論理の飛躍』です。
「失敗が怖いからチャレンジできない」という言葉を良く聞きますが、これって何の説明にもなっていないのではないでしょうか?
「怖くて身体が動かない」であれば『できない説明』になりますが。

これ以外にも『アンカリング効果』や『フレーミング効果』や『確証バイアス』、『基本的帰属の誤り』のような認知バイアスも経験や体験を歪め、盲点を作り出すことがあります。

2. 盲点の克服に向けて

これらの盲点を克服するためには、世界の多様性と複雑性を受け入れて物事の相互関連性を探ることが重要です。
私たち人間の認知能力には限界がある一方で、私たちを取り巻く世界は無数の要素が絡み合う複雑なシステムであると考えることができます。
ある一つの正解に到達することは不可能に近いかもしれないという謙虚な姿勢を持ちましょう。

そして、自分の先入観や思い込みに疑問を持ち、批判的に検討することが必要です。
「これは本当に正しいのだろうか」「別の見方はないだろうか」と自問自答して常に自分の考えを見直す姿勢が盲点の克服につながります。

また、新しい経験や知識に触れる際は慎重な姿勢で臨むことも良いでしょう。
自分の知識の限界を認識し、表面的な理解で満足せずに深く探求しようとする好奇心を持ち続けることが重要です。
新しい発見に開かれた心を持ち、柔軟な視点を持つことが、盲点を減らすための鍵となります。

みなさんも自分の盲点に向き合い、克服してみませんか?
そこから見えてくる世界は、きっと今までとは違う広がりや輝きを見せてくれるはずです。


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