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ベートーヴェンを毎日聴く252(2020年9月8日)

『ベートーヴェン/「うずらの鳴き声」WoO129』を聴いた。

ベートーヴェンの作品の中でもユニークなもののひとつだろう。「うずら」が神に対する敬意を呼びかけるザミュエル・フリードリヒ・ザウターの詩にベートーヴェンらしい音楽表現を加えたもの。

序奏のピアノによるタンタターンは、交響曲「田園」のなかでも聞かれるもので、うずらの鳴き声を表す。そして「神を畏れよ」「神を愛せよ」と告げられる始めの部分に入る。

雰囲気が少し変わって、飛び跳ねるような3連符が現れるのが面白い。うずらが弾むような鳴き声で告げるのは「神を讃えよ」。そして畑の作物が実ることを「神に感謝せよ」と次の部分でうたわれる。

そのまま曲が終わった。と思ったら、ピアノが急に激しい音を奏で始める。恐ろしい嵐の時には「神に祈れ」とうずらは告げるのだ。嵐が現れるのは田園交響曲にも共通するところ。すると今度は威勢の良いリズムが現れる。戦さで不安になるときにも、うずらは告げる。「神を信頼せよ」と。この部分は兵隊の行進を表現しているのだろうか。ピアノ・ソナタ第18番の第4楽章にも似たフレーズが出てくる。このピアノ・ソナタは「戦い」ではなく、「狩り」と呼ばれることもある。

ひとつの歌曲のなかでいろいろな表現が出てきて面白い作品。そのそも「うずら」自体、あまりよく知らない。串に3個「うずらの卵」が付いたフライが子供の頃から好きだが、ベートーヴェンのこの作品を聴くことで勉強することになった。


Анна (Anna) Таскаева (Taskaeva)によるPixabayからの画像

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