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太陽系「第9惑星(プラネットナイン)」に関するニュースを聞いて、とても気になること。

最近、こんなニュースがわたしの目に引っ掛かってきた。

『太陽系に未知の惑星、99.6%の存在、天の川方向』

つまり

「新たな太陽系の惑星が、100%に近い確率で、しかも1~2年という近い将来、天の川の方角に見つかるだろう」というのだ。

宇宙飛行士という職業に就かなくても宇宙へ行くことができたり、「はやぶさ」が小惑星の物質を持ち帰ったり、宇宙に関する話題が溢れている今、また新たな宇宙への関心が高くなるニュースである。

●太陽系と宇宙の虜になった子供時代

太陽系の惑星は地球を含めて、太陽を中心としてその周りを回っている。あまり宇宙に関心が無くても、わたしが子供の頃には皆、太陽系を構成する惑星たちを諳んじることができた。

「水・金・地・火・木・土・天・海・冥」
(すいきん ちかもく どってん かいめい)

と。

『ホントは「どってん めいかい」なんだぞ!』

ある時、そう言い始めたクラスメイトがいた。

「間違ってるじゃん!」と思ったが、1979年1月から1999年3月まで、約20年というかなり長い期間において、冥王星は海王星の軌道の内側に入り込むことになった。そのため彼が言う通り「どってん めいかい」に順序が変わったのだ。

これを知った時、地球からいちばん遠い端っこを回っている、正体もよくわからない惑星たちが生み出したニュースに大きなロマンを抱いたのだ。

それをさらに加速させたのが、ちょうどこの頃テレビ放送された「COSMOS」という番組。アメリカの天文学者カール・セーガンの著作「COSMOS」出版に合わせて制作されたものである。

わたしも、そしてクラスメイトもこの番組に釘付けになってしまい、学校でもよく話をしていた。そして口々に「いますぐ天体望遠鏡が欲しい。そして将来は天文学者になりたい。」と語っていたのを覚えている。

●冥王星の悲劇と第9惑星

それからかなり時間が経過し、天文学者ではなく普通のサラリーマンになっていたわたしだが、ある日飛び込んできたニュースに驚愕する。

「冥王星が太陽系の惑星から外されることになった」

いったいどういう理由でそんなことに?

それよりも気になったのは「これからの子供たちは太陽系の惑星の順番をどう覚えるのか?」ということだった。

「水・金・地・火・木・土・天・海」
(すいきん ちかもく どってん かい)

「どってん かい」
「どってん かい?」

って尋ねられるように終わってしまっても子供たちは困るだろう。

実は冥王星が発見されるかなり前から、太陽系の9番目の惑星である「第9惑星(プラネットナイン)」の存在は噂されて研究されていたという。そして1930年、ついにその第9惑星が発見され「冥王星」と名付けられたのである。

●あのクラシックの名曲と冥王星

「惑星」と聞けば、クラシック音楽ファンならグスターヴ・ホルストが作曲した『交響組曲「惑星」』がすぐ思いつくはずだ。その中の「木星(ジュピター)」はポピュラー作品にもなり特に人気がある。

交響組曲「惑星」』1914~16年に作曲され、1920年に全曲を初演。大管弦楽を伴った斬新な音楽に人々は魅了されたという。

作曲された当時は冥王星がまだ発見されていない。なので海王星までしか作品になっておらず、冥王星はない。

しかし、1930年に冥王星が発見されると、これを知ったホルストは冥王星の作曲を思い立つ。だが実現には至らず1934年に亡くなってしまう。

●ついに「冥王星」が作曲される

冥王星発見から70年後の2000年、なんと「冥王星」が作曲され初演されたのである。もちろんホルストはこの世にはいないし、作品の断片も残していない。

コリン・マシューズという作曲家により書かれたのだが、彼はホルストの特徴を織り込んで作曲したのだという。

つまり、「もし、ホルストが冥王星を作曲したとしたら?」という前提に立って作曲したとも言えるだろう。単独の作品ではあるが、「惑星」の最後に演奏される「海王星」に続けて演奏されることも強く意識していることから、組曲「惑星」の一部として捉えられることも考えられる。

この「冥王星」という曲が広く世に知れ渡るきっかけは、ベルリン・フィルがホルストの「惑星」を「冥王星」付きでCDリリースしたことだろう。

指揮をしたサイモン・ラトルは録音するにあたり、「冥王星」を録音に加えることを提案したという。

そして2006年3月、ベルリン・フィルは「惑星」を「冥王星」を付けてコンサートで演奏、その模様を録音した。

それから3か月後の2006年8月、冥王星が惑星から外されることが決まった。

●新しい第9惑星発見で気になること(その1)

次なる第9惑星を求めて天文学者は日々天空を眺めて研究をしていた。その結果、今回冒頭のニュースが発表がされた。

当然、気になることは

ホルストの「惑星」に続けて演奏される新たな作品「??星」が作曲されるのか?ということだ。

可能性は大いにあると、わたしは思う。

だが、先の「冥王星」のように、ホルストの「惑星」と少し距離を置いた形になるのではないか。冥王星はホルストもその存在を知り作曲を思い立った。さすがにホルスト自身が知らない新しい惑星ということを考えると、そう思うのだ。

単独の作品として作曲されて、もしかしたら「惑星」が演奏されるコンサートにおけるプログラムの1曲として演奏される可能性はある。

●新しい第9惑星発見で気になること(その2)

先に書いた通り、宇宙飛行士でなくても宇宙へ行ける時代になった。お値段はまだ凄い金額なのだが。

それでもまだ、太陽系という、大宇宙に比べれば比較的ご近所さんのことでも、まだまだ分からないことがたくさんある。

ニュースで発表された「第9惑星」が近いうちに無事発見されることを期待したい。そして「冥王星」のリベンジとして、新しい「第9惑星の音楽」が作曲されることも待ちたいと思う。

もうひとつ、気になること。それは

太陽系の惑星の覚え方はどうなるのか?


「どってん かい 〇〇」

果たしてどうなるのか、とても気になるところだ。

(今の子供たちも、まだこうした言葉遊びのように惑星を覚えているのだろうか?)

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「冥王星付き」の「惑星」がこちら
演奏:ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団/指揮:サイモン・ラトル指揮

その他「惑星」のおすすめディスク

演奏:ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団/指揮:ヘルベルト・フォン・カラヤン
※1959年という大昔の録音だが、驚くほどの高音質。まだ若いカラヤンが快速で鮮烈な演奏を引き出している。このCDが「惑星」という曲をメジャーにしたと言える。

WikiImagesによるPixabayからの画像

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