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【人の問題】として解決しようとする思考の悪

ハラスメント研修を行うと「〇〇はハラスメントにあたりますか」と質問をされることが多くあります。
これは私が人事をしていたとき、社内の他部署から「研修をしてくれ」という依頼を多くもらっていたことと通じる部分があると思い、今回noteにまとめました。

人の問題

ハラスメント対策や研修(教育)は人の問題を解決しようとする行為です。
人の問題で解決しようとすると、新たな問題を生み出します。
そして問題を複雑化します。

なにか問題が起こると、イラっとしたり、ドキドキ緊張したりと気持ちが最初に動きます。
そして自分に火の粉がかかると「あいつが悪い」と感情をぶつける対象を人にしてしまいがちです。

なので、「あいつ(=人)」を何とかしようと動きます。

この考え方が悪だと私は考えます。

研修でなんとかしてくれ

私が人事で教育担当をしていたとき、よくこんな依頼をもらっていました。

「若手の営業力を上げてほしい」
「タイムマネジメントについて教えてほしい」
「倫理観について学ぶ機会がほしい」

などです。

もちろん、会社として研修をしないとビジネスに影響するという場合は各部署からの意見を参考に検討し、実施に向けて動きますが上記に挙げたようなものは、わざわざ会社がお金をかけて行うものではないと思っています。

若手の営業力を上げるのは、上司や先輩が教えることだと思います。
タイムマネジメントは本を読むかネットで調べれば良いと思います(そもそも基本は新入社員時に教えている)。
倫理観についてはどの程度のものかわかりませんが、人のものを盗むとかSNSに機密情報を書き込むなどのレベルであれば、懲戒です。

なぜこんな要望があがるかというと、管理職が忙しくて自分の業務以外のことに対して思考停止になっているからではないかと考えます。

日本の課長以上の管理職の99%以上がプレイングマネージャーというデータがあります。

学校法人産業能率大学 第4回上場企業の課長に関する実態調査 (2018) 
https://www.sanno.ac.jp/admin/research/kachou2018.html

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自分の業務をこなして、部下のマネジメントまでするのは大変です。
だからこそ人事部門に教育を任せたくなる気持ちもわかりますが、人事部門としては一辺倒な研修をしても、基礎部分を整えられることはできても実践レベルで引き上げることは無理です。

自部署の部下が思ったほど働きが良くなかったとき、人事のせいにする、というのはよくありました。
(幼稚園や小学校に子供を預けて、友達の間にトラブルが起きたとき「なんでうちの子供をしつけてくれなかったんだ!」と騒ぐ親のようだなと感じていました)

ダメな行為をしたときに「それはダメだ」とすぐに言えないと、部下は育ちません。後から言われても「なぜその時に言わなかったんだ」と逆に不信感を持たれます。

なので、会社で研修をしたからといって、実践のレベルが上がるわけではありません。
部下側の指導をするよりも現場で指導をする管理職に対する指導方法の研修の方が効果があるので、しっかりやります。
それでも変化が現れる人は10%~20%くらいではないかと思います。

正直、この程度では会社全体の改善にはならないので、人事評価に組み込みます。管理職研修を必須にし、部下の育成レベルや定着度を評価基準に入れ給与や賞与に反映できてやっと、部下に効果が波及します。

つまり効果としては
評価制度に組み込む > 管理職研修 > 部下研修

です。
いくら部下側に研修したとしても微々たる効果でしかない。仕組みを変えることが重要です。

これってハラスメントですか

研修や講演の最後の質疑応答でよくいただくのは「この場合はハラスメントになりますか?」です。

多くの場合、ハラスメントというより、会社でルールを定めたら解決するようなものです。

「会社の公休日に、電話番を置きたいのだが、出勤させるのはハラスメントか」
「新入社員研修で課題を出したい。時間外にやらせるのはハラスメントか」

などです。
何かをやらせるのがハラスメントにあたると思われている方が多いのですが、当然違います。
これが通れば「会社に嫌々来ている人を出勤させることがハラスメントになる」ことになります。

公休日の電話番は輪番で決めれば良いし、休日出勤手当を出せば良い。
課題を時間外でやらせるのであれば、時間外手当を出せば良い。もしくは課題を時間内でできるものに調整する。

法律に則って対処すれば良いのです。

会社にとって必要な対応は法令に則って大体対応できますし、不安であれば顧問社労士に相談すれば良いのです。
2022年にすべての事業主にパワハラ対策が求められているため、過敏に反応をしていますが、ハラスメントになることを恐れていては経済活動に支障が出ます。

法律を使い、適宜自社ルールを定めて、仕組みで解決していきましょう。

まとめ

人の問題にしてしまうのは簡単です。議論をすると何時間でも盛り上がれるネタです。

中には本当にひどい人(害悪)もいるので、懲戒解雇が妥当な場合もあるでしょう。この場合も対処療法にすぎず、仕組みを変えなければ、第2・第3の害悪が出てきてしまいます。
そのような人が入らない仕組み、起きた場合の懲戒規定をしっかり整え運用できる体制をつくらないとずっと組織が苦しむことになります。

仕組み化することで、問題は短距離にシンプルに解決できます。

仕組み化は、自社で構築することが難しい場合もいきなり組織コンサルに任せるのではなく自社内でこういう風にしてはどうか、と検討してから依頼すると良いと思います。

組織の思考力が低下していることで表面的な人の問題に着目し、組織の自浄作用が低下しているため誰かに何とかしてもらおうと考えがちになっています。
一度組織に向き合い、それから外部に相談するというステップを踏むことが良いと考えます。

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