「スポーツ観戦」という商品価値の高め方
スポーツクラブは「スポーツ観戦」
という商品を取り扱っています。
消費者に継続的に購入してもらうためには、
商品の価値を提供しなければなりません。
それでは、商品価値とは
どのようなものか。
プロダクト価値(=商品価値)の定義
プロダクト価値とは、消費者がプロダクトの購入によって獲得した便益(ニーズの充足)を,購入の際に費やした金銭的コスト(価格)と非金銭的コスト(時間、労力)で除すこと(価値=便益/コスト)によって算出することができる(Zeithaml,1988 ).
要はこういうことです。↓
図1(Zeithaml,1988)より作成
「スポーツ観戦」の便益は、
コアスポーツプロダクト
(選手のプレー、試合展開)
+
周辺的なサービス
(エンターテインメント性のある試合演出に加え、観戦環境の快適性や試合会場までのアクセスなど)
観戦者が費やす
コスト(費用、時間、労力)に対して、
獲得した便益(コアプロダクトと周辺的なサービス)
が上回る内容でニーズを満たすことが
価値を高める決め手となります。
スポーツプロダクトの価値の高め方は3 通り。
1.便益を大きくする
2.価格などの金銭的コストを小さくする
3.待ち時間や労力などの非金銭的コストを小さくする
上記の3点はとても重要ですが、
2金銭的コストを小さくすることは売上の減少につながるので注意が必要です。
便益 を高めるパフォーマンス
図2 スポーツパフォーマンスの類型(Deighton,1992)より引用改変
Deighton(1992)は
4種類のパフォーマンスを充実させ、
それらが消費者の費やすコストを
上回ることができれば、
特にスポーツの競技的な価値と娯楽的な価値が高まることを示唆しています。
このパフォーマンスは、
・目的(自然発生的 vs 人工的な催し物)
・消費者の役割(観戦 vs 参加)
の2つの軸を基に4 種類の
スポーツパフォーマンスから分類されています。
何が起こるか予測が難しく自然発生的な
スキルパフォーマンス:観戦者が一般的な座席で受動的に試合観戦
スリルパフォーマンス:観戦者の関わり方がより参加型のサポーターの応援参加や、いつファールボールが飛んでくるかハラハラ・ ドキドキするプロ野球の砂かぶり席など
一方で、
何が起こるか比較的予測が可能で人工的な
ショーパフォーマンス:始球式、電光掲示板の演出、チアリーダーのダンスなどを受動的に鑑賞する
フェスティバルパフォーマンス:観戦者の参加を前提としたプロ野球のジェット風船、スタジアムツアー、国家斉唱など
スポーツ企業として注意すべきことは、
これらの種類の異なるパフォーマンスを
・スポーツ種目(プロ野球/Jリーグ/Fリーグなど)
・競技レベル(1部/2部)
・観戦者の基本属性(性別/年代など)
に応じて調整し、提供することです(Yoshida,2011)。
スポンサーシップ・アクティベーション
図3 スポンサーシップ・アクティベーションの類型(原,2018)
次回は、
僕の研究テーマであり
今回ご紹介したパフォーマンスや
スポンサーメリットを高める
『スポンサーシップ・アクティベーション』
について分かりやすく
ご紹介したいと思います。
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