見出し画像

木曜ジャムセッションに行ってきた<Fasching 2>スウェーデンでジャズを浴びる12

「デンマークとスウェーデンで北欧ジャズを全身で浴びる旅」をピアニストの視点からレポートする、第12回はスウェーデンの首都、ストックホルムのジャズクラブ Fasching のジャムセッションです。


「木曜にもセッションがあるから来いよ」と誘われたのは二日前 Stampen でのセッションの時(別レポートあります)。会場はスウェーデンで最も有名なジャズクラブ、ファッシング Fasching だと聞いて、おお、これは行かねば!と思う反面、何で Fasching、、と少し不思議な気がした。そしてナゾは解けることになる。

20時からライブ、22時からジャムセッションと書いてある。Fasching は昨日も行ったので今日はセッションだけ行こう、と現地に着いたのが 22時の 5分前。

受付のお姉さん(イリアーヌそっくりの美人さん、写真なし^^)が覚えててくれて「You は昨日も来たからタダでライブに入れてあげる!」えっ 本当?「Yeah, Swedish hospitality(スウェーデン流のおもてなしよ)」と笑っている。なんかよく分からんけど素直に従った、クロークも無料に。しかし欧米の自己裁量の広さはすごいな。

セッションはどこなん?と聞いたら「ここ、ロビーよ」早速ナゾが解けた。これはライブの後に、ここのロビー兼バーで、まだ飲みたい話したい観客のための音楽なのだ。

きっと、ファッシング Fasching という、ワールドクラスのミュージシャンのために用意された舞台に、ジャムセッションの参加者を上げるわけにはいかないのだ。これは理にかなってるではないか。ミュージシャンへの敬意があるではないか。でもジャムセッションも大事、というスタンスも忘れない。

地元のカルテット、無料で見ることができた

昨日はノルウェー、今日はスウェーデンのバンドの共通点がある。曲をつなげていくこと。曲のカデンツァをキッカケに次の曲へ移っていく。北欧独特なのか、最近のジャズのトレンドなのかは分からない。ピアノはスタインウェイ。

Magnus Lindgren: (saxofon, flöjt, klarinett, loopstation)
Daniel Karlsson: (piano)
Josef Karnebäck: (bas)
Robert Ikiz: (trummor)

ライブが終わってセッションが始まったのは 22:40 頃。もの凄い人でロビーが溢れかえっている。演奏も会話も熱量が凄い。ソロの後の歓声と拍手も凄いし長い。

午前1時ごろの Fasching ロビーセッション

一昨日の Stampen のセッションよりさらにレベルが高い。これは地元の若手プロたちだろう。Stampen で「地元で一番○○(分からなかった)」と紹介受けた彼のベースの印象は強烈だ。低音から高音まで高速8分で移動しながら、これだけ深く正確に音を出すベースは滅多にいない。速すぎて手首から先が霞んで見えない。

一昨日に知り合ったトロンボーンとピアノの若い男性は「少しだけ演奏した」と少し伏し目がち。そのトロンボーン彼(名前は知らない)はとても上手いが、高校で働き始めたというからざっくりアマチュア枠。勝手な憶測だが、自分の立ち位置とお客さんの反応を自覚しているな、と思った。

おれも今日は弾かない方がいい。この盛り上がっているお客さんに何を提供できるだろう。このドラムとベースが支配している熱血バンドにいきなり参加して、おれの演奏スタイルで、対等に渡り合える気がしない。うまく合わせてくれるくらいで終わるなら、今日は観客に徹しよう、それもよし。(不本意だが)

そうだ、白ワインを飲もう。こっちはワイングラスに並々(この漢字?)と入れてくれるから。セッション終わったのは午前1時40分頃。終わってみてふと気づく、今日は音楽にお金を払ってないぞ。でもよく飲んだから売り上げに貢献したよね。(無理やり納得)

この場にまた帰ってくることを誓って、気温マイナス13度の中をホテルへ。途中、男性がクルマの前に立ちはだかって口げんかしている光景、何だか微笑ましかった。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?