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それでもおせち料理をやめない理由。

おせち料理って、特段美味しいものじゃない。


どこかの百貨店や料亭のものならまだしも、家のものだと特にそう感じる。
こんな風に考える人って、多いのではないのでしょうか。

わかります、その気持ち。ただ我が家の場合、母が「おせちは家で!」の考え方が強いため、これに関しては母の意思を尊重すると決めています。



父は複雑な家庭で育ったので、いわゆる”家庭の味”を知らない人でした。
「買ってきたものであっても、何か一工夫して”うちの家の味”にしてあげたい。」母は昔からよく言っていました。

おせち料理もその一環なのでしょう。
育った家で食べた経験がない父のためだったのだと思います。ただ”我が家のおせち料理”って言っても、買ってきて詰めている具材もいくつかあるんです。全てを作っているわけではない。買ったもの、作ったもの色々あるけど、お重に詰めて仕上げる。これが”我が家のおせち料理”なんです。

記憶の中にいる父は、この”我が家のおせち料理”が大好きでした。
おせちを詰め終わった直後の大晦日の夜から「おお!おせちできてる!食べよう!」って、大層なご馳走を食べるかのようなテンションで美味しそうに食べていました。

おせち料理って、本来はお正月期間の主婦の家事労働を減らすためのものって言われていますよね。そういう意味でいけば、大晦日からおせちを食べちゃうと、本来のおせちの意味は台無しになってしまう。それなのに母も嬉しそうで、毎年おせち料理を楽しみにしている父を喜ばせるのが、母の楽しみだったんだと思う。


もう父はいません。
だから”我が家のおせち料理”にこだわる必要は、ないんです。私は・・・こんな家庭で育ったものだから、結構我が家のおせち料理が好きです。特別なご馳走ではないけど、この味が恋しくなる。夫は柔軟なので、作ったものをよろこんでくれていますし、多分買ったものでも文句言わない人だと思う。
子どもたちは、おせち料理は好まないみたいです。

そうなってくると、「おせち料理必要?」っていう瞬間もあったのですが、母はその辺意思強硬なので、「子どもは子どもで別メニューを用意するから、おせちは従来通り続行したい。」「買うつもりもない。」とのこと。(母と同居しています。)


大丈夫、やめないよ。
私も”我が家のおせち料理”を作ることをやめないよ。

我が家のおせち料理を作ることは、母の父への愛だったんだと思う。
人に何かを強要されたり、干渉されることは死ぬほど嫌いなのだけど、
これに関しては私の意思であり、私の好物でもある。私なりの父と母への愛だったりするんです。

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