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栄光の牛乳三銃士

私はズボラな性格なので、ある時期から自分に向いてない手芸とアルバム作りをやめました。手芸は同居している母に家庭内アウトソーシングしています。写真は撮ってるけどアルバムはないので、将来彼の彼女に「お母さん、〜くんの昔の写真を見せてください」と言われたら、データごと渡すつもりです。

その代わり、言葉を紡ぎ、言葉のアルバムを残す……はずだったのだけど、全くできてない。今日で母になって12年なので、長男の大好きなところを言葉のアルバムとして、3つの小話に残します。



牛乳三銃士

今年の3月まで属していた5年生のクラスでは、「給食は苦手なものは残してもよい。ただし、それを好きな人がいれば代わりに食べるなどして、クラスとしての残飯の総量はできるだけ減らそう」という取り組みをしていたようです。そうなると謎に頑張るのが、うちの長男。

もちろん牛乳が好きなのも事実なんだろうけど、恐らくチームのためにできることは最大限やりたい性分なので、毎日率先して牛乳を飲んでいるらしくクラスの中で「牛乳三銃士」の一人に認定されたらしい。三銃士か、いいじゃないか。例え対象が牛乳であったとしても。

牛乳三銃士としての輝かしいエピソードがあるので、ぜひとも書き残しておきたい。個人懇談で先生から聞いた話。ある日の給食のメニューの1つにナムルがあって、どうもクラス全体で不評だったらしく、いつにも増して残飯の量が多かったらしい。ただ、学校の中でその日は「完食を頑張る日」(名前がうろ覚えだけど、そんな感じ)だったそうな。完食を目指す日なのに、いつもより残飯が多いことに気を揉んだ長男は、すぐさま牛乳三銃士の残りの二人を召喚し「おい、これできるだけ食べよう。どれくらいいける? 俺はこれくらい食べる。」と呼びかけ始めた。三銃士の残りの二人もそれに呼応し「じゃあこれくらいなら……」と余ったナムルを皿に盛りはじめ、それを見ていたクラスの他の子数人もナムルをおかわり。「だったら先生も食べるわ」と先生も巻き込み、ナムルは空になり、この日の残飯は0になったんだって。

言っておくと、私自身完食を美徳とする考え方が全てとは思ってない。ただ、何かの目的達成のために最初に声をあげ、みんなの士気を上げ、達成した行為自体はすごい。極めてこの子らしいなと。そういうところが大好き。勉強は苦手だし、宿題提出率も悪く、ある意味手がかかるのに、それでも毎年担任の先生に可愛がられるのは、こういうところだと思う。


敏腕セールスマン

「バスケやらへん? 1ヶ月でいいから。」

バスケのクラブチームに勧誘する長男の姿を目撃してしまった。種明かしをすると、クラブチームに友達を勧誘すると、勧誘した側はQuoカードをもらえる。長男は、以前一人お友達を勧誘した際に、Quoカードをもらえることを知り味をしめたのである。

「1ヶ月でいいから」って……、まるで新聞の勧誘じゃないか。そんな強引なことを……と思い、相手の家のお母さんに「強引に勧めてたらすみません。断ってもらって全く問題ないですので。」と慌てて尋ねたところ、「全然そんなことないですよ。誘ってもらって嬉しかったようです」と、そのお母さんは言い、事実そのお友達は1ヶ月をゆうに超え、今現在も同じバスケのクラブチームに通っている。

こんな調子で、長男は自分の友達四人をこれまでクラブチームに勧誘している。ちょっとした敏腕営業マンである。だからかどうかはわからないけど、バスケのクラブチームの先生からもとっても可愛がられてる。正直バスケが好きかどうかはわからないけど、友達に会えるからバスケを楽しんでいるようにも見える。まぁいずれにしても、自分なりの楽しみ方を見つける所は偉いなと。将来有望な営業マンになっているのかもしれない。


バカ四天王

「ママ、俺さぁ、学校でバカ四天王の一人やねん」

ある日長男がこう言った。牛乳三銃士はまだいいとしても、次はバカ四天王ですか……。

「ちなみに、四天王の残りの三人は誰なん?」と長男に聞いたところ、
「え〜とな、〇〇と、××と……」と上がってくる名前に聞き覚えあり。

「それって牛乳三銃士と同じでは?」と聞いたら、
「そうやねん、牛乳三銃士はバカ四天王でもある」と言いながら、ガハハと笑う。

「だったら牛乳三銃士を引退して……!今すぐ!」と言った所、
「え〜、でも牛乳好きやし。飲むのやめても変わらん気がするわ。だから別にいいねん。それにな、俺はほんまはバカじゃない。」

バカだと人前で認められる一方で、本当はバカじゃないって思える自己肯定感の強さ。最高じゃないか。この子、幼稚園のころは、こんな感じじゃなかったのに。友達にいじわるされたことを先生に言うことが恥ずかしくて(いじめられた自分が恥ずかしいから言えない)、でも悲しいから、こっそりクラスを脱走しては、園庭の隅っこで泣いていた程のガラスのハートの持ち主だったのに。いつの間にこんなに強くなったのだろう。

成績は年々悩ましいけれど、元気ならそれでいいや。強い心と強い体があれば、なんとかなる。もっと強く、もっと大きくなぁれ。12歳おめでとう。

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