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精神科医・本当はなりたかった職業とは?

たまたま父に勧められて入った医学部でした。みなさんは塾に通い、医者になりたくてなりたくてなった方ばかりです。なのに、私はなりたい仕事が見つからず、父に勧められるまま医学部に受かってしまいました。
贅沢な話かもしれません。
だけど、私は医師になったことが、自分にとってとても良かったことだとは思っていません。
人のイノチに責任を持つことの重さに耐えられなかったからです。

美しいものが好き。本当は何か美しいもの、好きなことで生計を立てたかった、あまり人間と関わりたくなかった。その思いは一生、消えることはありませんでした。

医師になって間もなく、エレクトーンを買いました。当時の金額で50万くらいする高価なものです。
職場の昼休みに習いに行きました。
でもわずか一ケ月でとん挫。昼休みに抜けだせるほど安易な仕事ではなかったからです。

その後も、暇さえあれば〇〇一日教室なるものに通い、何か自分に本当に合う仕事はないかと探し続けていました。
でもあるわけないですよね。
一方で仕事の腕はメキメキとあげていったことも現実です。
弱い心にある方に寄り添い、話を聴く仕事は、自分にできる唯一の仕事だったかもしれません。
でも一方で見果てぬ夢を見ていたんですね。

医療の世界は過酷です。夜も昼もないですし。
いろんな医療従事者とうまくやっていかなければいけないチーム医療の世界なので、人間関係も大変です。
まあ、できたら、自分ひとりでやれる仕事がいいなと思い続けていたかもしれませんね。

でもこの仕事、ただの一日も休んだことないんですよ。
超真面目。病休も無し。ただただ真面目に仕事に行って
ましたね。
ラクですからね。決まったことがあるという生活。
自分で事業でもやったら、きっともっともっと大変だったはず。
人間なんて、しょせんはないものねだりするのかもしれませんね。

そんなわけで、真面目に医師という仕事を全うしながらも
「何か、もっと自分に合った仕事があるんじゃないか」と模索し続ける日々は同時進行で続いていたというわけです。

贅沢だなあと思われるかもしれません。
でも、ただただ時間を切り売りし、忙しく働き続ける仕事は、できたら、もうちょっとラクな仕事がいいなと思ったって不思議ではないと思います。
医師をステイタスと考えていない私にとっては。

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