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2人の対比で印象派を深く知る「シダネルとマルタン展」| art-011

こんにちは!
私は週1で展覧会に足を運んでいます。
今日は、2022年6月26日(日)までSOMPO美術館にて開催中の「シダネルとマルタン展 -最後の印象派、二大巨匠-」にいってきたので感想のまとめです。

シダネルとマルタンのこと

フランスで活躍した画家、アンリ・ル・シダネルとアンリ・マルタン。
あまり聞きなじみがなかったので、2人が生きた当時のフランスについて調べてみました。

19世紀末から第一次世界大戦勃発までの25年間をベル・エポック(美しき時代)と呼びます。
普仏戦争での敗北を契機に帝政から共和制となるなどの政治的混乱が落ち着き、産業革命・資本主義による近代化が進んだこの時期に、華やかで享楽的な都市文化が花開いたとされています。
ポスト印象派やアール・ヌーヴォーなど新たな様式が現れる中、「最後の印象派」として活躍したのが2人です。

増補新装[カラー版]西洋美術史(監修=高階秀爾)  を参考に作成

印象派は対象を忠実に描くのではなく、うつろいゆく光やそれによりあいまいになる形を描いていると言われます。
この展覧会は、北部と南部、それぞれ異なる光の表現を追求した2人の展覧会です。

展覧会サマリ

ー基本データー

展覧会名 
シダネルとマルタン展 -最後の印象派、二大巨匠-
会期   
2022年3月26日(土)~6月26日(日)
開館時間 
10:00~18:00 ※入館は閉館の30分前まで
休館日  
月曜日
会場   
SOMPO美術館
各線「新宿駅」 徒歩5分
〒160-8338 東京都新宿区西新宿1-26-1
観覧料  
一般 1,600円(オンライン販売は1,500円)
撮影
3点および収蔵品1点のみ可能

HPより( https://www.sompo-museum.org/exhibitions/2021/sidaner-martin/ )

SOMPO美術館にははじめて訪れました。
ロゴが特徴的な美術館だなと思ったのですが、収蔵作品である《「超現実派の散歩」東郷青児(1929年) 》に描かれている、月に向かって浮かぶ人がモチーフだそうです。
SOMPO美術館は、東郷青児美術館として開設されたのがはじまりということで、納得です。

展覧会は、展示作品約70点で、ゆっくり派の私で1時間半ほどで観れました。比較的コンパクトです。

ー感想ー


・興味深度 ★★★
・感動度  ★★★★
・影響度  ★★★
・コスパ度 ★★★


①対比しながら理解を深めるおもしろさ

シダネルとマルタンの作品のみの展覧会なので、対比しながら鑑賞することができておもしろかったです。
親交はあるものの、対照的な光を描く2人の作品を観ながらこの絵はどっちの作品か心の中でクイズしながら鑑賞しました。
(結構違うのでかなりの確率で正解できます笑)

後半に版画と素描のコーナーがあったのですが、線画でも2人に違いがあったのはとても興味深かったです。

②控えめで溶けてく、北部のシダネル

私は、断然シダネルの絵が好みでした。
おぼろげな光の中に、描かれているものが溶けてくような感じで、控えめな日常の幸せを味わうような印象を受けました。

後期は人が描きこまれなくなるのですが、
窓から漏れる明かりだったり、食事の準備だったりで人の存在を感じられ、想像力が掻き立てられます。内省が進む絵でした。

静かでドラマチックな光
《「ジェルブロワ、テラスの食卓」アンリ・ル・シダネル (1930年)》 

③鮮やかで圧巻、南部のマルタン

マルタンは、時代を下るほど光の粒が鮮やかになっていく感じがして好きでした。
私は《マルケロルの池》が一番気に入っていて、会場で観たとき絵が光っているのかと思いました。
描画力、というんでしょうか、圧巻という感じです。

あと壁画の群像もすてきでした。
一人ひとりが馴染んでいるようで際立っていて、引き込まれます。
詩や文学から影響を受け作品を制作していた時期もあったようで、だからなのか、自然体というよりちょっとした違和感?を感じる、目を引く構図が多い気がしました。

そして当時前衛的すぎるとされていた印象派の画家で、公共建築の壁画を担当するほど成功したということで、あまり知らない人だったけどマルタンってすごいんだと思いました。

《「ガブリエルと無花果の木[エルベクール医師邸の食堂の装飾画のための習作]」
アンリ・マルタン (1911年)》 

まとめ

これまで「印象派」と聞いてすぐ思い出す2人ではなかったですが、今回じっくりと観ることができてよかったです。
気に入る作品にたくさん出会えましたので、おすすめです。

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