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新米論点その2

前回の復習から…💦

少し…いやかなり時間が空きましたが…前回からの続きです。

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 新米の時期になると必ずと言っていいほど繰り返される「論点」があります。昨年の8月ごろにも案の定「9月に放送するテレビなんですが、新米ってもう出揃っていますよね??」という話が…。
 もちろん前回お話しした通り「今の時期はまだ『新米の走り』の時期です」と説明して「新米特集」を断念?させましたが…。

まず復習。代表的な論点は以下の5つ。

①新米の炊き方はどうするの?

②もう9月だから新米シーズンでしょ。

③新米よりも多少時間が経過したほうが美味しい。

④新米って北海道が一番遅いんでしょ?

⑤新米っていつまで呼ぶことができるの?

そのうち、今日は③~⑤について説明します。

なないろ日和(9月)

③新米よりも多少時間が経過したほうが美味しい。

 肉でも魚でも、歯ごたえよりも味を求めるのであれば、ある程度時間が経った方が熟成して美味しくなります。
 お米もそれと同じ…ではないのですが、ただ新米より多少時間が経った方が味に「深み」が出てきます。
 新米は香りと艶に騙されて?、思わず笑顔になって「美味しい!」と言ってしまいます。それは認めましょう。
 しかし…落ち着いて味を分析してみると…味に深みが無いのが分かるのです。
 業界的に僕らはこのようなお米を「まだ落ち着いていないなぁ」と曖昧な言い方をしていますが(笑)、個人的には「まだ米粒の組織が柔らかく、しっかり噛みしめることが出来ないから味を認識しにくいのでは?」と思っています。

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 ではいつが美味しいの?
 そう、それは「今!」なのです。
 ちょうど今くらい寒い方がお米の味も劣化していませんから(暖かいキッチンとかに置きっぱなしは論外ですが)、暖かくなる前の今の時期が美味しいのです。
 是非皆さん、今の時期のお米をしっかり味わってくださいね!

④新米って北海道が一番遅いんでしょ?

 普通はそのように考えますよね。分かります。
 いわゆる「新米前線」は沖縄県から始まります。開始月はなんと6月あたま!そして北海道の新米が出てくるのが10月ころです。
 ところが!世の中には11月ごろに出てくるお米もあります。例えば宮崎県の高千穂地方。標高が高いということと、晩稲の品種(ヒノヒカリ)を栽培しているということもあり、新米は遅い時期に出ます。

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 ここまででは無くとも、九州や埼玉など、麦との二毛作を行っているところは麦の収穫が終わってから田植えが始まるので、そもそも田植え時期が遅く、それに伴い収穫時期も遅くなるのです。
 それでも九州や関東であれば11月初旬であればまだ暖かいほう。そのころの北海道は…もう雪が降っています!

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 そう…寒いから遅い…と言うのは正しいのですが、今度は寒すぎるという問題もあり、北海道ではそうなる前に早めに収穫するのです。
 ですから新米前線は桜前線のように単純に南から北へ、とはならないのです。北までいってまた南に戻るといった感じです。
 さすがお米は日本全国で栽培されていますから、このような複雑な線を描くことになるのですね!

⑤新米っていつまで呼ぶことができるの?

 これは質問が出るというよりも、皆さんが気付いていないのでこっちから「実は…」と話すことが多い論点ですね。

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 ただこれは憶測とかではなく、法律に記載されていることなので、はっきり言えます。
 「新米とは収穫された年内に、袋詰めをされたお米のこと」
 なのです。
 例えば米屋さんとかスーパーでビニール袋に入ったお米がずらっと並んでいますよね。その袋に「新米」シールが貼ってあります。そう、この「新米」シールの扱いが、上記のように決められているのです。
 だからよく言われるのが、「じゃあ、年内に沢山精米しておけばいつまでも新米山積みだね!」と言われるのですが、今度は精米年月日の問題があります。
 仮にいま…2月ですが、この時期まで「新米シール」が貼ってあるお米が並んでいたら…それは前年の12月以前に精米されたお米、ということです(精米年月日が古いのは『悪』なのかという話題は置いておいて)。

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 お米は生鮮食品ですが乾物でもありますので、見た目では古い・新しいは分かりません。そのためこういった表示には非常に細かい決まり事があります。
 近年、規制緩和もありいくつかルールが変わりつつありますが、少なくとも収穫されて2カ月くらいたったお米を「新米」というにはやや抵抗がありますね、個人的には。

 ということで5つの論点、いかがでしたでしょうか?

 これを覚えておけば、毎年訪れる「新米論争」?にけりをつけることが出来ます。

 とは言え新米なんてまだまだ先…と思いきや、沖縄県石垣島ではもうそろそろ田植えが始まろうという時期!!あっという間ですね!

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 6月中旬には入荷されますので!あと4か月、お待ちくださいませ。

」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」「楽しくなければお米ではない!」
有限会社 小池精米店 三代目 小池理雄(ただお)

五ツ星お米マイスター/東京米スター/6次産業化プランナー(中央サポートセンター登録)/社会保険労務士
東京都米穀小売商業組合所属/東京都ごはん区メンバー

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