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終わる命・つながっていく命

大きな木の下で、年長さんと分かちあいの時間を持った。
テーマは「終わる命・つながっていく命」

絵本「おばあちゃんからのおくりもの」を読んだあと。

ミ「ねえ、今からミッチーさんの大切なお話をするね。多分、一生の中で、今しか出来ないお話。聞いてくれる?」

子どもたちは、うんと頷く。

「ミッチーさんは子どもの頃お母さんと暮らせませんでした。だからおばあちゃんがお母さんと同じ。そのおばあちゃんが死んでしまったの。おばあちゃんは美味しいご飯を作ってくれた。唐揚げとか、たまごサンド、トンカツどれも美味しかった。お寿司も握ってくれた。寂しいときには優しくしてくれた。
そこに居てくれるだけでよかったんだよ。でも、もういないんだ。

声を聞くことも触ることもできない。それが悲しい。とっても悲しい。

悲しくて悲しくてもうダメかもと思った時、『命は命の中で巡り巡っているんだよ。ミッチーの中におばあちゃんはいるんだよ。』て言ってくれた人がる。・・・わかるんだけど、でもどういうことかな、、うーん。

その時、あるスタッフからメールが来た。『おばあちゃまの愛をみっちーやふきちゃん(娘)を通じてわたしたちも感じてきていたのだろうな。ともに感謝します。』って。

ああ、そういうことか!ってみんなのことを思い出した。
わたしも、みんなからいっぱい愛をもらっている。いっぱい幸せにしてもらっている。

でも、その愛はどこから来たのかな?・・そう、みんなのお母さん、お父さん、兄弟、おじいちゃんやおばあちゃん、大好きな人から来ている。その人たちの愛をミッチーさんも受け取っているんだね。

じゃあ、その人たちの愛はどこから来てるのかな?
・・そう、その人たちが大好きな人たちから。その人たちの愛は?そのまた大好きな人たちから、ずーっとつながっている。

ねえ、目を閉じて胸に手を当ててみて。

みんなが大好きな人は誰?一緒にいて幸せを感じる人は?優しく抱きしめてくれるのは?美味しいご飯を作ってくれるのは?痛い時や悲しいときにそばにいてくれるのは?一緒に走ってくれるのは?

今、胸の辺りはどんな感じ?ポカポカする?にっこりしちゃう?感じてみて。

じゃあ、その大好きな人に触ってみて、心の中で。優しくそっと。

・・・。

どんな感じ?

・・・そう、それが命がつながっていくっていうことだよ。

みんなの命、ミッチーさんの命、大好きな人の命、どれも大切(園児「動物は?」)そうね、動物の命も。(園児「木にも命があるよ!」)そう、そうだね。どの命もつながって、大切。とっても大切。ありがとう、大好きだよ!ぎゅーっ。(と、ビッグハグ)
はい、これでミッチーさんのお話は終わります。聞いてくれてありがとう。」

なぜやりたいと思ったか?
子どもが育つ”環境”というものには身近な大人も含まれると言われています。

”わたしという環境”はどうありたいか?

わたしは生身でいたい。 ”いいスタッフ”という偶像、”いい母親”という偶像でいたくはない。
母性で誰かを包み込むのと、いい母親の役割をこなすことは本質的に違うし。

だから、今、生身のわたしのままに、大切な人を失った悲しみを悲しみのまま抱え、それでもつながっていく命、あなたの中にもわたしの中にもある大切な命を感じている。それが”わたしという環境”が生の素材となって、「今しか伝わらない大切な何か」を子どもたちに届けることになると信じています。

そして、心の真ん中にあることをスッと出す見本にもなれたらいいな。。

子どもたちの反応は脱線しながらも最後まで受け取って、自分の考えを自分なりに話す子、神妙な空気にどう居ていいのか戸惑い、ふざけだす子などそれぞれ。

決してきれいに整ってまとまった時間ではありません。それでもいいのです。それがいいのです。この子達の”生身の今”と一緒にいるということに、わたしは価値を感じるから。

保育後、あるスタッフが言ってくれました。「いつか、ミッチーの言っていたことが、ああ、こういうことかってなる日が来るよ。」別のスタッフは真摯に話す人の時間を守る事は大切だと言ってそのように動いてくれました。

当日の朝、急にわたしがこの「終わる命・つながっていく命」の分かちあいをしたいと言い出した時、その日いたスタッフは誰もが真っ直ぐにうけとめてくれて、集合のベルを鳴らすタイミングや場所など保育の動きを具体的に考えてくれました。

「ああ、やっぱり、わたしはここが好きだな。ここに居られて幸せだな。もっと居たいよ。」と素直に思いました。

読んでるあなたに伝えたいこと
信じ難いことに、あなたもわたしも巡り巡ってつながっていく命の輪の中にいるみたい。
何だか、これまで以上に一人ひとりの質感を感じたいと思っている、今です。
話してもいい、話さなくてもいい、同じものを見つめるだけでもいい、同じ森にいるだけでいい。

あなたもわたしも巡り巡ってつながっていく命。

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