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IDEOの撤退とニッポンの会社

ちょっと「カタイ」表題になってしまいましが、IDEOの日本撤退は、結構ショックなニュースでした。「結局、電・博・BCG・・・・?」みたいな絶望感というか、何か時代が逆戻りするようなやるせなさを感じたのは、私だけではないと思います。

経営戦略とデザインは切り離せない関係なのに、いや、むしろ、経営はデザインそのものなのに、大手企業の経営層のデザインに対する表層的な理解が、せっかくの改革の機会を逃してしまったようで残念でなりません。
もちろん「デザイン思考」がオールマイティではないにしても、従来の戦略論とは異なるアプローチを組織に導入することができたはずです。
経営への生成AIの活用も既に現実的な課題として取り上げられていますし、生成AIに「デザイン思考」を取り込むことも充分に可能でしょうから、そうした面からの事業判断もあっての撤退かもしれませんが、もう少し日本の「デザイン経営」に爪痕を残してほしかったというのが、正直な感想です。

私がブランディングに関わり始めた30年程前と比べると、書店の店頭に並ぶブランディング関連の本は3倍以上に増えているように思います。それだけブランディングが日本の企業に浸透したと考えることもできますが、自分の仕事の周辺の動きを見ていると、まだまだブランディングという「言葉」だけが消費されているのでは、という懸念もあります。
そうした「言葉の普及具合」に照らしてみると、「デザイン思考」はあまりに短命だった。過去形にするのは早計かもしれませんが、少なくともニッポンの経営層を変えていくための貴重なフラッグシップを私たちが失ってしまったことは、残念ながら事実だと思います。


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