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不妊治療について体験記ラスト〜手術から妊娠まで〜

不妊治療についての体験記を書いてきましたが、今日でいよいよラストになります。


前回のnoteで、不妊治療のクリニックで顕微授精移植後に「妊娠陰性」と診断されていたにも関わらず、実際には妊娠していてお腹の中で破裂し緊急手術するところまで書きました。

卵管切断や卵管除去を行う確率は8割と医師から告げられ、手術に挑んだのですが、麻酔で目覚めた時に医師から「受精卵が腹腔に移動していたため、生殖器をどこも切断せずに済みました」とまさかの報告を受けました。

子宮外妊娠が起こる確率は0.5-1%程。そのうちの8割程度は卵管で受精卵が止まってしまいそこで破裂してしまうとのことですが、稀に1.3%くらいの確率で、卵管ではなく腹腔に受精卵が移動してそこで破裂する……というレアケースがあるらしく、私の場合はそのケースだったようで、卵管を切断せずに手術を済ませることができたようです。

地獄で仏と言いますか、不幸中の幸いと言いますか、最悪の事態でしたがその中でよかったと思える状況になりました。低くても数値的に妊娠の形跡があったにも「妊娠してませんね」と早合点した不妊治療クリニックに対する怒りも湧いていたので、クレームを入れようかとも思いましたがそんな気力もなく、ただただ手術が成功してよかった、と身を労わることにしました。退院する日、入院と手術費合わせて80万程請求されたのですがその時再び怒りが湧いてきて、この金額だけでもクリニックに請求できないのかという考えが過ぎりましたが、調べたところどうしようも出来ないようだったので、しょうがないですね。

数日入院して医師からは、「早ければ一ヶ月半から二ヶ月くらいで生理がくるのでまたそこから不妊治療を再開できます」と助言をもらいましたが、2週間ほどで生理がきました。この辺りも個人差があるようです。ただ、一度子宮外妊娠になってしまうとまた子宮外妊娠になってしまう確率が10%ほどになってしまうということも伝えられました。子宮外妊娠が1/100の確率、その中で腹腔内に受精卵が移動するのが1/100の確率。そんな超レアケースを体験した後だったので、10%という確率がとても大きな確率のように思えました。

もうこんな思いはしたくない、と怯える気持ちもあったので夫に「一旦不妊治療は休みたい」と伝えることにしました。夫も私の負担を減らそうと、男性不妊専門のクリニックを訪れ、男性不妊の原因を改善する手術の相談を受けたり、自分で調べた生殖機能向上に良さそうな漢方を飲み始めることになりました。一旦顕微授精はお休みです。次は顕微授精を再開する前に、男性側の手術をしてみて様子をみてもいいんじゃないかという話にもなりました。

年齢を考えるとすぐにでも顕微授精を再開した方がいいのかもしれませんが、自分ではコントロール出来ないことと向き合い続けるのは、思っている以上に精神が傷つく行為だと思います。またダメだった時に、やり場のない気持ちに自分が狂わされないために一旦時間を置くことに決めました。

私は昔からとてつもなく嫌なことがあると、「こんなに嫌なことに耐えたんだからこの嫌なことが霞むくらい、いい出来事を起こしてくださいお願いしますよ」と神様にお願いすることで、気持ちを宥めるようにしています。

なんの因果関係もありませんが、「霞むくらいいい出来事を起こして下さいね」と恨み節を言うことで、今の自分にとっての「いい出来事」はなんだろう?と想像してみるのです。想像するのは大概仕事のことですが「最強にいい出来事」を想像すると、怒りや悲しみが少し収まります。恨み節を吐くことで希望を作り出して、自分を奮い立たせるという手法です。

そんな恨み節が届いたのかもしれません、それからすぐに妊娠していることがわかりました。

しかも治療を再開しておらず、夫も手術をしたわけではなく……自然妊娠でした。なんとなく胸が張るので生理予定日に検査薬を試したところ、くっきり陽性のラインが出たのです。

最初陽性ラインを見た時「え?どういうこと?」と戸惑ったのが正直な感想です。

通っていた不妊クリニックでも、新しい転院先でも「自然妊娠はまず無理」と言われていたので、検査薬を試しながらも陽性ラインがしっかり出るというのは予想していませんでした。行動と言動が矛盾しているようですが、「まさか当たらないだろうと思いながら宝くじ買う」という感覚に近いかもしれません。期待しているわけではないけれども運試しのような気持ちで開封した宝くじが当たっていた時「え?本当に?嘘!?」と喜びよりも、何かの間違いでは?という驚きの方が先行してしまうと思います。検査薬を見た時はまさにそんな気持ちで、まず信じられない!という衝撃が走ったのです。その後「途中で流産してしまうかも」と不安を抱えながら月日は過ぎ、出産間近の現在に至ります。驚きの出来事の連続に、心が遅れをとったまま現在まできたという感覚です。

不妊治療は原因不明だったりまだわからないことの方が多いと医師から聞かされていましたが、まさに身をもって生命の神秘を目の当たりにしました。自然妊娠は無理、と言われていたにも関わらず自然妊娠ができるなんて……ビタミンDのサプリが良かったのか?漢方が効いたのか?という話になりますが、この後アフェリエイトリンクでサプリの通販サイトに飛ぶ……ということはないのでご安心を。

ビタミンDも漢方もドラッグストアに売っているようなものを適当に買って飲んでいただけなので、そんなもので自然妊娠できるの?今までの苦労はなんだったの?まず最初にこの方法を勧めてくれよ!とクリニックに対して思いましたが、逆に人智では予測できない神秘的な範疇のものなのかもしれないと思いました。あの時の恨み節を叶えてくれた神様?超越者?に感謝です。

他の方のブログなどを読んでいると、不妊治療を一旦休んだら自然妊娠したとか、もう最後だと諦めていたら奇跡的に妊娠したという声もあり、もちろんいい奇跡だけが起こるわけではないと思いますが、私のようなケースもあるのだと今不妊治療を頑張っている方の励みになればいいなと思って、今書き綴っています。

悩んでいる方もたくさんいらっしゃると思いますが、不妊治療経験者の私が思うのは、甘えているとか思わずにご自身の心の声を大切にしていただきたいなということです。予期できない、未知のことだからこその期待とそれ以上の不安、そしてその双方に振り回されるストレスは計り知れないと思います。重要なことだからこそ自分の感情を押し殺して無理し過ぎてしまうこともあると思うのですが、何が起こるかわからない分野でもあるので、まずは自分の心の声を大切にしないとなかなか乗り越えることができない大変な経験だ、と身を以て感じました。

ここまで読んでくださってありがとうございました。もっと不妊治療に対する理解が深まり、補償が充実する世の中になってほしいと切に思います。


(※ちなみに気になった方もいるかもしれないので書いておくと、私が飲んでいたのはビタミンDのサプリで、夫が飲んでいたのは「八味地黄丸」という種類の漢方です。病院で買ってたわけではなく、ドラッグストアで売っているものを飲んでいましたのでご参考までに)


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