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誰かに言いたいけど誰にも言えない体験をした話  過払い金請求の相談をした結果、猛烈に思ったこと(前編)


 僕は普通に真面目に生きている。仕事は自分なりに頑張って少しでも役に立とうとしてきたし、私生活でも人に迷惑をかけないように振る舞ってきた。ポイ捨てだってしたことはない。
 しかしながら、生き恥は、ある。度重なる仕事のストレスを発散するためクレジットカードを使いまくり、キャッシングをしてそれを返済し、その借金を別なキャッシングで返すと言うことを繰り返してきたのである。

 だから、ずーーーっと気になっていたのが過払い金請求である。ラジオやテレビで流れるたび、「僕は該当しないだろうか?少しでも取り戻せないだろうか?やっぱ無理だよな。グレーゾーン以上の金利も払ってないし。万が一でも人に知られたくないしな。」という逡巡を心のなかで繰り返してきた。正式な手続きをするためには、記憶を掘り返さなければならず、あの時代のストレスの追体験も辛すぎる。 

 でも、素知らぬ顔をするのも辛い。 僕の柔らかな心を、CMが、ラジオが、インターネット広告が何度も何度も刺激する。しかも唐突に。その度に「僕にはほんとに過払い金があるのかないのか、いやでも…」と子羊ような気分になっちまかうのである。家族や友達といる中、広告に耳を取られながらクールな顔をしているのもものすごい苦痛なのである。

 そして、時効。いつが基準なのか期限はいつなのかは分からないが、請求が遅くなるほど戻る金額は減ってしまう。

 やるなら早い方がいい、でも辛い。
 過払い金があるかないか、それだけでも知らなくていいのか真実を?こんなくだらない思い出をを引きずって墓まで持っていくんだろうか僕。

 話してみよう!やっぱり!!やらないで後悔するよりやって明らかにしたほうがいいんじゃないか?
つい「過払い金請求」を検索しちゃった僕に、今度はスマホが、記事を開く度に広告で猛烈攻勢をかけてくる。
 「なぁお前。おふくろさんもいるんだろ。吐け。吐いて楽になっちまえ」
スマホが、刑事ドラマの刑事さんのように僕の心を苛むのである。
ああっ、もう楽になりたい〜。
 そして、誤ってクリックしてもうた広告をつい見てしまった僕の目は釘付けになった。
 「ん…時効って10年??」

 記事を読むと時効は最後に払った日から10年。一回払いで使って他のカードのキャッシングで払って完済を続けていた場合、それを続きと見られるのかどうかは知らないが、爆買い最盛期の頃はギリこの期間に入るんでないか??どうなるんだろう?もしや…イケるのではないか。

 僕のテンションは上がりまくった。
 僕はもう充分に苦しんだ。過去を精算してスッキリ生まれ変わっても誰も文句は言わないだろう。ガード会社だって、「またか」と思っておなじみの手続きの1つを繰り返すだけだろう。こんなちっぽけな町の、ちっぽけな僕の過払い金なんてだーれも気にしない!!
 その事実を知るのは偉い弁護士さんと、トウキョウのどこかのたちだけだから。それだってそれぞれがさばいている何万件のうちのたった1事例なのだ!!
 天啓が降りてくるというのは正にこのことである。ああ、なんて愚かだったんだろう僕は!!自分が人生の主人公であるあまり、他の人が僕を気にしていると大きな勘違いをしていた!!僕以外誰も僕の人生を見てはいないことを完全に忘れていた。僕は何万件のたった1事例で、何十、何百万人がやらかしていて、何万人が手続きをしている簡単なものなんである。お金が返ってきたら見っけもんだと思ってさらーーーっと手続きしちまおうでないの!!

 モリモリとテンションを上げながら、僕は光速(当社比)でリサーチをしまくった。なんと、大手弁護士事務所の支店が隣町にあるではないか。隣町でも成り立つくらいの相談件数があることに僕は驚いた。
 みんな何も言わずにクールな顔して歩いてるだけで、実はやらかしちゃってるんじゃないか!人類皆兄弟!仲良くいこう!
 心の霧が晴れた僕は居ても立っても居られず、速攻でその事務所に予約をいれ、ウキウキしながら予約日を待ったのである。

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