まだ早かったかな? こっくりキーマ南瓜。
カボチャとは、秋冬にこそ好まれる野菜だと思う。こっくりホクホクとして身体が温まる感じで、家族みんなで囲む清く正しく晴れやかな食卓にこれ以上なくふさわしい食材な気がする。
でも夏野菜なのよね。
今から長期間貯蔵しておくことで糖分が徐々に増えていって秋頃にちょうどおいしくなる、という仕組みはもちろん知っているのだが、我が家にはすでに大小2個のカボチャがごろりんと玄関口に上がり込んでいて、つねにじっとこちらを見ていた。
あるいは背中でアピールしていた。ここに僕らいますよと。
夫婦ふたり暮らしのこの狭い家にカボチャ2個の存在感は大きい。少しずつ食べていかなきゃいけない、という法案が臨時国会で採択された。
まだ甘くないカボチャを食べるのにオススメの料理が、今回ご紹介する「キーマ南瓜」である。語呂的に南瓜は「ナンキン」と読みたい。
いつか誰かが教えてくれた味。いつ、誰かは思い出せない。
南瓜は煮っ転がしの要領で切り、ランダムに皮を剥く。このランダムにというのはなぜこうし始めたのか自分でも覚えていないがなんかカッコイイから惰性でやっている。おそらくいくらかは味しみもよくなっているだろうし。
あ、分量は以下のとおり。ザッと目を通してくださいな。
<キーマ南瓜>
カボチャ・・・小2分の1個
挽き肉・・・150g
ニンニク、生姜・・・ひとかけ
とうがらし・・・一本
クミンとかマスタードシードとか・・・お好みで
砂糖・・・小さじ1〜2
酒・・・ひと回し
濃縮めんつゆ・・・ふた回し
カレー粉・・・小さじ2
塩コショウ・・・適量
オリーブ油・・・適量
深さのある鍋にオリーブ油をなじませ、ニンニク、生姜、とうがらしを熱する。このときクミンシードやマスタードシードなどはお好みで加えてください。要はカレーのスタートと同じです。
なぜオリーブ油なのかというと、作りはじめた当初の記憶がおぼろげなのだがたしかイタリア料理かフランス料理のシェフが「カンタン家庭料理」として開陳していたレシピだった気がする。なので自然と油といえばオリーブ油、ということになっていたのだろう。ごま油以外であれば何油でも大勢に影響ない気がするけど。
挽き肉に塩コショウをして炒める。挽き肉も牛・豚・鶏・合い挽き、どの肉でもいいです。味はそれぞれ違うけど悲惨な出来栄えにはなりません。
挽き肉にあらかた火が通って油が透き通ってきたらカボチャを加え、ひたひたの水、砂糖、酒を入れてフタをし、5分ほど中弱火でグツグツ煮る。
南瓜は意外と早く火が通る。
個人的な感覚だけど、ジャガイモなんかに比べればカボチャの火の通りは抜群に早い気がする。生を包丁で切るときは相当手強いので、さも火の通りも遅いんだろう、屈強な野菜なんだろうという先入観がつきがちだけど、案外スッと柔らかくなってくれる。見かけによらずいいやつである。
5分ほど煮たらフタを取り、カレー粉とめんつゆを加えて煮詰めてゆく。途中味を見て、塩コショウなどで加減してください。これが普通のカレーだとトマトケチャップやソースなんかを隠し味に入れがちだけど、あえてそこまでの味の立体感は要らない気がする。要はカレー粉とめんつゆの相性、めんつゆとカボチャの相性、カボチャとカレーの相性、三者すべての組み合わせが最強なので、あまりその黄金のトライアングルを壊さないほうがいい気がします。
程よく水分が飛ぶ頃にはゴロゴロのカボチャにも火が通り、甘辛こっくりカレー風味の衣を纏いて金色の野に降り立つべし。
カボチャの力不足を補ってあまりあるカレー味。
冒頭にも書いたけど、まだまだ糖分を蓄えていない新カボチャ(そんな言い方あるんかな)にはお出汁・醤油ベースの煮っ転がしはややもすると味気なく物足りない仕上がりになりがち。その点このキーマ南瓜ならばカレーの力で頼りないカボチャを食卓の主役に押し上げてくれる。
うん、今回も抜かりなくできた。まだまだ太陽は昼間カンカンに熱い殺戮光線だし、キッチンに向かっている間も滝のように汗が流れたからちょっとまだこの料理の季節じゃないのかもしれない。これから秋に向かって恋しくなる味なんだと思う。ちょっと気が早かったかな。でも上出来。
いつ、誰が教えてくれたかもはっきり覚えていないけど、今もおいしく作らせていただいてますよー。
この分量だと家族4人ぐらいいないと一回の食事ではちょっと食べきれないかも。そんなときは翌日に持ち越して、チーズと一緒にホットサンドの具なんかにしてもおいしいんじゃないかと思う。
ていうか、今日のお昼それにしようと今から企んでいるのである。
上手くできたらまだ載せますねー。むふふふふ。
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