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冬を待つ名脇役、大根のステーキ。

肌を刺すような冷たい風が例年のようにはなかなか吹かなくて、季節外れの夏日が続いていますよね。ロンT一枚で外出したって平気どころか、うっかり額に汗さえにじみかねない陽気。どういうことなのだ。

おかげでビールがうまい。まあ一年中うまいけど。

一方できっと困っているのは、大根である。きっと毎年ならばお出汁のしゅんだ(関西弁で沁みた、の意)おでん種の主役としてコンビニの店頭や居酒屋のカウンターで君臨し、人々は箸で分厚い黄金色の円筒形を真っぷたつに割って「わー、やりこーい(柔らかい)」などと歓声を上げ、アツアツをハフハフ口に運んでは笑みを浮かべ、頬を上気させていたはずなのである。

でもさあ、こんな天気じゃあさあ、大根ハフハフの気分にならないよね。むしろ冷奴とお刺身と青菜のおひたしでいいや、ってなっちゃうよね。

そうしてダブついてしまった大根のストックを速やかに消費したいときに、我が家ではいつも作る大根料理がある。それが大根ステーキである。大根をサッとコンソメで煮て、両面焼くだけの簡単メニュー。時間はちょっとかかるけど、難しいところは何もないし、もし気になったらぜひ挑戦してみてくだされい。

まずは輪切りにして下ゆで。

大根ステーキ06

大根にうまく味を染み込ませる秘訣は、まず一回ただのお湯で下ゆですること、だと思っている。誰かに習ったわけじゃないけど、経験からそう思っている。この料理では皮をむいた後だいたい6〜8ミリ厚ぐらいに輪切りにし、ひたひたの水でじっくり、透き通るまでゆでる。厚みはいくら厚くしてもいいんだけど、その分ゆで時間も伸びるし味も染み込みにくくなるので、このぐらいの厚みがオススメ。

ちょっと日にちが経って鬆(す)が入っちゃったなあ。こうなるとおいしくないのよね。失敗、失敗。

味つけは、塩とコンソメ。

大根ステーキ07

だいたい大根が煮えたら、コンソメと塩で味つけ。分量としては、大根3分の1本に対しコンソメキューブ1個、塩小さじ2分の1ってぐらい。味つけしてすぐ味見してみて、スープとしておいしく感じるぐらいの塩加減です。味が濃いほうが好きな方はもう少し増やしてください。

フタをせず、煮汁がほぼなくなるまでしばらく煮詰める。

大根ステーキ09

焼き油は、オリーブオイル。

大根ステーキ11

煮詰まったらオリーブオイルを熱したフライパンで両面に焼き色をつける。煮汁が余ったら、このとき一緒に入れちゃって煮詰めてもいいし、焼き上がりでソースとしてかけてもいいです。

大根は表面に水分を多く含んでいるためなかなか焦げないので、慌てずゆっくり焼けばOK。

<きょうのポイント>
1)大根に味を染み込ませるには、まず下茹でをキッチリと。
2)大根は表面に水分を多く含んでいるので、なかなか焦げない。

焼き上がりで黒コショウをガリガリ、できあがり!

大根ステーキ02

仕上げの黒コショウはフライパンの中でからめちゃってもいいし、お皿の上でガリガリ挽いてもOK。熱々を召し上がれ〜。

大根をコンソメで煮る、って作る前は戸惑うかもだけど、意外とこれが違和感なくハマります。オリーブオイル、黒コショウ、とトコトン洋風に仕上げることで、かえって大根の持つ根菜ならではの「土」の味というか、香りや風味が引き立ちます。古い大根だと苦味が出ちゃうので、なるべく新鮮で糖度の高いものを使ってください。

大根ステーキ05

カリカリベーコンを挟んで食べたりするとボリュームもアップ。なかなか主役にはなりにくいけど、何と言っても材料一品でできるし、もう一皿欲しいなってときにいいかも。大根も一度にけっこう減ります。

もう少し寒くなったら、鍋で引っぱりだこになるはずの大根。それまではこんな使い方も、わりといいもんです。

ビールがやっぱりうまい。

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