自家製ベーコンのBOCEトースト　〜手間ヒマかけた超スローなブランチ〜

自宅にいる時間が長いと、みんなふだんより手間をかけたごはんに精が出るようで、今スーパーや食料品店の棚から小麦粉（特に強力粉）と無塩バターが姿を消していますねえ。お菓子やパンをせっせと焼くみたいです。

僕はうどんを打ちたいのにいやだなあと思うぐらいであまり困らないのですが、お菓子やパン作りが大好きな妻は警戒心を強くしています。先日、幸い格安で強力粉を確保できていたので、きのう満を持してスコーンを焼いてくれました。どこからかレシピを見つけてきて、要らないA4用紙の裏にメモしておいた製法です。

自給自足スキルが高い妻の手焼きスコーン。

これが、手前味噌だけど抜群の出来。焼き立てということもあって、表面はさっくり軽く、中はしっとり。英国人もビックリの仕上がりでした。

クロテッドクリームはあいにく手に入らず、（生クリームを振って作ることができるみたいなので次回試します）いちごジャムのみ。このジャムも、商店街の青果店で小粒のジュース用を見繕って（１パック100円という破格）妻が自ら炊いたもの。

そう、うちの奥さんは自給自足スキルが異常に高いのです。いいね、頼もしいね、といつも感心します。

そんな妻がついにベーコンを作ったところ・・・またもや優勝

手持ち無沙汰だと捗る食材作りのジャンルとして、お菓子やパンと並び立つのが「塊肉」ではないだろうか。

熟成したり、漬け込んだり、燻したり、煮込んだり……。欧米の保存食として発展した肉の加工品は日持ちのよさを追求した結果とにかく手間ひまがかかるのが常。ふだんだとなかなか生の肉の仕込み段階からは手を出せないで、スーパーの小分けパックでしのぐことになりがち。

でも、あれって生の肉より重量で言うと断然割高ですよね。もし作ることができれば自分で作った方がはるかに安上がりのはず。収入も激減し、時間だけはあるこの状況を逆手にとって、いっちょ挑戦する価値はあるかも。

先日無聊が高じてDIY段ボール燻製にとうとう手を出した我々は、「暮しの手帖」の助けもあって自家製ハムを作るところまではきた。そして、このハムの肉をバラ肉に変えればすなわちベーコンでは、という大雑把な説を立て、実践することにしたわけである。

そして安い豚バラ肉を手に入れた。妻はここぞとばかりに作戦を開始した。

詳しいレシピは「暮しの手帖」99号掲載「上田さんのハム」をご参照いただければと思うけど、まあまあ手間がかかる。まず砂糖で脱水した後に塩水ベースのソミュール液に二晩漬け込み、それを何時間かかけて湯煎にかける。そこまでが掲載されている製法なんだけど、これをさらに数時間燻製にかけたものがうちのベーコンなのだ。

2020.05.17追記　その後妻のベーコンはさらに製法を吟味し、湯煎で火を通す前に1時間水につけて脱塩するという工程を追加しました。これにより塩気がマイルドになりさらに風味が向上。

きょう、切ってみて驚いた。なんと美しい断面であることよ。おいしい予感しかしない。これを活かして、お休みの日の遅いランチにオープンサンドを作ろうという試み。

手軽じゃないけど、リーズナブル。贅沢に厚切りで。

分厚く切ってフライパンで焼く。５ミリ厚ぐらいかなあ。自家製ならではの贅沢。時間かけただけあって、市価の３分の１ぐらいの出費で作れてるもんね。じゅわじゅわと脂が流れ出てくるのでキッチンペーパーで拭き取りつつ焼く。

カリッと香ばしい焼き目がついたところで、生卵をオン！

そう、みんな大好きベーコンエッグ。これを焼き立てトーストに載せる！

完成！　BOCEトースト！

ほんとうはレタスとトマトを用意してBLTとしゃれ込みたかったけど、冷蔵庫にある新玉ねぎとキュウリで代用。Bacon, Onion, Cucumber, EggでBOCEトーストの出来上がり。

その味わいはもう言うまでもない。豚肉本来のうまみ、脂の甘味とスモーキーな香りの相乗効果がすばらしい。市販品を貶すわけじゃないけど、市販品はどうしても加工の際のあれやこれやの添加物が別物の味にしてしまっているところがあるのかもしれない。その点、手作りベーコンにはよけいな添加物が一切入っていないから、ナチュラルな風味でボリューミーなのにノーギルティ。

敷居が高く感じていたベーコンだけど、じっくり取り組む時間があるなら挑戦する価値はじゅうぶんあると思った。「世界は美しい。戦う価値がある」といったのはヘミングウェイでしたか。関係ないですか、そうですね。

ちなみに昨日の冷やし中華同様、このオープンサンドもかなり食べにくいので真実の愛を試すのにはもってこいかもしれない。食べ終わる頃には手も口もベトベトになった。おいしかったからいいけど。

きょうで連休が終わるけど、終わるからといって何も終わらないし、始まらない。ただ次のごはんを粗末にせずおいしく食べることは大事にしていこうと思います。