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以心伝心のカレーうどん、妻の名言風味。

「きょうのお昼はカレーうどんにする!」

妻は書斎の入り口に立ちはだかって、キッパリと決意表明した。

おお、オレもそれがいいと思っていたよ。デスクから振り返ってサムアップを返した。断固とした意思を感じさせる、なかなか頼もしい口調だった。

月に数日、目を三角にして働かなければならない日が以前はあって、そのときは妻が代わりに食事の面倒を見てくれるのが習わしになっていた。目を三角に、というのは妻が私の様子を揶揄って言った表現だ。そういう日にはプライベートの一切がおろそかになってしまう。今まで、それでも無理してやろうとして結局迷惑をかけ、妻を怒らせることが多かったので、最近は抱えきれない日には事前に相談してお願いすることにしている。

コミュニケーションって大事ですね。

ごめんよー、いつも申し訳なく感じていますよー。

ほんとですよーお。

で、そういう三角まなこの日が無事にというか、戻ってきて欲しくはなかったところもあるけど戻ってきた。昨夜も妻に丸投げで、得意のお好み焼きを焼いてもらった。

手堅いクオリティになりつつある妻のお好み焼き。

妻のお好み焼きについては以前記事にしたためたので興味のある方はぜひ。お好み焼きがおやつでなく立派なごはんになる国からお送りしています。

妻のお好み焼き、昨晩は会心の出来で、唸るよりほかなかった。心の中の大木こだま師匠が「腕上げたなあ」とニヤリとした。もうお店できますやん、とさえ思った。ありがたい限りである。感謝してますよー。

ほんとですよーお。

きょうのお昼もあいにく全然時間的余裕がなくお願いしたのだが、果たして彼女は自分と全く同じメニューを考えていた。それがカレーうどんだったというわけで、以心伝心とはこのことである。

新規に作る、カレーうどん。

妻のカレーうどん03

「カレーうどんとして新規にカレーを作るのは初めてかもしらん」

妻は水溶き片栗粉を溶きながら、自分自身に驚いたようにそう言った。言われてみれば我々にとってカレーうどんはつねに、一晩置いてコクとまろみが増した「二日目のカレー」をお出汁で伸ばして食べる極上の手抜きランチであった。しかし今回、冷蔵庫野菜パンパン問題を打破すべく、新規にカレーを作ることになったのだ。

妻曰く今回のカレーうどんの汁は、タケノコの水煮、白ネギの上半分、にんじん、豚切り落としをヒガシマルうどんスープでひと煮してカレー粉を溶いただけらしい。妻はカレーについては実務的態度を崩さない。私のようにあれこれ試して迷宮に陥ったりしないし、それを楽しんだりもしない。

サッとできて何事もなくうまい……そのとき名言が。

妻のカレーうどん02

パソコンさんのキリがついたのでダイニングに出てきて、よそうのを手伝うついでに写真を撮らせてもらうことに。こっちが多いほう、とそっけなくうどんの入った器を渡してくれた(妻は私がせっせと記しているこのnoteに対してなかば、いや完全に呆れている)。

うふふ、うどんの美しいツヤ肌が映るように汁少なめにしよっと。

妻のカレーうどん05

ようし、おいしそうに撮れたぞー。冷める前にいただきます。

と、もし汁が残っていたら引き受けるよ、と言おうとしたときに妻がやってきて、余った汁をどばーっとかけてくれた。これまた以心伝心。

うまい。何事もなくうまい。特筆することは何もなくうまい。脳が新規の情報を効率よく処理する余裕がない今、こんな当たり前の味がありがたい。

でも汁が多すぎて食べきれない気がしてきた。あんまり食べると眠くなって効率落ちるしなあ。作ってくれたのに悪いけど、おずおずと切り出した。

「ごめん、汁残していい?」そういうと妻は目をまん丸くして笑った。

「カレーうどんの汁を残すという選択肢がこの世にあるなんて知らなかった」

名言、出たー。何の根拠があってかわからないけど自信たっぷり。妻にとってカレーうどんの汁はカレーライスのルウ同様残すものではないという。ふつうのおうどんの出汁やラーメンのスープとは扱いが違うらしい。

なるほど。そういうものかなあ。にわかに納得しきれず首を傾げていると、だから人々はお店でカレーうどんを食べるとき、小ライスをTKGにして追加するのだ、とまで妻は言う。

「君はまだまだカレーうどんの素人やな」

妻はそう言い放って笑った。

勉強になります、師匠。カレーうどんのこと、また勉強させてもらいました。

残さずいただきました。

さあ、きょうを乗り越えればまたゆっくりキッチンに向かうことができる。あとひと息、がんばろっと。

明日はお買い物にも行こうっと。

なんか三日続けてうどんだと「うどんブログ」みたいですねえ。
別にそれでもいいけど。


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