塩味ってつまり何味? うま塩ネギチキン。
ようやく長い梅雨が明けたと思ったら案の定、殺人太陽光線がフルパワー全開で、外を少し歩くだけで汗みずくになっちゃいますね。
一日中汗をかきまくった身体は、水分はもちろん塩分をいつもより欲していて、何か塩気のあるものが摂りたいなあと思ってしまいます。こういうときの欲求はさもアタマが考えているようでその実カラダに命令されているんですね。
外回りの一日が終わってすっかり「しょっぱいもの食べたいマン」と化した私は、妻が買い物してくれていた食材のうちからチョイスして「うま塩ネギチキン」を作ることに決定。焼肉店のタン塩に乗っけるようなネギだれを作って、ゆで鶏にトッピングするのだ。
まずは鶏モモ肉を白ネギの青いところ、生姜、ひと回しの紹興酒とともに煮立てず5分ほど加熱。保温性のよい鍋を使い、あとは冷ましながらじっくりやわらかくゆであげる(何が写っているかよくわからない写真ですね)。
帰ってくるなりキッチンに立っているので、鶏に火を通しているうちにシャワーをサッと浴びて汗を流すことに。ふうー、さっぱりさっぱり。
ようし、ネギ塩だれを作るぞう。
でも「塩味って何味?」と思ったことありませんか?
あるときスーパーの店頭で、市販の「塩だれ」の瓶詰めをぼんやり眺めながら、そもそも塩味のたれって何を合わせてどうやって作るの? 塩味って何の味? とふと疑問に思ったことがある。
だって、塩だれと塩水はどう違うのよ、と思っちゃいませんか? 思っちゃったんですね、私の場合は。
「うま塩」なる言葉も最近増えてきた気がして混乱に拍車をかける。「うま」って何? MSG? うまい前提じゃないの、たいていの料理はさあ。
ふだん何気なくラーメン屋や袋入りラーメンで目にする「塩ラーメン」にその答えはある。「塩ラーメン」の味の正体についてよくよく考えると、結局のところスープストックに使った香味野菜や鶏ガラなんかからいいお出汁が出ていてスープもほんのり黄金色をしているし、塩そのものの味ではない。もし厳密な意味での塩味にするなら塩とお湯だけじゃなきゃダメなはずなのだ。ところが縁の下の力持ちでいろんな食材が手伝っているから、とてもふくよかで奥行きのある「塩味」ができあがることになる。
これです。塩味とは、塩以外のものたくさんのハーモニー味。
<ネギ塩だれ>
白ネギの白いところ・・・1本分
ニンニク・生姜・・・ひとかけ
塩・砂糖・・・小さじ1
粉末鶏がらスープの素・・・小さじ1(やや少なめでもOK)
酒・水・みりん・・・・小さじ2
塩、砂糖、粉末鶏がらスープの素を混ぜ、細かく刻んだニンニクと生姜を加えたところにレンチンした液体(酒・水・みりん)を加える。
これが塩味の正体です。
細かく刻んだ白ネギを混ぜ合わせ、しばらく置いてなじませる。ごま油を加えてもおいしいんだけど、最近ごま油に頼らないキャンペーンを個人的に実施中なので、あえて控える。ごま油入れるとどうしても味が画一的になっちゃうのよね。好きでい続けるために今は距離を置きたい、そんな気分。
副菜、コンビーフ粉吹きポテサラ。
冷蔵庫に開封したコンビーフが余っていたので副菜にポテサラを。
ジャガイモとアスパラをゆでる。アスパラはサッとゆでたら先にあげたいので茶こしで、というチート。
水切りしたジャガイモの鍋を火にかけたまま軽く揺すって粉吹き芋に。
アスパラを戻し入れ、細かく刻んだ玉ねぎ、マヨ、コショウと和えたコンビーフをざっくり混ぜて出来上がり。
完成、うま塩ネギチキンとコンビーフ粉吹きポテサラ。
今回「うま塩」と名づけているけど、うまみ調味料は入れていません。あくまで雰囲気で。
チキンはおしゃれにトマトを周りに敷き詰めてみたら一周分にはちょっと足りなかったので急遽大葉をリリーフ登用してごまかした。
鶏肉も、安かったのでブラジル製の解凍ものにしたら身が脆くてうまく包丁で切れなかったので、ネギ塩てんこ盛りでやはりごまかす。
でも味は悪くない。ネギだれだけだといささか味が濃いというかしょっぱいと感じるかもしれないけど、鶏とトマトに合わせるとちょうどいい塩梅。さっぱりしてて食欲が増すわあ。まずまずの成功といえるんじゃない?
このネギ塩だれはもちろん鶏だけでなく、ゆで豚や冷奴など工夫次第でいろんなものに使えるので覚えておくと便利。
ポテサラもいい感じ。ジャガイモをあえて粉吹きにして、通常のポテサラのように混ぜきらなかったところに勝機があったな。コンビーフを強く感じる部分とジャガイモを塊で味わう部分との味の濃淡がいい変化を生んでいる。
妻のオススメの食べ方はここにブロッコリースプラウトを乗っけて、ちょっぴり追いマヨ。たしかにこれもいい。
妻が昼間に炊いておいてくれたコンニャクもやさしい味わい。
忙しい中でなんとかこうやって自分のペースでごはんを考えて作って食べることが、自分の暮らしを誰か他人のためのものではなく自分のものにするうえで、とても大事になっていることにあらためて気づく。ここに無粋な第三者の立ち入る余地はない。完全に自分自身がコントロールできていると実感できる、豊潤な時間。
人によってはその豊かな時間というのが、読書だったり美術鑑賞だったり、あるいはランニングだったり登山だったりするんだろう。それが趣味ってことなのね。趣味って大事。
料理を趣味にすると、一緒に食べる相手を笑顔にできるし、おいしいし、リラックスできるし、いいことづくめよね。
でも、こんなヘルシーな食卓だったのに翌朝の体重計が大幅増だったのは、いったいどういうわけだ。
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