15年後のあなたは自分の人生をどう振り返る? 〜小説『ボクたちはみんな大人になれなかった』〜
ネットニュースのトピックスであがっていたこの映画の記事。
どんな内容だったか、どんな紹介の仕方をしていたのか、もう思い出せないけど、
『自分が好きな類の映画だろうな』という予感がした。
「映画が公開されたら高確率で観に行くだろう。」
と頭の隅に置いておいたら、後日彼が文庫を購入していた。笑
それをわたしが先に読むという。笑
42歳の主人公『ボク』が、かつての恋人へFacebookの友達申請をしてしまうところから始まる。
(Facebookってのがまたビジネスマンというか、おじさんというか、、w)
しかしそこからなにかが始まるわけではなく、
それをきっかけにかつての恋人との時間や、ろくに眠らずに働いていた20代のことを反芻する数時間の話である。
冴えない20代の男子の、初デートの様子だったり、決まって渋谷の安いホテルに泊まっていた話だったり、個性的な感性の彼女との会話が延々と続いていく。
ロマンチックなセリフもなければ、ドラマチックな展開もない。
けどそれが妙にリアルで、平凡な恋人同士が日々、お互いの時間を共有し、次第に距離が縮まっていく様子は読んでいて心地よかった。
わたしが15年後、いまやこれまでの20代の出来事を振り返るとき、一体どんな気持ちになるのだろうか。
過去は過去でしかなく、ただ淡々と記憶を巡り、懐かしんだり悔やんだりを繰り返すしかないんだ。
過去に対してできることはなにひとつ無くて、
タイムトラベルは夢の中でしかできなくて、
生涯でたったひとりの本気で愛した人も、
現実では別の人の奥さんになっていたりするのだ。
夢を諦めたり、社会に馴染んだり、歳をとったり、
そうなって"大人"になった成人はたくさんいるが、
いつまでも輝いていたあの頃を思い出し、
夢を描き、あがく人生も大いに素敵だと思う。
元はcakesの連載が書籍化し、
映画化されるなんて素敵すぎる話だ😆
気になるかたはぜひにちぇけらー