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『オール アラウンド ユー』

太ももにちょこんと乗せると馴染む、わたしの『オール アラウンド ユー』はデニム色。
角がまるいピンク色の見返しが語りかけてくれる、「力をぬいていいよ」と。

1ページに1首のちいさな本に救われていた。
「書く」ことも「読む」こともつらかったときにページを開くと、歌が静かに寄り添ってくれた。

この短歌たちが生まれてくるまでの時間と、消えていった言葉たちに感謝した。


好きな短歌を少しご紹介させてください。

詩の神に所在を問えばねむそうに答えるAll around you

木下龍也 『オール アラウンド ユー』

「ねむそうに」答えるってところが、わたしには1ミリも出てこないところ。素敵だな。


昔より優しくなった死にたさに「どうしたんだ?」と問いかける夜

木下龍也 『オール アラウンド ユー』

昔より優しくなったなら、わたしはそのままそっとやり過ごしてしまいそう。


くちづけのたびに明度は低くなりあなたにはもうまぶしさがない

木下龍也 『オール アラウンド ユー』

この短歌を初めて読んだとき、「あぁ分かるぅ!」と一人盛り上がってしまった。
初めてのキスがその人との恋のピークだと思うところがあって、これはわたしの場合だけど。
あれ以上の、あれを超す感覚ってないと思うから。
木下さんはどんな思いで詠んだのかな。
ちょっと聞いてみたい。


もっともっと好きな短歌があるけれど、みなさんも覗いてみてほしいなと思い、少しだけ紹介しました。

他の短歌集もおすすめです。


木下龍也さんへ、感謝をこめて1首。超初心者だけど。

くちびるの皮をめくる手止めたんだきれいな丸角に似合わない血


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