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朝起きたら全身が痺れたんだもん

会社を休職して一週間が経った。とても平穏な日々を過ごしている。
「今頃みんな働いてるんだなぁ」と職場に思いを馳せつつ、あまり考えるとまた心身に異常が出てしまうので、気持ちを切り替える。

今の職場に勤めて7年半が経過した。今までも「辞めたい」「休みたい」と思ったことは何度もあったが、今回ばかりはさすがに自分に対してタオルを投げた。泣きながら上司に「もうこれ以上は無理です」と訴えた。

一年近く抱き続けた、人間関係のストレス

去年からストレスがとにかく積もり積もっていた。主に人間関係だ。
春ごろはある特定の人に、話しかけようと思うだけで激しいめまいに襲われ、喉がカラカラに乾き、頭痛にも苛まれるほどのストレスを抱えた。「こんなに人を苦手になるのは初めてかもしれない」と自分でも思うほどだった。
幸運、と言っていいのか、私にそこまで思わせた人はしばらくして退職した。「あぁよかった」とホッとしたのも束の間、また別の人間関係でストレスが発生してしまった。
もともと「少し苦手だな」と思っていた人だったが、それなりに仲良くしていた。というより、敵にまわしたら面倒なのでうまく付き合うしかなかった。

秋ごろから「ん?」という違和感を覚え、その違和感がどんどん確信となりストレスへ変わっていく。周囲には定期的に愚痴をこぼしていた。
ある時、一緒に愚痴をこぼしていた同僚が「こうやって愚痴を言ってる自分がどんどん歪んでいく感じがして、それがまたストレスになってしまう」と話していた。まったくの同意見で、思わず「わかる!」と手を叩いた。
同時期、私は資格試験を控えていた。のちに母親から「あんたは真面目で真正面から物事に向き合うから、それが自分を追い詰めてたんだよ」と言われるほど、寝ても覚めても勉強をし続けた。
職場での人間関係のストレス、職場外では試験に対するプレッシャー。それらが知らず知らずのうちに自分を限界にまで追い込んでいた。

無敵な私と最弱な私

ただ、不思議なことにその時の自分はまったくそうは思っていなかった。
なんなら、大して寝てない、日々忙しい、と追い込めば追い込むほど、頭が冴えるような気持ちだった。某ゲームキャラがスターを手にしたときの音楽が頭で鳴り響くような感覚だった。「あたし、最強!」と毎日思っていた。

それがある時期から、朝目覚めるのがとにかくダルく、週末には昼近くまで体を起き上がらせることすら困難な状態になっていった。「ん~、おかしいな。ちょっと疲れてるのかな。」とあまり気にも留めていなかった。
しかし、ある日は職場で仕事中に涙が止まらなくなる。とにかく気分が憂鬱で何も手につかなくなる。「この業務をやろう」とフォルダを開いた瞬間「何するんだったっけ」と物忘れが激しい。「明らかにおかしい」と、背筋がゾっとする日々が続いた。

ある土曜日の夕方。翌週からピークに忙しくなることが分かっており憂鬱な気分と、短い週末をのんびり過ごそうとリラックスをしていた時。仕事のメール通知が届いた。開いてみると、月曜日に私にやってほしい業務を「メモ」として送られてきていた。
その瞬間、何かが音を立てて崩れ落ちた。
気分の落ち込みが激しくなり、息もうまくできない。翌朝は体がまったくいう事を聞かない。それでも「明日は仕事の緊張でなんとかなるだろう」と思っていた。
そんな期待を打ち砕くかのように、月曜日の朝は全身が痺れて動かない。
「もうだめだ」
朝いちばんで上司に面談を申し込み、病院に行く旨を伝えた。

診断の名は

「躁鬱状態ですね。病名としては”双極性感情障害”です。」
なんとなく予想はしていた病名だった。あの「スターを獲得したような無敵状態」はただの躁状態だったのだ。私は無敵でもなんでもなかった。
それでも、繁忙期ということもあり仕事を続けようと思った私に上司が「職場から離れたほうがいいなら、すぐ休んだほうがいい」と言い、診断された翌々日から休ませてくれた。(ありがたくて拝んでしまう。)
母親にも報告し、今は実家でのんびりと過ごさせてもらっている。おかげでこの一週間は、無敵な自分にも最弱な自分にもなっていない。
休んでからの2,3日間は「どの自分が本当の自分なのか」が分からず混乱していたが、今はその症状も出ていない。
ただ、職場のことを考えるとやはり体がこわばるし、気分が滅入る。すぐに復帰するのは難しそうだ。
とりあえず、2月いっぱいはお休みをいただき、それからのことはその時の精神状態を鑑みて決める予定だ。今はひたすら、落ち着いた気持ちでいられるよう日々を過ごすことにしようと思う。
本を読み、勉強をし、親がなぜか買ってくれたカリンバでも練習しながら、心穏やかな日々を。


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