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読んだ本「ボクはやっと認知症のことがわかった」

認知症の分野のパイオニア、長谷川和夫先生が、実際ご自身が認知症になってから書かれた本。

長谷川先生のことは殆ど知らなかったけど、まぁとにかく凄い経歴の方で。

認知症の研究はもちろん、臨床も欠かさず、認知症関連の学会の代表として奔走。で、大学の重要なポストに就きながら講義もするという、まさにスーパードクターと呼ぶに相応しいお方。

長谷川先生を知る人は「認知症学の長嶋茂雄みたいな人」と表現されていたとか。なるほど、日本の認知症学は長谷川先生から始まったのね、と、その例えに大きくうなづいた。

そんな偉大なドクターが書いた本だから、さぞかし専門的で難解な内容かと思いきや、これがとーっても読みやすい!素人の私にも分かりやすく、親しみやすい文体で、一気に読んでしまった。

特に好きなのは、長谷川先生の一人称が「ボク」という所。

これだけでグッと筆者との距離が近くなって、認知症という深刻なテーマが、血の通った身近な物として読み進めることが出来る(もちろん胸が苦しくなるような描写もあったけれど)

現在92歳の長谷川先生。

幸い、進行が緩やかなタイプの認知症との事で、今もご家族の協力を得て穏やかに毎日を過ごされているそう。

認知症をケアする側の思いを聞く機会は多いけれど、認知症になった本人の葛藤や、日々感じる最期の日への恐怖を、あくまでプロとしての視点から読む機会は中々ないような気がする。

深刻で身につまされる描写も多いけれど、読み終わった後、なぜかしら心が温かくなる一冊だった。

「ボクはやっと認知症のことがわかった 自らも認知症になった専門医が、日本人に伝えたい遺言」

長谷川 和夫・著

https://www.amazon.co.jp/dp/B0832GBV45/ref=cm_sw_r_tw_awdb_8ZK8QQ9M7HFZK2K15D63

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