【短編小説】ハードボイルド・アートランド
夜の図工室で、男の声が響いた。
「わたしがどれだけ君を好きか、知りたいか?」
彼の瞳には揺れる炎が映っている。緋色の目は、昼間の校舎で見るより赤く見えた。火は彼の何かを掻き立てたのかもしれない。射貫くように真剣な眼差しは、真夏の太陽を思わせた。南仏の、全てを焼き尽くす陽光を。夢も希望も何もかもどうでも良くなるくらい、ただ鮮やかな黄色を。
私が黙っていると、彼はほほ笑んだ。過ぎ行く季節を惜しむような、さみしい笑みだった。
「これくらいだよ」
筋ばった手が、ろうそくの上に