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小説

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短編小説、ショートショートです。お仕事、恋愛、ミステリー要素強め。
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#短編小説

【小説】愛と死

あらすじ八菱銀行で働く黒川礼子は、ポルノ小説を書くために休暇を取得していた。彼女はかつて…

綾部まと
1か月前
26

【小説】夜の美術館

夜の美術館に取り残されたのは、どうやら私だけじゃかったらしい。 「お前、佐藤れな?」  声…

綾部まと
1年前
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【漫画原作】Darker Banker 第二話

二話(水瀬視点)【広尾小学校 地下廊下 階段前】 「うわ!」  勢いよく振り返ると、 呆…

綾部まと
1年前
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【漫画原作】Darker Banker 第一話

あらすじ銀行員の立花は取引先の区役所の職員から、小学校で起きている怪奇事件を解決するよ…

綾部まと
1年前
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【小説】銃とチョコケーキ

最初の弾丸が胸に当たった瞬間。 私はトシ・ヨロイヅカのバースデーケーキのことを考えた。 …

綾部まと
1年前
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銀行強盗

あれは新人研修を終えて、銀行の初任店に配属された朝。俺は行員専通用口に立ち、呟いた。 「…

綾部まと
1年前
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【短編小説】ハードボイルド・アートランド

 夜の図工室で、男の声が響いた。 「わたしがどれだけ君を好きか、知りたいか?」  彼の瞳には揺れる炎が映っている。緋色の目は、昼間の校舎で見るより赤く見えた。火は彼の何かを掻き立てたのかもしれない。射貫くように真剣な眼差しは、真夏の太陽を思わせた。南仏の、全てを焼き尽くす陽光を。夢も希望も何もかもどうでも良くなるくらい、ただ鮮やかな黄色を。  私が黙っていると、彼はほほ笑んだ。過ぎ行く季節を惜しむような、さみしい笑みだった。 「これくらいだよ」  筋ばった手が、ろうそくの上に