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千の言葉より届くもの

久しぶりにゲシュタルトのワークショップに行ってきた。

遅れて到着したら、和室なので靴をぬぐのだが、入口に靴が4足。ここしばらく、自分以外の参加者がいるのも珍しいぐらいだけれど、こんなに人がいるのは本当にひさしぶり。

先生と自分を入れると4人の参加者の計5人でセッションをした。

それぞれセッションを行い、最後の4人目の人が終わった時、それまでと違って、あまりすっきりした終わり方ではなかった。

彼女はずっとタオルを手にもって涙を拭きながらやっていたのだが、広げたり、たたんだり、投げたり、握りしめたり、気持ちが閉じて言葉がうまく入らないときはタオルもくるくるまかれていたり、なんとなく落ち着くと膝の上で広げられていたりして、口にする言葉以上に彼女の気持ちをよく表していた。

終了したとき、タオルは綺麗に折られていて、それはあまり言葉が彼女に届いていないことを表していた。

もやもやを抱えたまま自分で反芻するのもひとつではあるのだが、このまま終わるのはちょっと心配と思っていたので、フィードバックの時に、どう伝えようかなと考えていたら、二人目のフィードバックの人が「ハグしていい?」と口にした。

私もまさにそう言いたいけど、どうしようかなと悩んでいたので、そのまま、その人と彼女のハグが終わると、「私も」と言って、彼女をハグした。

彼女のカラダの緊張がとけ、涙がこぼれているけれど、呼吸が落ち着いてくるのがはっきりとわかる。
ありがとう、大丈夫だからねと囁いてハグを終える。

もうそのあとは、お互いハグをみんなでしあって、最終的には5人全員でハグをした。

終わってそれぞれの位置に戻ったとき、彼女のタオルは開かれて、膝の上に置かれていて、彼女も笑顔になっていた。いや、彼女だけではなく、全員笑顔になっていた。

カウンセリングをする人間としては邪道なのかもしれないが、千の言葉を重ねるよりも、一回のハグや握手が有効な時があると思っている。

一歩間違えれば、ぬくもりほしさに誤った行動に出たり、依存することもあるぐらい、それは強力な力だ。強力だからこそ、適切な言葉とともに使わなければいけないとも思っている。

言葉が届くためには、閉じた扉を開いてもらう必要があるのだけれど、言葉だけでは難しいときもある。その時に「開けゴマ」ではないけれど、扉を開く魔法の呪文になる可能性もあるのが、ハグだったり、握手だったりだと思っている。

そして、それは相乗効果として、するほうにも大きな力をくれるのだけれど、今日のセッションはまさにそういう感じだった。

言葉だけでなく、身体性も含んだ、存在そのものへのかかわり方はゲシュタルトセラピーの最たるものだと思う。

ゲシュタルトの祈りにあるように、本当に素敵な偶然の出会いの時間だった。

私は私。あなたはあなた。
でも、偶然が私たちを出会わせるなら、それは素敵なことだ。

ゲシュタルトの祈りより


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