雨、雨、ふれふれ
雨の日が好きだ。
パタパタ地面を打つ音、すこし埃っぽい匂い、ひんやりとした感触、すこし淀んだ空を映す水たまり。
いろんな情報が体に染み込んでいくのが好きだ。
今日は特別な雨だった。
用事があって外に出ようとすこしドアを開けると、飛び込んでくる眩しい日差しと青空と、大降りの雨。
空には雲なんてほぼないのに、この雨はどこからやってくるんだろうか。
不思議な気持ちで傘を差し、歩き始めると次第に雨は弱まってきた。今の今まで雨が降っていたとは思いないほどの暖かさ。
空が泣き笑いしてるみたいだ。
こういう雨のことを天泣(てんきゅう)って言うんだって。
しばらくすると地面もカラッと乾き始めて、さっきまでの雨なんてまるでなかったかのようだった。
白黒のちっちゃな鳥がひょこひょこ、嬉しそうに走っていた。
わたしもつられて足取りが軽くなる。
表情をコロコロ変える空が大好きだ。
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