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七十二候の【蓮始開】に入ります。

「蓮始開」は「はすはじめてひらく」と読みます。一年を72に分ける七十二候の32番目です。二十四節気「小暑」を3区分した二番目で、次候になります。蓮の花が咲きはじめるころです。7月16日まで。

小暑Shōsho : Lesser heat July7-21
The days become hotter and hotter.
蓮始開 Hasu hajimete hiraku
First lotus blossoms. July12-16

蓮の花は深夜二時ごろにつぼみが開きかけ、明け方にいちばん美しく咲きにおい。昼ごろには花弁を閉じ、また明け方に咲くことを三日間繰り返します。花の期間は7月中旬~8月中旬です。

蓮は仏教とともに日本に伝わり「泥(でい)より出(い)でて、泥に染まらず」といわれます。古来より清らかさの象徴とされてきました。

     蓮の香や風も幽(かす)かに朝まだき いちろう

蓮の花が咲くときに、ぽんと音立てると聞いたことがあります。このことは古くから議論され、文学や俳句にも取り上げられてきました。

石川啄木「夏の朝」より
     静けき朝に音たてて
      白き蓮の花さきぬ
       胸に悟りを開くごと
        ゆかしき香り袖にみち
         花となりてや 匂うらん

じっさいに測定したところ、花びらのすれあう振動はあるが、音とはいえないそうです。それでも、開花の音を聞けば、悟りが開ける、成仏できるという言い伝えに魅力を感じます。人々の願いが、そのように聞こえるのでしょう。

蓮は、万葉のころは「はちす」と呼ばれていました。花が終わったあとの中心が、蜂の巣ににていることから。その「ち」が省略されて「はす」となりました。

蓮は実用的な植物です。蓮根(レンコン)や実は食べられます。茎(くき)からは糸が作られ。葉はものを盛ったり包んだりします。蓮茶は花茶として飲まれます。葉についだ酒を茎から吸う蓮酒もあります。ほとんどすべての部分が役にたっているのです。

梅雨の終わりのころに、激しい雨になることがあります。これは「送り梅雨(おくりづゆ)」で、このあと一気に夏がくるといわれています。また集中豪雨は「荒梅雨(あらづゆ)」と呼んで恐れられています。

きのう南九州の梅雨が明けました。近畿地方はもうすぐ。関東地方はまだ少し先のようです。気をもんでいるうちに、太陽の輝く真夏がやってきます。

あなたが幸せでありますように 
琵琶湖のほとりの草庵にて いちろう
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#梅雨 #ローカル七十二候マラソン

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