身近なHappy Women♪ 3
第3回目のゲストは、和歌山県在住・尾方千春(おがた ちはる)さんです。
尾方さんは、社会福祉法人の職員をされており、障害のある人の生涯学習事業の運営サポートをしています。
1,現在に至るまでのお話を聞かせてください。
私は愛知県で(小学生低学年から)育ったのですが、有名な自動車メーカーがあるので海外から働きに来ている人や海外で生活をした面白い経験をした人を身近に感じる環境でした。
そのためか高校時代には「英語」に興味を持ち、それと同時に健康で美味しく食べられる事にも関心があり「食の栄養」にも興味を持ちましたね。
英語は英会話教室に行っても勉強できるけど、栄養については学校に行かないと難しいなと思い、短大へ進み栄養士の資格を取りました。
卒業後は病院に勤めましたが、国家資格である管理栄養士の取得を目指し、仕事以外の時間はすべて勉強にあてる毎日!結果、難関の試験に合格することができました。
多忙な日々だったけど、学生の時とは違い自分の意志で時間を作り、勉強のために「身銭を切った」ことで、より真剣に目の前の目標に向かう事ができましたね。
海外への留学
管理栄養士に合格後は、試験勉強と仕事の両立があまりにハードだったため少し休もうと思いました。
そんな時、学生時代に興味のあった「英語」を勉強したいなと思い、イギリスへ留学する決意をします。
英会話教室で出会った年上の友達から留学の話を聞いた事も、大きな後押しになりましたね。
学生ビザを取り、イギリスで7か月の留学生活が始まりました。
キラキラの留学生活、と思いきや、実際には人種差別を受けたりと、辛い経験も…。
そんな中でも、同じアジア人やヨーロッパの人で自分の夢や意志を持ち、自立した方との出会いもありました。
「悲しい経験もあったけれど、素敵な人ともたくさん出会えた。色んな人がいて、様々な価値観があることを改めて実感しました。」
その後、日本へ帰国して仕事をしますが、また幾度かイギリスへ滞在するという機会にも恵まれました。
ある時は、イギリスの障害者施設で働く経験をしました。
そこでは料理を担当することもあり、管理栄養士としての知識や経験を生かすこともできました。
驚いた事として、障害者も働く職員も、平等な立場で施設にいるとのこと。
日本だと職員はサポートをする人、というイメージですが、基本的に障害のある人も自分でできることは自分でやるんです。
声かけはするけれど、すぐに手伝おうとはしません。
「一緒に生きる」という言葉がしっくりしました。
また、別のイギリス滞在時には友達ができず鬱になりかけました。そんな時にボランティア活動で偶然知り合ったイギリス人の女性が「いつでも来て良いのよ」と家の鍵を渡してくださったんです。彼女のやさしさで気持ちがとても楽になりました。
その人の家はたくさんの人が集まる場所になっていて、意見が違う人と話をし伝え合う大切さを学びました。
自分をオープンに表現する事を教えてもらえたと思っています。
地域おこし協力隊として和歌山へ
何度かのイギリス滞在後、「フルーツでまちおこしを!」という和歌山県紀の川市の地域おこし協力隊の募集に興味を惹かれ、採用後に3年間の任期を過ごしました。
仕事としては、イギリスでの経験を活かした英会話講座のイベントをしたり、海外の方が多く来る観光拠点で仕事をしたり。
地域の頑張っている人を応援しようと思い、積極的に地元の人との繋がりを作りました。
地域の人の思いを大切にした催しを数多く企画して3年間を過ごしました。
2,今の仕事や活動を教えてください。
地域おこし協力隊の任期終了後は、社会福祉法人一麦会(麦の郷)へ就職しました。
障害のある人の生涯学習に取り組む『ゆめ・やりたいこと実現センター』という事業の運営に携わり、現在に至ります。
生涯学習の活動として、仕事の後に集まってゆっくりできる場を作ったり、様々な講座も開催しています。
ここでもイギリスでの経験が生きるポイントがありました。
利用者と職員、お互いが平等に、そして押しつけにならないことを意識しています。
講座も、集まるメンバーのやりたい事だったり普段の言動をできるだけキャッチするようにしていますね。
食育講座、防災グッズ作り、似顔絵講座やパン屋さんの新メニューを考えよう講座など、参加者の皆さんの意見から生まれた講座を開催していますよ。
前から2列目、左端が尾方さん。利用者やスタッフの皆さんとの写真です。
3,活動の源はなんですか?そして活動を知ってもらいたい人はどんな人ですか?
活動の源、ですか。(笑)
「誰かのやりたいことを叶えられる」、そんな場作りに携われているということでしょうか。
人にはそれぞれ才能があると思います。それらをみんなでサポートしたり、活かせたなら、よりよい地域になると思います。たくさんの人達に知ってもらい、一緒に活動していけたらいいなと思っています。
4,あなたのワクワク&キラキラポイントは?
普段、「ワクワク」する事を探して毎日を送ることを心掛けています。
例えば、通勤経路にしても「今日は普段とは違う道を通ってみよう」とか日々新しい事をやってみるように意識していますね。それが心の余裕にもなり、豊かな人生になるのではないかと思います。
また、最近は「ミニマリスト」の考え方に共感して実践し始めています。
今まで無駄な物が多すぎたかもしれないと思い始めて…。
最低限の物を持つように心がけたら、物を買うのに選んでた時間や手間がその分違う事に使えたりしますしね。自分にとって本当に大切なものが見えてくる感じです。
5,今後の目標、夢について
昨年からの世界状況の変化によって気付いた事として、無理にグループとかで行動しなくてもいいんだなということがあります。
一緒にいたいと思える人との時間を大切にし、気が合わない組織で無理に人に合わせなくても良い暮らしをしていきたいなと感じています。
組織にいる時間も今はあるけれどそこに重点を当てた生活ではなく、「自分の好きなことに費やす時間」に変えていきたいなと思いますね。
6,読まれている方に対してのメッセージをお願いします!
「後悔しない生き方をしてくださいね」ということでしょうか。
私自身、今までお話してきたように興味があることに対して「やってみよう!」と思って行動に移し、その結果として経験したことは本当に良かったと思っています。
やってみたいことには、ぜひ挑戦をしてみてください!
大きな事じゃなくても、ちょっとだけ普段とは違う事をしてみる、だけでも良いと思います。
「自分のやってみたい」って思うその感覚を大事にしてくださいね。
編集後記:
私が尾方さんに初めてお会いしたのは4年前。
地域おこし協力隊をされていた頃でしたが、同じ「海外を知り影響を受けた」という感覚が一致し、それ以来会うたびにお互いの考えや感覚を語り合う貴重な友達となりました。
尾方さんの素敵だなと思うところは、「自分のやりたいこと」はきちんと持っていると同時に、その場にいる相手の気持ちを斟酌し行動をされるところです。
だから地域おこし協力隊で企画された催しなどでも、ご自分の好きな事ではあるけれど、関わる方の意向をきちんと汲み取ってwin-winの関係を作られていました。
私とお喋りする時でも、尾方さんは必ず「サチコさんはどう思われますか?」という問いかけをしてくれます。
決して場を支配しない、でもご自分の意見もきちんと伝えてくださる。とても居心地の良い空間を共有してくださいます。
尾方さん、この度は長時間にわたるインタビューをお引き受けくださり、ありがとうございました。 (文章:イシワタサチコ)
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