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コンタクト型ビジネス戦闘スキル「マウンティングおじさんの潰し方」

2018年2月16日公開:MBAデザイナーnakayanさんのアメブロ


2018年2月16日付 ダイヤモンド・オンライン掲載記事
(以下記事内一部転載)
何気ない会話の中で、自分の優位性を相手に示そうとする「マウンティング」。知らず知らずのうちに、“若手”にやっている中年層は非常に多い。そして、そのたびに若手からの評価を下げている。こういったマウンティングにはどんなものがあるのだろう。また、そのような行為をしないための方法とは。実際のエピソードを紹介しながら、識者に話を聞いた。…


誰でもできるマウンティングおじさんの具体的な潰し方

私はこれまでに100社以上の企業で働かせて頂いた経験がありますが、その中には、凄まじいコンプレックスの塊を持つマウンティング社長さんがいらっしゃいました。その社長さんのマウンティング行為の特徴としては、部下に対してだけではなく取引先に対しても、何でもかんでも自分の方が優れているのだとアピールしていました。更には、自分の方が優れているのだと相手が認めるまで行動を止めない。相手があきれてわざと負けてくれているだけという事にも付かず、マウンティングして喜んでいる姿は、ある意味でとても可哀想な人にも見えました。これまでに劣等感ばかり感じる人生を歩んできたのが原因だろうと考えると更に可哀想に思える人でもありました。

職場においてなんちゃってヒョードルのようなマウンティングおじさんがいないことを望むよりも、仮にいつマウンティングおじさんに出会ったとしても対抗できるように、ヒクソン・グレーシーのようなガードポジションからマウンティングおじさんを仕留める技を身に付けないといけません。具体的には、相手にマウントを取らせながらも、ガードポジションから相手を確実に仕留める技のことです。

先ず、マウンティングおじさんに出会ってしまったら、直ぐにガードポジション体制をとり、マウンティングおじさんからの強打をかわす。そして、かわした直後にこちらからの打撃をカウンターで加える。マウンティング行為というものは、その人間の持つ「劣等感」が原因ですから、その「劣等感」を攻撃するのです。

「なんでそんなに劣等感が凄いのですか?」
「これまでに相当の劣等感を味わってきたんですね。」
「コンプレックスが沢山あるのですね!」

など、言葉にして一撃を食らわしてあげましょう。

大抵のマウンティングおじさんは、自分が行っているマウンティング行為の原因が自分の劣等感に起因しているものであると気付いていませんから、先ずはそれに気付かせてあげるだけで、マウンティングおじさんは急に恥ずかしくなり自分から離れていってくれます。マウンティング行為で隠している劣等感に気付かれることを嫌がるからです。

直接言葉にできない人の場合は、直接言葉にしなくても大丈夫です。

「このマウンティングおじさんは相当劣等感があるんだろうな?」
「このマウンティングおじさんは、コンプレックスの塊なんだろうな。」
「このマウンティングおじさんは可哀想な人だなあ。」

という視線を送ってあげるだけでも効果は十分にあります。マウンティングおじさんは、自分が可哀想な人だなと思われることをとても嫌います。更に劣等感が強くなるからです。

マウンティングおじさんを相手にする側の立場としては、一度や二度ならスルーもできますが、大抵は常習化しているおじさんばかりですから、時には打撃を加え黙らせるか、確実に仕留めておいた方がいいですね(笑)。


劣等感の塊の人間たちと関わっていると「無気力人間」にされてしまう

補足として、劣等感の塊の人間たちと関わっていると「無気力人間」にされてしまうことを実感されている人も多いのではないかと思いますが、その理由を心理学的側面から説明することが可能であると言えます。具体的には、劣等感の塊の人間たちの行動は、内発的動機づけ(自発的モチベーション)に必要となる3要素の構築を阻害するからです。

「内発的動機づけ」とは、モチベーションややる気という意味と置き換えても大丈夫です。内発的動機づけに不可欠な3要素を簡単に述べるならば、

①主体的行動ができるかどうか
②有能感(優越感ではない)をもてるかどうか
③他者との良好な人間関係を保てるかどうか

とされます。この3つの要素がきちんと構築される環境があってこそ、内発的動機づけが維持されます。 

しかしながら、先述したように劣等感の塊の人間たちの多くは、基本的には自分の立場を強調しマウントをとることで、先ず「①の主体的行動」を抑制してきます。更には、なんでもかんでも自分の方が優れているのだとアピールをし自分が優れていると相手が認めるまで行動を止めません。これは優越感を得るための行動でしかありません。 優越感と有能感は抜本的に異なります優越感とは、他者との相対的な比較の中で自分の方が優れていると認識することです。他方で、有能感とは相対的ではなく絶対的な基準の中で自分が有能であるという自信を持っていることです。これは自らをスペシャリストやプロフェッショナルであると自負していることでもあります。 

優越感は、なんちゃってプロフェッショナルという勘違い人間を生むことになりますが、有能感とは誰もがプロフェッショナルとしてその人を認めているということです。優越感を好む人間とは、裸の王様タイプや夜郎自大タイプに陥りやすいとも言えます。この優越感タイプの人間と接していると、「②の有能感を維持すること」が難しくなります。何かにつけて、実力もない人間が地位や立場を利用して自分の方が優れているのだと主張するだけではなく、それを認めてあげるまでしつこく強調してくることになるからです。 

加えて、劣等感の塊の人間たちの多くは基本的に、「③の他者との良好な人間関係を築く力」を持っていません。簡単に述べるならば、彼らは基本的に他者との良好な人間関係を築こうとするよりも、他者を自分の支配下に置き、自分の言いなりに動かそうする人間たちが多いということです。 他者を自らの支配下に置こうとしますので、良好な人間関係が成り立つことはありません。 

劣等感の塊の人間たちというのは、前述したように内発的動機づけの3要素を阻害する人間たちですので、関わる必要がないならば関わらないのが望ましいと言えます。仮に、あなたにしつこくまとわりついてくることがあるならば、上記にて説明した方法を用いて早期の段階で潰せる時に潰しておいた方がいいのではないかと私は考えます。

劣等感の塊の人間たちというのは、相手の弱みや欠点などを見つけては、自分が優越感を味わうための材料にしたり、相手を支配するための道具にしようとします。相手の弱みや欠点などを見つけた際は、それを補ってあげたり助けてあげようとするのが、人間的に成熟している人たちの行動であることを忘れてはいけません。劣等感の塊の人間たちに無気力人間にされてしまう前に、多少パワープレイになろうとも潰して置くのが望ましいと私は考えます。 


劣等感の強い人間たちの特徴を知る

劣等感の強いの人間たちがもつ顕著な特徴としては、立場のある人が偉いと思っていることが多いと言えます。通常は、偉い人が立場を得ているのですが、逆の発想をもっているために、自分も立場さえ得れば偉い人として扱われると思い込み、劣等感を埋めるために立場を得ようとするタイプが多くいます。そんな劣等感の強い人間が立場を得たところで、人間性の低さが急に高いものへと変わる訳ではありませんので、偉い人として扱われる訳もありません。すると、自分を偉い人として扱わない人間たちに対して、自分の地位や立場を利用した圧力をかけ、他者を支配しようとしてきます。これがすなわちマウンティング行為につながる訳です。関わらないに越したことはありません。 

また、劣等感の強い人間が立場を得ている場合、大した能力もないのに偉そうな振る舞いや驕慢な態度をとっていることが多く近づき難いものですが、逆に、偉い人がそれなりの立場を得ている場合は、その立場や役職があるにも関わらず驚くほど謙虚で腰が低く人当たりがいいものでもあります。

更に、劣等感の強い人間たちが他人を支配するためによく用いる方法として、韓非が「ひとりの人間が絶対的な権力者となるには? 」というテーマの元で性悪説をベースに法と術を用い構築した手法が多いものですが、この韓非という人間も生まれ持っての劣等感の塊であったと推測が可能な一人です。 

韓非は韓王の安の「庶公子」として生まれる訳ですが、この庶公子というのは公子の中でも母親の身分が低い者になります。それだけでも他の公子たちからは、見下される環境で育ち、更に、韓非は吃音だったと言われています。 吃音というのは、先日のフジテレビの月9ドラマでマシャ兄と藤原さくらさんが共演していた「ラヴソング」の中で、 藤原さくらさんが演じていた役のような人のことです。知的な障害や身体的な障害ではないのですが、何らかの要因で言葉をスムーズに話せない人たちのことです。 

韓非は庶公子や吃音という影響もあり、幼少期から相当の劣等感の強い人間になってしまっていたということが推測可能です。その劣等感を埋めるために、性悪説をベースにした韓非独自の「君主の個人的徳性や人間性に頼らない統治手法」を確立し一定の評価を得るのですが、結局のところ吃音が原因で処刑されてしまいます。 

韓非の性悪説をベースにした統治手法を高く評価した敵国の秦王政(後の始皇帝)が、韓非を皇帝の元に招きいれるのですが、実際に皇帝の前に現れた韓非は、皇帝が事前に耳にしていた人物像とは大きく異なり吃音のために皇帝とまともに会話もできず、それに激怒した皇帝が処刑してしまったとも言われています。 その他には、韓非の才能を恐れた重臣たちにより暗殺されてしまった陰謀説などもあります。

いずれにせよ劣等感の強いの人間たちが、自らの人間性を高める努力を怠り無理をして絶対的な権力者になる、あるいは、権力を得ようとすれば、結果は韓非の辿った道と同じになるということを歴史が証明しており、今も変わることはない真実であろうと私は考えています。


※こちらは2018年2月16日(金)、2018年02月20日(火)のnakayanさんのtwitterでの連続ツイートを読みやすいように補足・修正を加え再編集したものです。


中山兮智是(なかやま・ともゆき) / nakayanさん
JDMRI日本経営デザイン研究所CEO兼MBAデザイナー
1978年東京都生まれ。建築設計事務所にてデザインの基礎を学んだ後、05年からフリーランスデザイナーとして活動。大学には行かず16年大学院にてMBA取得。これまでに100社以上での実務経験を持つ。
お問合せ先 : nakayama@jdmri.jp


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