自動運転の父 1000万人育む 第3部 学びのカタチ(2)


 #NIKKEI

via
…自動車業界にディスラプション(創造的破壊)を仕掛ける存在として恐れられたスラン氏だが、2012年に突然、教育業界への転身を表明した。グーグルと兼務していたスタンフォード大学教授の地位も捨てて立ち上げたユダシティーは、プログラミングやウェブ制作の基本から人工知能(AI)まで、テクノロジー教育に特化した授業を提供している。

無料の入門コースから難解な内容を含む有料コースまでそろえ、受講者は累計で1000万人を超えている。その中でもユダシティーが独自に発行する学位「ナノディグリー」を得た7万5000人の学生たちはテック業界では引く手あまただ。近年、特に注目を集めているのが「カルラ」を使う自動運転コースで、独メルセデス・ベンツはこのコースのナノディグリー取得者をすでに40人以上採用している。

オンライン授業で「教育を民主化する」と言うスラン氏。…
…「届きそうにない高みを目指さなければ、高く飛べない」。ペイジ氏はその高みを「ムーンショット」という言葉で例えた。月まで届くような大ジャンプを狙わないと、本当に世の中を変えうるディスラプションは実現し得ないと言うのだ。

ペイジ氏の熱意に感銘を受けたスラン氏はグーグルに参画して自動運転車の開発を始める。その後、社内でも秘密組織と呼ばれた先端研究部門「グーグルX」の初代トップに就いた。そこに集まったのは、本気でムーンショットを狙う、まぎれもない世界トップ級の天才たちだった。「あれほどエキサイティングな場所はなかった」…
…画面の向こうにいる学生たちの「素顔」を調べるとさらに驚かされた。アフガニスタンに派遣された兵士、2児を育てるシングルマザー、透析治療のため通学を諦めた人。パキスタンからのある参加者は死の病を抱えながらベッドから聴講しているという。「学びたい」という熱意はスタンフォードに集う俊英たちのはるか上を行くようにさえ感じられた。実際、テストしたところ、オンライン聴講者のうちトップ412人がスタンフォードの学生より好成績を残した。

「彼らが未来をつかむための手助けを、私ができるんじゃないか」。そう考えたスラン氏にとって、教育こそが自分にとっての「真のムーンショット」ではないかと思えた。翌12年、ペイジ氏に別れを告げてユダシティーを創設した。…

私も「ナノディグリー」(ユダシティーが独自に発行する学位)に興味津々です! 先ずは、無料の入門コースを受講してみたくなりました。




人工知能(AI)やビッグデータ分析の専門家など高度なIT(情報技術)人材は世界的に不足している。経済産業省の調べによると、日本でも2030年に55万人足りなくなる可能性があるという。米シリコンバレーでも人材争奪戦は過熱する一方だ。…

頂いたサポートは、書籍化に向けての応援メッセージとして受け取らせていただき、準備資金等に使用させていただきます。