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風を切って  夕焼け自転車

ジメジメした鬱陶しい梅雨。

あまりエアコンの空気が好きじゃない。

汗をかいて部屋にいるのは耐えられない。

雨も止んでるし、外へ出よう。

そろそろ夕焼けの時間だ。

空が最も美しくなる魔法の時間。

自転車は自分の足が原動力だし,速さも周りの景色を楽しめる程度なんで
散歩程度の外出にはぴったりだ。

汗をかいて自転車を漕ぎ、筋肉が気持ちよく動く。

息を切らして坂を上りきると、夕焼けを見るこの街のベストポイント。

やっぱり今日もすごい景色。最高の夕焼け。あの光は神々の世界。

ポーッと眺めていたら胸を締め付けていた憂鬱はいつの間にか消えていた。

空の雲も見慣れたビルも電信柱も、夕陽に照らされ優しい色に輝いている。

今日もお疲れ様。お互いそう言い合っているようだ。いいなあ。

笑顔になって、坂道を下る。

風を切る。これが気持ちいい。スピードを上げる。

汗は風に飛んで爽快感最高。夕陽に照らされた風景が光りながらどんどん後ろへ流れていく。

ハンドルと車輪はガタガタと小刻みに震えて壊れそう。

適度な緊張感のなか、耳には風を切る音がごうごうと響く。

夕陽が最高の光を放ちながら沈もうとしている。

ヤッホーと心の中で叫びながらペダルから足を離し、前へ思いっきり伸ばす。

大空へ飛び出しそうな自転車。笑顔。

今日最高のハッピーアワー。



絵 マシュー・カサイ「風を切って  夕焼け自転車」水彩・ペン


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