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雨の街 灰色の世界

雨の季節だ。
今日もずっと小雨が降っている。
室内にいても憂鬱な気分は変えられない。
閉所恐怖症ではないはずだが、じっと部屋にいるのは息苦しい。
ビルの屋上に出て街を眺めてみた。

少し風はあるものの、傘を差せば景色を見るのに差し支えない。

まるで巨大な墓石群のような多くのビル。
雨と一緒に、薄い霧がビルの間を流れていく。
窓の明かりと走る車のヘッドライト、街灯の明かりが殺伐とした灰色の世界に暖かい輝きを見せている。

濃厚な雨の空気を胸に吸い込む。

こんな雨で暗い日も変わらずビルの窓の明かりは明るく、人々が黙々と働いている。

あの窓の中にはどんな人がいて、どんな仕事をしているのだろう。
周りとどんな会話をしているのだろう。笑顔かな。真剣な顔かな。
暗い雨の中、光の見える窓はいつもより気になる。

誰か、こっちを向いてくれないかな。
雨の中、傘さして屋上で突っ立ってる変な奴に気が付いてくれないかな。
人寂しくなって、そんなことを考えながら雨の景色を眺める。

子供の頃から雨に濡れて寂しさを感じるのは好きだった気がする。
一人が好きなくせに、笑顔で話す人たちに羨ましさを感じる。
雨の中にいるとそれが一層強くなる。

まあいいさ。

ずっと降り続く雨はない。

どんよりとしたこの灰色の分厚い雲の上にはすっきりとした青空が広がっているんだ。

明日はきっと目が覚めるような青空だ。



絵 マシュー・カサイ「雨の街 灰色の世界」 水彩・ペン



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