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海外移住、パラレルキャリア、子育て、いろいろ悩むけど、自分で決めることが大事

#留学 #海外移住 #パラレルキャリア #ライフデザイン #インタビュー #働く女性  

「これからどうしよう?」と迷ったとき何かのヒントを見つけてもらえればという思いで【L100】自分たちラボが紹介してきた「身近にいる普通の働く女性たち」のキャリアや人生についてのインタビューエピソード。

今回は、10代の頃からの海外移住の夢と、気に入っている仕事を辞めたくないという気持ちの間で揺れ動くSさんのエピソードです。30代の現時点から見ている将来の景色はどのようなものなのでしょう?

Sさん(30代前半)*インタビュー当時
経歴: 子ども時代から海外に住みたいと考え、高校・大学で留学を経験。大卒後、大手企業に就職するも、仕事に前向きになれなかったこともあって、イギリスの大学院へ。その後、公益財団に就職してスタッフとして働いている。家族は夫と子ども一人。

―――今回、ライフヒストリーや人生曲線を書いてみていかがでしたか?
自分のこれまでを振り返る、いいきっかけになりました。
10代後半から20代後半まで、バタバタと1年ごとに変化があって忙しかったです。ジェットコースターみたいに上がったり下がったり。今、30代になって、子どもの世話で自分の時間がなかなか取れないのと、異動もなく変化がなさ過ぎて、少しもやもやしているところです。これまでが変化するのが当たり前だったので、ちょっと戸惑っている感じですね。

Sさんの描いた人生曲線

高校での留学がターニングポイント

10代:家から出たかった

―――人生曲線を見ると、10代に谷がありますね。
とにかく地元が嫌いで、ずっと出たくてしょうがなかったんです。
家庭環境も好きではなくて、地元から抜け出して、両親とも少し離れたいと思っていました。
それで留学を目指したんですけど、もちろんポジティブな動機もあって、英語が話せるとかっこいいなとか、異文化に触れてみたいという漠然とした憧れもありました。親戚が海外に住んでいたというのもありますね。
本当は中学を出たらアメリカの高校に留学したかったんですけど、実家はすごい田舎で、中学生の自分には調べるスキルもありませんでした。高校2年生のとき、「留学させてくれなかったら高校を辞める」と言って親を説得して3年生で留学しました。振り返ると、これがターニングポイントでしたね。これがなかったら、まだ地元にいたのかもしれないと思います。
大学は、東京の大学を目指しました。田舎から出たい、東京に行きたいという一心ですごく勉強しました。地元から出て、新しい世界を見てみたかったんです。大学は1年留学するのが必修だったので、英語圏でないイタリアへ留学しました。イタリア語ができるようになったし、楽しかったですけど、「楽しかった」で終わってしまいました。

ビジョンのないまま就職

20代前半:就職後の暗黒期

―――20代はアップダウンが激しかったんですね?
就職活動の時は、リーマンショックで社会の雰囲気がとても暗かったです。やりたいことより、とにかく大手企業に入ることが大事でした。大学に入るときも、受かることが目的になってしまっていて、人生でやりたいことは何かを考える機会もなかったんです。大学を出てからのビジョンは全くありませんでした。運よく大手企業に入ることはできたのですが、仕事は面白く感じられなくて、それがつらかったです。曲線の一番落ち込んでいるところなんですが、このときは本当に暗黒期でしたね。
新卒1年目のときに東日本大震災が起きて、私は被災地出身なので、それがきっかけで「これでいいのかな」というモヤモヤした思いがずっとありました。仕事にやりがいは感じられなかったけど、安定しているし、ボーナスは出るし、ということで、辞めると決めるまでは悩みました。

やりがいのある仕事をみつけた

20代後半~30代前半:留学と転職

―――そこからどのように切り替えたのですか?
ある日、同学年の女の子から、ロンドンの大学院に行くと聞いて、「私も行けるかもしれない」と思ったんです。何かが学びたいというより、海外に行きたいとか、修士号が欲しいという気持ちでした。大学院に行くと決めたら、気持ちは上がっていきました。25歳で留学を決意して、きっぱりと退職して、26歳から2年留学しました。

―――大学院卒業後は?
留学生向けの就職イベントで、今勤めている財団のことを知り、就職しました。あ、こういう仕事があるんだと思って、この財団にすごく入りたい!と思ったんです。

―――今の団体のどういうところに心ひかれたんですか?
「社会課題を解決する」というのがとても面白いと思いました。震災後の復興のことなども扱っています。幅広いテーマを扱っているので、いろいろ携われるというのが魅力的でした。
でも、最初に担当したプロジェクトでの人間関係は大変でした。どうしても合わない人がいたんです。ただ全体的には良い人が多くて、「あれってひどくない?大丈夫?」と心配されて、他の人からも同じように見えているんだとわかったら、状況は変わらなかったけれど、心の持ち方を変えられて、徐々に自信を取り戻すことができました。その後、別のプロジェクトに配属されて、それは楽しくできました。

その頃に結婚したんですけど、同時期に婦人科系の病気がみつかって手術をしたこともあって、子供が欲しい気持ちが高まりました。仕事はすごく楽しいけど、子どもを持つ方を今は優先した方がいいのかなと思っていたら、すぐに妊娠できて出産しました。育休はほとんどとらずに、子どもが4か月で復職しました。担当していた仕事が好きな仕事だったので早く戻りたかったんです。
元々担当していたのは海外の事業で、海外出張も頻繁にあって、そういう仕事がしたかったんですが、子どもがいると海外出張はできないんじゃないかという周りの判断で、国内の仕事に異動になりました。でも、国内の事業も興味のある分野で、今も担当しています。

―――でも、いずれはまた海外の事業に携わりたいという気持ちですか?
そうですね。それか、元々海外駐在をしたかったんです。そうすると、今の組織では海外駐在がないので、その辺で今悩んでいるところです。

海外移住・パラレルキャリアなど、いろいろ考えている

今後について

―――これからについては何か考えていますか?
海外で暮らしたいという思いがやはりあるので、子どもが小学校に上がる前には海外へ移住したいなと思います。私は海外の方が過ごしやすかったのと、これからは海外の教育を受ける方が、可能性が広がるかもしれないと思うので。あと数年以内に海外に拠点を移せたらなと思って、今、どうやったらできるのかを探しているところです。 
でも、今の仕事もすごく好きなので、まだ踏ん切りはついていないんです。
この組織にいたら、チームリーダー、部長、と管理職になっていくかなと思っています。ただ、男性の方が昇進スピードが速いし、女性の管理職割合も少ないので、そのへんはもやもやポイントです。
今の組織は柔軟で、突然新しい制度ができたりもしているので、これまた突然、海外に駐在所ができるという可能性もなくはない。でも、それ頼みにしていては、何も変わらないので、自分で動かないとな、と考えているところです。

―――海外で暮らすことについては、ご主人と話し合ったりしているのですか?
2人とも海外の大学院を出ているので、海外に住むのが嫌ということはないんです。永住権の可能性のことなどもあって、カナダやアメリカを考えたりはしています。
ただ、今の仕事も楽しいんです。新卒で勤めた会社は、仕事に前向きになれなくて、幸せではなかったので、辞めたあと後悔はしなかったんです。辞める前は少し悩みましたけど。でも今の仕事は辞めると後悔しそうな感じがあります。海外からリモートワークでできるならやりたいくらいです。

―――子育てしながら働く環境としてはどうですか?
子育て中の働き方にはとても協力的な職場で、休職制度も充実しています。ただ復帰しても元いた場所には戻れない。慈悲的差別かなとは思います。

―――起業してコーチングをすると事前にいただいたヒストリー表に書いてありますが?
今の仕事以外でパラレルキャリアが欲しいからです。コーチングならどこにいてもできるし、自分の裁量でできるというのがいいなと思います。以前、自分のキャリアはこれでいいのかモヤモヤしている時に、コーチングを勧められて、受けたことがあるんです。すぐではなく子供がもう少し大きくなってから資格をとりたいなあって。

―――パラレルキャリアを持ちたいと考える人は、周りにもいらっしゃるのですか?
そうですね。2つ仕事を持つことは自分の世代では結構いると思います。
最近になって、なんだか今の仕事を取ったら何も残らないなと思えてきて。定年になっても仕事したい、何かし続けていきたいんです。

―――10年、20年、30年先のことをイメージすることはありますか?
たまに考えたりしますけど、あまり浮かんではこないです。
40代、50代は、全然浮かばないですね。このままいくと、というのはなんとなくありますけど。60代、70代は健康でいたいです。足腰がしっかりしているといいな。クルージングで旅行してみたいし、里親もやってみたい。今やっている仕事と関連もあって、週末里親とか、里親支援ボランティアでもいいと思っています。

自分で決めたことであれば、すべて正解

女性たちへのメッセージ

―――今、迷っている女性たちに何かアドバイスやメッセージがありますか?
「自分で決めたことであれば、すべて正解」という言葉です。これは産後ケアで行った助産師さんに言われた言葉で、何気なく言われたんですけど印象に残っています。今、母乳育児にするか、ミルク育児にするかですごく悩むお母さんが多いので、そういう話だったかと思います。
「自分で決めたことは後悔しない」という言葉も最近何かで見て印象に残りました。

―――Sさんにとって、自分で決めるというのは大きなことなんですね?
すっごい大きいですね。子どもの時に、自分で決められないことがストレスでした。自分がこうしたいのに、そうできる環境がないというのもすごくあって、だからそう思うのかもしれない。
一方で、日本では自分の意見は求められなかったので、自分で考える機会が少なく、就職か転職の時に「あなたはどうしたいのか」を紙に書くとよいと言われたのに全然書けなくて。
やっぱり「決める」っていうことが大事なんだろうなと思います。高校の留学の時も、大学院の時も、行きたいと思っていたら本当に行けた。転職にしても、海外に行くにしても、自分がどうしたいか意図を明確にするのが大事なんだと思います。今の自分は、海外に行くことが本当にしたいことなのか、今の仕事を続けるというのがしたいことなのか、決めかねているけれど、決めちゃえばいいんだろうなと思います。「こうしたい」と意識するか、しないかで違ってくるんじゃないかと思うので。

―――お子さんに対しては、これだけは、と何か決めていることはありますか?
好きなものをみつけてほしいと思います。私もまだ見つけられていないんですけど、何でもいいので、ワクワクを見つけてほしいです。今は、音楽とかお絵描きとか、親としては子どもの好きなことを伸ばすような子育てがしたいです。
今担当の仕事に携わったことで、子どもは別人格だと気づけて、子どもの可能性をいかに引き出せるかと寄り添える親になりたいと思っています。

―――今日、インタビューに参加してみていかがでしたか? 
自分のこれまでの考えや、これからどうしたいかを人に言うのって恥ずかしいですが、やっぱり自分はこうしたいんだなというのを、人に言うことで再認識できたし、もっと明確になったので、ちょっとすっきりしました。

(*文中の写真はイメージです)

インタビュアーズコメント

30代の方とお話すると、パラレルキャリアの話や、海外に拠点をおくという話が自然に出て来ます。境界線はあまりなく、海外も自分のフィールドと感じている。可能性も選択肢も広く持っているんだな、と世代の違うインタビュアーは思うのでした。
今は、自分の将来について、少しもやもやしているとのことでしたが、自分で決めて走っていく感のあるSさん。何通りも広がる未来の中で、自分なりの答えを「正解」にしていくのでは?と思います。

【L100】自分たちラボ からのお知らせ

ライフデザイン研究会【L100】自分たちラボでは、働く女性に対するインタビューを行っています。詳細は『働く女性の人生カタログ』~プロローグ~をご覧ください。
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